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読むまちづくり

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#町内会

人口の波とまちづくり組織の活性化の話

先日、まちづくり関係のお友達と話していて、おやじの会の話になった。おやじの会は東京では1986年に設立されたという組織だ。 1986年とは、1947年生まれの団塊世代が39歳と元気と体力があまりまくっているタイミングだ。1971年生まれの団塊ジュニアが15歳、ちょうど中学生になったころだ。よく聞くように、おやじの会は小学校でPTAをやっていたおやじたちが、子どもが中学に上がったあとも、地域で活動したいと考えて自主的に結成したというストーリーに合致する。 おやじの会はその後

町内会の加入率を高める方法について、copilotとおしゃべりして教えてもらった

町内会の加入率を高める方法について、copilotとおしゃべりして教えてもらった。 自分:町内会の加入率を高めることに成功した事例について報告している論文を10本検索し、その内容について、500字でレポートしてください。 Copilot:町内会の加入率を高める成功事例についての論文レポート 町内会の加入率を高めるための成功事例について、以下の論文を調査しました。これらの研究は町内会の活性化や加入促進に関する有益な知見を提供しています。 「ソーシャル・キャピタルとしての町

モテるまちづくり再論〜「ゆるさ」と「楽しさ」からまちづくりをはじめなおすために

某自治体から、市民の地域活動者向けに、まちづくりを進めるための実践活動の手法や考え方を学ぶまちづくり講座を依頼された。頂いたお題は4点、「そもそもまちづくりとは何か?」「何をすればまちづくりがうまくいったと言えるのか?」「新しい仲間づくりを楽しむためには?」「まちづくり活動のゆるさ、わくわく感を大事にするにはどうしたらいいか?」というものである。 この自治体では地域自治政策を推し進めているが、自治をまともにやろうとすればするほど、地域組織は悩んでしまう。言い換えれば、これま

まちづくりが「楽しくないとできない」時代はいつ始まったか?〜浅石裕司、吉村輝彦『「楽しさ」概念による「住民主体」の捉えなおし地域福祉・まちづくり分野における文献レビューをとおして』

よく知られる通り、従来の地域組織においては、どこでも担い手不足と高齢化が慢性化している一方で、子ども食堂などの新しい活動が出現し、地域で活動してもいる。 普段、従来の地域組織に関わっている立場からすれば「どうせ活動するんやったら子ども食堂もええけど、従来の組織に参加してくれてもええんちゃうの」と思いがちだ。しかし、そうはならない。ということは、なんらか理由、メカニズムがあるはずだ。 ではそのメカニズムとはなにか。そんな疑問にヒントを提供してくれる論文が、浅石裕司、吉村輝彦

AIに町内会について教えてもらおう

今日のbardとの会話。 ■私:日本の町内会は、高齢化や人手不足などの課題を慢性的に抱えています。これを解決した事例を検索して3つ取り上げ、その共通点を教えてください。 ■bard:町内会の高齢化や人手不足の課題を解決した事例を3つ取り上げ、その共通点をまとめます。 事例1:デジタル化の導入 東京都港区の町内会では、回覧板のデジタル化を導入しました。従来の回覧板は、各世帯に手渡しする必要があり、役員の負担が大きく、また回覧漏れのリスクもありました。デジタル化により、回覧

地域自治組織の国際比較から考える、自治会の役割〜あるいは「依頼をボイコットする自由がある」という意味の自治について

地域自治組織の国際比較に関する報告から こないだ、地域自治組織の国際比較に関する研究会で、イギリスのパリッシュと中国の居民委員会に詳しいゲストの話を聞きながら、日本の自治会の特性と将来を考えた。それぞれを比較することで、それぞれの立ち位置、制度の背景にある思想みたいなものがより浮き彫りにして理解できたように思う。 研究会での議論の詳細は割愛するが、議論の中で面白かったことをメモしておきたい。 イギリスのパリッシュと中国の居民委員会比較対象として面白かったのが中国だ。中国

「地域の担い手不足」という言葉を頭数の問題ではなくて人格的な成熟の問題として考えてみる話

加入率100%の町内会を作るというリサーチアクションをした以前、ちょっとしたリサーチアクションをしたことがあった。町内会の加入率低下が問題になっているという。ならば、町内会加入率100%の町内会を作ったらどうなるか。どうすれば作れるか。そういう思考実験は昔からしていた。 5年ほど前、たまたま引っ越した先が町内会がない地域だと知って、じゃあ先のような問題意識から、新設してみようと考えた。私が町内会長で、妻が副会長。二人だけの町内会だ。加入率は100%である。 そして、この

気縁コミュニティと「自分を支持しない人と一緒にやる必要がない」という宣言文の効果について

「自分を支持しない人と一緒にやる必要がない」という宣言文を語るまちづくり組織の話こないだお友達とお話ししていて面白かったことで。 コロナ禍で町内会などの地域組織が活動を縮小したことはよく知られている。一方で、そんな状況であるにもかかわらず高いアクティビティを発揮して、頭角を現した活動も散見された。 で、お友達が指摘していて面白かったのは、そういった活動のリーダーがしばしば「自分を支持しない人と一緒にやる必要がない」というスタンスを取る傾向がある、ということであった。

町内会=DMZ説〜あるいは新しいまちづくりの定義を求めて

町内会=DMZ説町内会に代表される地域組織とは、一体どんな組織なのか、なにがコアなのか、という話を人と話していて考えて。 地域の課題解決とか、代表性の担保とか、行政末端とか、親睦機能とか、共有財産の管理とか、いろんな言い方があるんだけど、なんといっても無視できないのが、「紛争防止」だ。

スマートな未来の町内会について

今度「スマートシティはどう共助を進められるのか」という問いについて考えるシンポジウムでパネラーを担うことになったので、考えていることをメモしておこうと思う。 前提として、私はスマートシティは専門外であるが、今回のパネラーとしての立場は、ベタベタな地域社会の近くで仕事している人からみて、スマートシティってどうお役立ちしそうすか?という問いを投げかけられるという立場である。なので、スマートシティかくあるべし、みたいな話というよりは、私が関わってきたお客さんたちの顔を思い浮かべな

「”リスクを避けるリスク”にビンビンに興奮している日本人」仮説〜あるいは地域活動の担い手である自営業者がなぜ減るのか問題

 地域課題の解決において、地域の中小企業の貢献が期待されている。例えば中小企業庁は、住民アンケート調査から、こうした課題の解決に対する小規模事業者などへの期待について確認している。  これによると、住民に対して、地域課題の解決に当たり、中心的な役割を担うことが期待される者を確認した。これを見ると、「地域内の小規模事業者」に期待する住民は多く、特に最も人口密度が低い「区分1」では、「地方自治体(警察・消防を含む)」、「公的支援機関(商工会・商工会議所等)」を上回る回答割合とな

企業が社員に地域社会でボランティアをさせることをどう考えるか問題

 企業がCSRとして地域活動における社員のボランティアを推奨することは最近では珍しい動きでもなくなった。しかし、それが社員にどんな効果をもたらすのか、どんなやり方だとうまくいくのか、ということは実はあまり良くわかっていない。  宮坂純一は、「CSR、企業市民活動そして企業ボランティア(下)—— 欧米の経験に学ぶ ——」 『社会科学雑誌』第 19 巻(2018 年 )PP1-35のなかで、次のように述べている。  まず、そもそも<企業ボランティアが概念として明確化されたうえ

地域活動への参加経路の偏り問題〜あるいは昭和家族モデル・ノスタルジー問題

 地域活動というのは、地域に住んでいる人なら誰でも参加できるように開かれたものであるべきだし、誰もが参加することが望ましいものだ、という信念は、地域活動支援に関わっているとしばしば語られる。この信念は、いわゆる市民社会論的な思想であり、その意味で崇高な理想だと言ってよいだろう。  一方で、現実に目を向けると、地域活動への参加可能性はある属性に偏ってしまっていることが知られている。

地縁と志縁の融和を実現するコミュニティワークはいかに可能か、という話

 地域組織による福祉サービスの提供の必要性が語られて久しいですが、それを実行していくためには、地域の中に福祉活動を担う組織を定着させていく必要があります。  しかし、テーマ型NPOは地縁団体と水と油というようにうまく接合しないことがしばしばであるといわれています。いわゆる「地縁と志縁」の分断がボトルネックになっているわけですね。  そこで、地縁団体自身が福祉活動を担うNPOを作り出す、あるいは、地縁組織と志縁組織の両方を同一人物が兼ねることで、このボトルネッ クをクリアし