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読むまちづくり

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#政治

「当事者がふらっと寄れる」コミュニティスペースが成り立ちにくいのは、サービス提供者や利用者の資本が不足してるから説。

しんどい立場の当事者が、ふらっと、なんとなくついでに立ち寄れるようなコミュニティを作りたい、というよく聞く動機 ここ数日、「ひとり親や、引きこもり児童あるいは不登校児童のケアラーのための居場所づくりをしたい」というような話を続けて聞くことがあった。こういった、そういうしんどい立場の当事者が、ふらっと、なんとなくついでに立ち寄れるようなコミュニティを作りたい、というのは、まちづくり活動においてはよく聞く、定番の動機であるようだ。 長年この仕事をしているので、そういったお気持ち

組織を組織たらしめるものとは「学習しない」硬直性であり、そうであるがゆえに巨大化可能で、政治的ステークホルダーになれるのかもしれないね説。

藤原祥太郎. "地域開発をめぐる諸団体の論理とその動態分析-京都市崇仁地区をケーススタディとして." eJournal of Urban Management/Creative Cities 17.1 (2022).を読みました。面白かったです。 なるほど、江戸幕府っぽい。各藩の自治が基本で、よそのことには口を出さない。翻って、自治が強く統治機構が弱いということでもあり。 なるほど、このような地域のステークホルダーを「学習しない組織」の特徴 で説明するのか。 「学習する

まちづくりはスーパーヒーローがいたから成功するのではなく、まちづくりが成功する地域は制度的にスーパーヒーローを作り出すのかも仮説〜木村隆之. (2015). 「まちづくり研究およびソーシャル・イノベーション研究の理論的課題に関する一考察」.

従来のソーシャルエンタープライズ論は「社会起業家」の特異な能力に偏っていた 木村隆之. (2015). 「まちづくり研究およびソーシャル・イノベーション研究の理論的課題に関する一考察」.『経営学論集』第26巻第1号を読みました。  日本でもゼロ年代から盛んになったまちづくりにおける社会的企業、ソーシャル・エンタープライズの研究だが、本論文は、まちづくりの成立プロセスの説明が社会起業家という特異な能力者の存在に依存しがちであった点を指摘する。 それゆえの限界もあったと指摘

「みんな、自分に都合のいいように解釈する」という解釈の都合のよさについて。

 さっき散歩していて通りすがりに面白い会話を聞いて。AさんとBさんがおしゃべりしているんだけど、AさんがBさんに「みんな、自分に都合のいいように解釈するからねー」と言っていましてね。  まあ、多分、ここにはいない、AさんBさん共通の知り合いのXさんの話だろうと思うんです。Aさんは、Xさんのことを「自分に都合のいいように解釈する人」と言って、Bさんに共感を求めているわけですね。  文字の並びだけ考えると、「みんな都合のいいように考える」というならば、AさんもBさんも「みんな

オンライン化したい勢力と、元に戻りたい勢力の政治闘争が見える化してきたねという話。

 面白い記事を見まして。 文部科学省は16日、新型コロナウイルスの影響でオンライン授業を続ける大学が多いとして、対面授業の割合が半数に満たない大学の状況を調べ、大学名を公表すると発表した。  おや?と。ついこの間までオンライン化を進めてくれと言ってなかったっけ。悪意を持って読むと、まるで「まだオンラインとかやってんの?そんな大学は名前晒しちゃうよ」みたいなニュアンスに見えてしまう。それともオンライン中心でいく大学とオフライン中心でいく大学とを消費者が選べるようにするための

定住民と流動民との政治対立という観点から見るまちづくり団体の「地縁 対 志縁」構図。

 以前にこんな記事を書いたんすけどね。 後に「ボランティア元年」と呼ばれるこの時期、地縁とは異なる志の縁、すなわち「志縁」を契機に組織を作り活躍する人々の存在が可視化されたことは、まちづくり活動の担い手不足問題の解決に一つの可能性を大いに予感させたことでしょう。オーソドックスな地縁組織の人手不足を、これら志縁組織がカバーできるのではないかという素朴な期待は、少なくない人々が抱いたのではないでしょうか。  しかし、この二つの組織の融和は、当時の人々の期待通りに進むものではな

まちづくりは「ズルい」のかもしれない、というお話

以前、とある講座でお話をさせていただいた際、フロアから興味深い問題提起があったのを思い出したので、忘れないように書いておこうと思います。その問題提起をされた質問者は、長年、困窮者支援に携わっておられた方で、その立場からの発言でした。 氏曰く、困窮者支援というのは、なかなか市民の理解を得られないテーマであるというんですね。いわゆる自己責任論に典型的ですが、諸事情から経済的に困窮したひとたちというのがいるとして、そういう人々に公金を投じて支援をしようとすることに対して、