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秘密日記

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タニリョウジの秘密の日記帳です。 月額課金ではなく、買い切りです。なので、一度購入すると、過去アップされたものも、これからアップされる未来のものも、全部読めるのでお得です。
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#読書感想文

紀蔚然 舩山むつみ「台北プライベートアイ」読みました

紀蔚然 舩山むつみ「台北プライベートアイ」読みました。面白かったです。

「PUBLIC HACK: 私的に自由にまちを使う」を読みました

「PUBLIC HACK: 私的に自由にまちを使う」読みました。今まさに読みたい内容でした。面白かったです。 常々、「こんだけ豊かになった社会では、これからは、まちづくりではなく、まちつかいの方が必要だ」といってきたけど、それをパブリックハックという概念で説明されている。 ただ、この観念をわざわざ言わないといけない状況に私たちの社会はあって、本書はそのことに対する問題提起でもある。 例えば、法的には何の問題もない行為でも、それに対する不安を抱えた人々からの通報があれば警

「デス・ストランディング ディレクターズカット」をクリアしました

「デス・ストランディング ディレクターズカット」をクリアしました。面白かったです。 これ、オリジナルは2019年末に出たのか。コロナ禍の影響を受けたような描写もあったが、それより早かったことに驚く。優れたSFにはそういうことがある。 2010年代末というのは、グローバリズムの進展、アメリカ(に代表される先進国、日本も含む)における、リバタリアニズムとコミュニタリアニズムの葛藤、ポピュリズムの台頭、社会の分断。反出生主義の流行。20世紀的な国民国家的統合に由来する社会の崩壊

「レモンと殺人鬼」に一方的に感じたシンクロニシティ

私も京都に住んでいるといううっすいうっすいつながりだけど、京都出身、京都府立大卒、高校教員をしながら作家をするくわがきあゆ先生の「レモンと殺人鬼」読みました。面白かったです。 お話は、サイコサスペンス的なミステリー調で進んでいく。伏線の貼り方も丁寧で、加えてテンポもよく楽しく読めるように書かれている。

ジャンルを切り開いた作品はすごいねというはなし

ここのところ、しばらく酷暑と体調の不調とあいまって、自宅で過ごす時間を増やした。結果、また読書熱が上がってきた。 ちょっと前まではSF熱があって、ケン・リュウとか柴田勝家を好んで読んだ。今回はミステリにおどらされたい気分で、特に叙述トリックに騙されたい。綾辻行人「Another」シリーズとか、今村昌弘「剣崎比留子」シリーズとか読んだ。

最近読んだ本の感想。

最近読んだ本の感想。 斜線堂 有紀「楽園とは探偵の不在なり」 天使が出現し、二人以上殺人を犯すと天使に地獄に引きずり込まれるようになったため、連続殺人というものが成り立たなくなった世界で、なぜか起こる連続殺人に探偵が挑む、という話。

年末年始の宿題で「鬼滅の刃」全巻一気読みしたという話(いまさら)

年末年始の宿題として「鬼滅の刃」を全巻買って読みました。いまさら。感想をメモしていく過程で、作中の描写に関して言及するので、私と同じように、ホットな作品はリアルタイムではなく寝かしてから読みたい、という人はネタバレを避けたい人は以下はスルーしてね。 最近のジャンプ漫画はレイド戦が流行り?

運命にどう対応するか、能動的に決めるという話−トム・ニクソン (著), 山田裕嗣 (著), 青野英明 (著), 嘉村賢州 (著) 「すべては1人から始まる――ビッグアイデアに向かって人と組織が動き出す「ソース原理」の力 」

 流行りのトム・ニクソン (著), 山田裕嗣 (著), 青野英明 (著), 嘉村賢州 (著) 「すべては1人から始まる――ビッグアイデアに向かって人と組織が動き出す「ソース原理」の力 」を読んでいる。  多分、翻訳本であるということもあって、解釈の幅の広い書き方になっているので、詳しい人達による解釈議論がおそらくは重ねられているだろうと思うけども、それはそれとして、自分はどう解釈したか、どう触発されたか、という話をメモしておきたい。だから書評ではなく、感想文。

身体が近くにいることで生じる「ついで」の効果〜東畑開人『聞く技術 聞いてもらう技術 』・小川 さやか『チョンキンマンションのボスは知っている アングラ経済の人類学』

 ここ最近、私はあまり元気がなかったのだけど、ちょっと散歩した先でなにかイベントをやっているのを見かけて、近づいてみたら、そこで古い知人とばったり出会って、「あらータニさんじゃないですか、奇遇ですねー」みたいなところから3分くらい立ち話があった。その時間を経て、なんだか自分の中の元気の無さが薄れていたのが印象的だった。  多分、ここ最近の自分の元気の少なさは、FOMOの一種みたいなものじゃないかと薄々思っていて。しかし冷静に考えれば、その感覚でさえ幻みたいな、まあ要するに想

「定型発達者のあなたが飛び跳ね”ない”理由」とは?〜東田 直樹『自閉症の僕が跳びはねる理由』

 東田 直樹『自閉症の僕が跳びはねる理由』角川文庫を知り合いが勧めていたので読みました。面白かったです。  本書は、Amazonでの解説によるとこうである。  本書では、自閉症当事者とされる著者が、定型発達者から見て不思議に思える自閉症者の特徴的な行動に対して、当事者の立場から言語化して説明している。なので節タイトルも、例えば「どうして飛び跳ねるのですか?」とか「どうして人の目を見て話さないのですか?」というような質問形で書かれている。  例えば人の目を見て話さないのは

ビジネスに限らず大抵のパーソンにとって必要なのは「環境との適応を妨げるほどの過度な感情のマネジメント」なのかもしれない〜安宅和人『イシューからはじめよ 知的生産の「シンプルな本質」』

 安宅和人『イシューからはじめよ 知的生産の「シンプルな本質」』を読みました。面白かったです。

「寄生獣」の浦上に対する村野の意見〜品田 遊『ただしい人類滅亡計画 反出生主義をめぐる物語』2021、イースト・プレス

 品田 遊『ただしい人類滅亡計画 反出生主義をめぐる物語』2021、イースト・プレスを読みました。面白かったです。  オモコロのライターとして知られるダ・ヴィンチ・恐山こと品田遊が反出生主義をテーマに書いた小説。人類を滅ぼす力を持つ魔王が、人類を滅ぼすべきか、人類の代表10人に話し合わせる、という対話劇。そしてその10人の中に、反出生主義者がいて・・・という話。  反出生主義というのは、古代ギリシャの時代から割と繰り返されてきた言説、というか、「パンクな叫び」としてあった

「縁が君を導くだろう」〜ターリ シャーロット (著), 上原 直子 (翻訳)『事実はなぜ人の意見を変えられないのか-説得力と影響力の科学』白楊社、2019

 ターリ シャーロット (著), 上原 直子 (翻訳)『事実はなぜ人の意見を変えられないのか-説得力と影響力の科学』白楊社、2019読みました。面白かったです。  最近でも話題だったワクチンを打つかどうかみたいな話でもそうであったように、ワクチンの有効性にしても害毒にしても、事実は人の意見を変えない。 これはなぜなのか、というお題を切り口に、行動経済学や社会心理学の知見が示されるわけだけど、端的には、人間の頭がそういう風に作られてないからだ。  むしろ、下手にデータを与

中島岳志『思いがけず利他』読んでモテるまちづくりについて考えた話。

 中島岳志『思いがけず利他』読みました。面白かったです。  本書の解説するところの、ジャックアタリのいう「合理的利他」の危うさは、まちづくりやってても理解できるところであった。拙著「モテるまちづくり」で提案したモテまち理論で言う「インストゥルメンタル」にモテようとする態度で、行為の受け手の「受け取り方」を支配しようとする行為で、つまり、モテない。  合理的利他とは、いわば「短期的に経済合理的な人」を利他へ促すための方便として、一時的に有効な手段だったと思う。だけど、やっぱ