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ヨゴレを全うする覚悟を夢の中で友人に語られた話。

 今朝見た夢の中で、昔の友人が、「仕事なんて、普段無視されているくらいのもののほうが価値があったりするんですよ」と言っていた。この人はとても頭のいい人で、彼の発言は常につぶやくように小さく、短いが、アイスピックのようにポイントを深く突き刺すのである。今回もその期待を裏切らなかった。まあ、夢だけど。

 確かに、コロナ禍で観測されたのは、これまで当たり前でありふれていて、そうであるがゆえにありがたみがないとされていた仕事を、「エッセンシャルワーク」と人々が呼び替えてありがたがる、という現象だった。

 一方で、人々の目耳を集める仕事は、目新しく、刺激的で希少だ。しかし、焦ってそれを目指してあくせくしたり、そうして新しく注目を集めることで「ほんとうのじぶん」を確立したような錯覚に酔ったりするのも、違うでしょ、ということを、その友人の言葉は含意していた。

 関西弁で「ヨゴレ」というものがある。Weblio辞書によれば「見る者によい印象をもたれづらい役割や立ち位置にある人物。頻繁にいじられ役にされたり体を張ったりするような、ある種自身を犠牲にして場を盛り上げる人物によく用いられる言葉」であるという。

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