バカな体育会ノリが苦手

国士舘高校剣道部、名門である。しかし、先日のスクハラ、パワハラ記事を読んでムカムカする。少しでも「共感」してしまう部分もあるから尚更。

私自身、強くはなかったが小学2年から15年間の剣道経験者、息子も現役高校剣道部なので余計に他人事ではなく、ムカついて仕方がない。ダメだこりゃ。


週刊誌報道を鵜呑みにするが、以下の保護者が作成した報告がまじキチだ。

〈試合内容が悪かった先輩が、顔をつかまれて何度も壁に叩きつけられていた〉

〈遠征時のバスで疲れて寝ていた主将が顔を殴られ起こされていた〉

〈監督が話しているときに鼻を掻いてしまい、「鼻を掻いた状態で一生動かすな」と言われ、学校でも強制的にやらされた〉

〈(怪我をしても)K監督の同級生が営む接骨院にしか通院を認めてもらえない〉

〈先輩が「お前の顔が気に食わない」と言われ、殴られていた〉

などなど。生徒側だけの意見だが、話半分50%で聴いてもアホな環境や。

厳しい指導は有り

個人的に国士舘の「勝って打つ」正剣な剣道スタイルは見ていてかっこいいし、好き。今回の「被害者になってしまった」生徒も、関西から国士舘の剣道に憧れ、一流の環境の中で鍛え、鍛えられて自分の目的、目標に挑めると信じて門をくぐったはず。親元を15の春に離れて寮生活、親も寂しかったろうが、本人の夢のために喜んで背中を押したであろう。

だから、厳しい稽古や規律が嫌なはずはない。一日中好きな剣道を考え、キツイ稽古やトレーニング、部内の競争などは、喜んで乗り越えていただろう。主将だったとの報道からも、リーダーシップが有り、周囲からも信頼されていたことが見てとれる。

それが「国士舘大学で剣道しません」という、たったそれだけの理由でここまで追い込む指導者のお猪口の裏のような器の小ささ。そして学校側の「当然でしょう」然とした対応。男塾のダメ教官よりもダメな雰囲気。

なんちゃって体育会系の私も今、社会人生活も折り返しになってわかる体育会系のダメなとこ。良い部分もあるが、苦手です。

バカの体育会系ノリが嫌い

何が嫌か。

理不尽さ?前例踏襲、伝統?年功序列?軍隊?融通の効かない精神論?

昔から「バカな先輩」が嫌い。たった一年、二年早く生まれた「だけ」で偉そうにする先輩。セクハラパワハラモラハラ。ハラスメントが「面白い」と感じる程度の低さ。そして無駄に偉そうな先輩は大体弱い。

大きな声で「ハイ」とさえ言っていればOK。面従腹背になる文化土壌。「イエスかハイしか返事がない」なんて、コミュニケーションでさえない。また、それを許さない。「俺が先輩になった時、絶対偉そうにしないぞ」と決心したのは中1の春でした。

体育会系の良い部分は「自分で考える」習慣を得られること。仲間が増えること。競争の激しさを知っていること。

ダメな部分は「自分で考えない」不条理に慣れること。誰かが決めた「伝統」に縛られていれば一定の評価を受けられる。しかし、自分で考える奴は結果を出し、考えない奴は結果が出ない。社会人になってもそのマインドが抜けきれない。平成初期で終わってるはずの価値観。そんなのが苦手です。

そんな価値観のまま、剣道人口は今後どうなるか

過去に全日本剣道連盟が行った剣道人口の調査によると、活動中の剣道人の総数は約48万名、そのうち有段者は29万名。内訳は一般社会人40%、中学生以下が45%、半数が小学生以下。男女構成では女性が23%。組織別には学校剣道部28%、警察関係14%、一般道場・スポーツ少年団が58%。総剣道人口としては、今回把握した無段者含め170万名弱とある。柔道人口が16万人とのことだから、柔道の10倍もの規模である(国内だけの話)。世界では柔道が逆転するけれど。

しかし、この数字の裏に別のデータも。

大阪の小学校の剣士の数は約3000人。学年で約1000人。中学生剣士が1900人、学年約650人。そして高校三年になると学年あたりで300人になっている(2017都道府県別統計とランキングでみる県民性、他)。大学で剣道する生徒はさらに10分の1くらいではなかろうか?地方も同じような割合だと思う。

もったいない

大学院でマーケティングを研究しているので、私が知っている体育会系=剣道界をそっちの世界で考えてみた。マーケティングの目的は簡単に言うと「売れる仕組みづくり」。「売れる」の定義を「活性化」で定量、定性化すると、剣道人口を増やす、質を上げることにする。

少子化で剣道を始めるチビッコ剣士達はこれからも減り続けるであろう。「売り上げが下がる」ということになる。大人になって新規で剣道を志す人は少数であろう。ということは、過去客=経験者の掘り起こしが活性化のために簡単で重要な方向性だとなる。高齢化社会では「昔取った杵柄」層をコチョコチョしていくほうが早い。

ま、「活性化」の施策は別の機会に。

大阪の例のように、体験客をわずか6年で10分の1規模にしてしまうという愚策をこの数十年、剣道界は繰り返した。よく言われる剣道の悪要素は①臭い②暑い③高いが挙げられる。③の防具は30年前からすると半額以下で買えてしまう。①の臭いは、最近は小手をつけるときに臭いが爪に残らぬように「手袋」していたりする。ファブリーズもある。それでも臭いのだが、まあ改善された。②の暑いに関しても、水も飲めるし休めるし…ま、これは暑い💦

なのに、なんで90%の剣道を辞める層が毎年発生するのか?原因、理由は数多あれど、一つの理由に「煩わしさ」があるのは間違いない。ここで言う「煩わしさ」とは重い防具を運んだり準備したり、道場探したりなどの物理的なものと、道場、父兄、先輩後輩、師範、先生、コーチなどの関係に割く時間や気持ちの部分である。

剣道に限らず他のスポーツや武道でも、社会人の「昔取った杵柄」をリフォームする競技人口の増強に充てたいという作業はあるのだが、武道は際立って「人間関係」がボトルネックになりやすい。

それが「先輩後輩」。酷いのになると、五年先輩とか10年後輩の序列が厳然としてある。

もう21世紀も始まって20%過ぎた。あと20年後、一番剣道人口が多かったはずの我々ベビーブーマー世代が高齢世代になる頃、剣道界はどのような状態であろうか?同期会で話す「昔の部活は大変だったけれども楽しかった」と言う思い出話は良いけれど、現役世代はそうもいかない。

案外、海外でやっている剣道の普及にヒントがあると思うんだけどな。

21世紀ですよ。




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