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「源さんですよね?」

月曜日は、淋しい日。

これポエムでもなんでもなくほんとに。
なんでかというとわたしは月曜は仕事がなくて(会社が月休なんです)、家族はみな学校や仕事へ出かけていってしまうんですね。

家でひとり掃除や洗濯をしたり、ってそんなの普段もやってるけど、いつもはできないところを掃除したり、大物の洗濯をしたり、台所を綺麗に洗ってみたり、で、やがてひまになり、ふと気になった美術館に出かけてみようかと思いたち、そして美術館というものはほとんどが月曜休みであることに愕然としたりしている。

https://www.ejrcf.or.jp/gallery/index.asp

※これに行きたかったのです


週の始まりでみんなが動き出しているのに、自分だけおいてけぼりを食らったみたいでさみしい。それを「ゆっくりできて嬉しい」と感じられない我がわびしさよ。

月曜じゃなくて、水曜くらいがよかったな。
ま、それはそれで水曜日の淋しさを味わうんだろう。

・・・

淋しく街をぶらついていたら、コボリさんから
「来週の18時にまたストリートライブ(弾き語り)をしますのでよかったらお寄りください」
というお知らせLINEがきた。

注:コボリさんについてはこちら↓

この寒い時期に外で演奏するというのはすごいな。
弦楽器経験者なら想像がつくと思うが、冬の屋外で演奏するなんていったら、指がカチコチで運指がままならない。
昔、どういうわけだか忘れたが若い頃に品川駅の近くでマンドリンのストリートライブをしたことがある。冬だった。めちゃくちゃ寒くて、指がちっとも動かなかったことだけは覚えている。ただただ寒くて。

でも、またコボリさんのブルーハーツ「夕暮れ」聴きたいな。「心の旅」とか「喝采」「虹と雪のバラード」「結婚しようよ」とかリクエストしてみたい。

で、LINEをよく見たら、終盤に、

「ののっつさんのバイオリンもいつかぜひ聴きたいです。いつか一緒に演奏しましょう!すぐでなくても、いつか必ず!」

なんて書いてある。
あ、いやいやいやいや無理だから。
真顔で無理だから。
まだビブラートもできないし、1ポジの音すら安定してなくてキャプテンに「レの音またずれてましたね!(笑顔)」とか言われまくってるので。

バイオリンやってる、と言うと「なにか弾いて~」と言われ、昔からやってる人だと思われてしまいがちである。よもや40代にして楽器を入手してゼロから始めたなんて思わんのだろう。

「ありがとうございます。でも、実はまだ習いたてで、ドラえもんのしずかちゃんのバイオリンのような音しかご披露できませんので、いつかのいつか、ご一緒できれば嬉しいです。それまで精進いたします」

と返信した 。

すると、

「源さんですよね?とんでもないです!!
 いつかご一緒に演奏できる日まで、ストリート問わず音楽活動続けて参りますね!」

と返事がきた。

「源さんですよね?」って。
思わず笑ってしまった。ええ、源さんですよ!
ドラえもんのしずかちゃんといえば源さんしかいないのよ。もしかして他にバイオリンの上手な別の「しずか」が外伝とか映画版に登場したとでも思ったのか。
あとそれに続く「とんでもないです!」って、しずかちゃんのバイオリン演奏がとんでもなく酷いということであればザッツライトなわけですが、たぶんコボリさんはなにがしかの励ましの意味で「とんでもないです!」とフォローしているのだろう。それもなんだかおかしい。

ようは、すごいいい人なんだよな、コボリさん。
好青年がそのまま歳をとったという感じの、いい人オーラを発している人だ。で、いい人で苦労してそうでもある。

・・・

バイオリンを習い始めて7ヶ月。

最近は単独記事は上げておりませんが、ようやく憧れだった曲「主よ御許に近づかん」へと教本も進んで、えっちらおっちら弾けるようになってきました。

キャプテンは相変わらずディズニーぽい笑顔で、夏は「ポケットからなにか飛び出し系」のTシャツを連続で着ていたが、冬は「チャックから忍者がぶら下がってる」パーカーを着ておられたりしている。

前回のレッスンでお手本で弾いてくださった「主よ御許に近づかん」はとてもとても美しかった。
奏でる音に讚美歌としての祝福や祈りがのせられているようで胸が震えた。こんなふうに弾けるようになりたい。

で、キャプテン、その美しい演奏の直後に、

「これって、主よ…なんて読むんですかね?」

と笑顔で尋ねる。

「あ、ええと、主よみもとに、だと思います」

と答えると、

「へー、みもとって読むんですか。ぼく、ずっと「おゆるし」だと思ってました!」

あはっと笑うキャプテン。
ケロッとした明るさと演奏とのギャップ。なんかおかしかったな。

秋からいろいろと辛いこと、めげること、悲しいことが続いて「レッスン休もうかな」「こんな精神状態でバイオリンなんて無理」と思うことが何度もあった。
レッスンの直前まで車の中で泣いてたことも。
でもレッスン室に入ってキャプテンと楽器に向き合うと、いつもフラットな自分にもどれた。そのことがどれほど救いになったか分からない。

いつかきっと、そんな時間の積み重ねがわたしらしい演奏をつくっていくといいなと思うし、もっと綺麗に楽器の音を出せるように引き続けていって、いつかコボリさんと「夕暮れ」を一緒に演奏できたらいいなども思う。

・・・

月曜の街を、すこしの淋しさを抱えて歩く。

いなくなってしまった人のことを思って淋しいんじゃなくて、いま自分の近くにいる人のことを思って淋しくなるんだ。

そんなことを、ふと思う。

でも、淋しくても生きていく。
がそばっていきましょうよ、と自分に言い聞かせるのだ。







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