見出し画像

人生は山芋

ここ数日、風が強い。

2月だけど春みたいに暖かくて、ぽかぽかしてて強風の日が続く。
なんだか、あれ、この暖かさってもう春になるのかな?いやいや、まだだよね2月だし、なんて思いながら強めの風をうけて歩いている。

最近は、うむ、元気ではない。

元気では、ないんだなー。
舌痛症でのんでいるお薬や、あれやこれや、なんだかんだのお薬で、ふぅ、元気ではない。
どっちかというとションボリ、いや、無になってるときが多いと思う。
家にいるときは、本も読まず、テレビもみず、スマホもみず、ただ横にごろりと転がって目を閉じてる時間が多い。そうしたくてそうしている。そして、いつの間にか眠ってしまう。

だから休みの日はなるべく家にはいずに、カフェに行ったり、散歩をしたり、外に出るようにしてる。人がざわざわしてるところへ行くとほっとする。

薬ってなんか、すごいけど、怖いよね。
効くけど、怖いよね。

舌痛症のお薬というのは脳からの「舌よ、痛め!」という誤司令をなだめるというか、穏やかにするお薬なので、なんとなく心が凪ぎすぎて無になってしまうのだ。つらいわけではない。無になる。

夜の、波ひとつない、静かな海みたい。
だからすこし怖いんだ。

ただ、別に元気が全然ないわけではない。
朝ごはんを食べ、おいしいと思う。黒糖の味がする丸いパンが好き。中にマーガリンが入っている。マーガリンが染みててうまい。と感じる。

夜ごはんも、ヨイショと気合いを入れてから、なんとかつくる。最近は蓮根の洋風きんぴら(オリーブオイルでニンニクを炒め、太めのささがきみたいにした蓮根を炒め、お酒でちょっと蒸し、お塩だけで味付けする)が家族にヒットした。あとはぶりの照り焼きとか、菜の花のマリネとか、ブロッコリーのポタージュスープとか、まぁまぁ日々、季節の料理をつくってる。
(本当は夕飯の献立を考えることも、つくることもかなり気合いがいるし、めんどくさいと泣きたくなるときも多い)

仕事にも行く。同僚としゃべったり、利用者さんとしゃべったり、笑ったりする。プログラムをうまくこなせた時は充実感を覚えるし、うれしい。
ただ、なにもすることがない時、呆然として「もう帰りたい」とすぐに思ってしまう。たぶん、お薬の影響で思考が呆然とストップしがち。帰らんでもいいだろ、と思うが、何をしていいのか分からなくなるのだ。

わたしの仕事はずっとやることに追われているようなお仕事ではないため、ただなんとなく時間を過ごすような時も多い。前はそんな時間もそれなりに過ごしていたが、その過ごし方がよくわからなくなった。無になっちゃうからね、なにしろ。無を無としてやり過ごせなくなってるんだね。

そんな自分を、もう一人の自分が、背後のちょっと上空から見てる。

「あんた、元気ないね」

と腕組みしながら見てる。

「無だね」

はぁ、そうなんです。もっと「活き活き」って感じになりたいです。

「いまは無理でしょ」

ですよねぇ。

「でもさ、とりあえず一日、一日、やってくしかないんだよ」

そっすよね。
いまは、そうなんっすよね。

だってまだ舌は痛い時があるし、薬はやめるわけにはいかないし。
人生はそんな病もつきものであるのだし。

と、いま打ったら、

「人生はそんな山芋つきものであるのだし」

と変換された。

人生は山芋。なんか笑える。
山芋か。
無ではない。笑えた。よしよし。

なにぶん元気のない傾向の2月ではあるが、やり過ごす、やり過ごして春には元気になろうと思う。
春には元気になれるんだと思う。
思うってことも、人のもつ力だからね。

・・・

娘がお抹茶を点ててくれた。
「左近の桜」というお菓子とともに。
春めいている。