カウンターバランスの話

クライミングの基礎技術において、カウンターバランスは最たるもので、
ここを理解するとかなり応用の効く考え方だと思っています。
「気持ちいい動き」と言われるものは基本的にカウンターバランスが取れている場合が多く、逆足で次のホールドを撮りにいく場面ほど不安定になります。

基礎ですが奥深い技術なので、ここで改めて整理してみようと思います。

ダイアゴナル

一番オーソドックスなバランスの取り方で、保持している手と対角にある足とを固定してバランスを取ります。
正体、側体共に使え、かつ上方向への距離も出しやすいため汎用性が非常に高いです。

フラッギング

逆足となっている場合に、順足を保持している側の手の方向に振る技術です。(解説系の動画がたくさんあります)
インサイド、アウトサイドがありますが、特によく使うのはアウトサイドかと思います。
足の踏み替え回数を減らすことができるので、腕の消耗を減らして省エネに貢献します。

基本的な考え方

ダイアゴナルにせよ、フラッギングにせよカウンターバランスが取れていれば、安定します。
例)「右手保持+左足踏み」=「右手保持+右足踏み+フラッギング」
  カウンターバランスを取れているので、どちらを選択しても良い

つまり”ダイアゴナルとフラッギングはお互いに代用できる”ということです。

例外的な場面

課題によっては「フラッギングでないと厳しい」「ダイアゴナルでないと厳しい」という場面があるのですが、ここが理解を妨げている気がします。
ダイアゴナルとフラッギングはカウンターバランスとして、セットで考えるべきなのですが、全てのケースで代用できるわけではないので、
別個の「ムーブ」として認識されがちです。
基本的な考え方は”代用できる”として持っておきつつも、ダイアゴナルとフラッギングの細かな例外を覚えておくのがいいと思います。

・ダイアゴナル
⇨縦方向(特に上方向)への距離出しに優れる。
 横方向も対応可能だが、股関節の可動域によっては
 壁から離れてしまうことがある。
 (正体で高めのフットホールドに足を置く場面など)
 取り先のホールドがアンダーで、上体を上げなければいけない場面では
 ダイアゴナルの方がしっくりくる人が多いと思います。

・フラッギング
⇨壁と腰の距離が近くなりやすく、かつ重心位置を低く保てる。
 一方で距離を出すことは苦手で。上体の出力やリーチに左右されやすい。
 側体になることが多いため、柔軟性の要求は少なめ。

まとめ

ムーブそれぞれを別個に引き出しているよりも、目星をつけて「選択する」ことでオブザベーションの精度も上がります。
互換性のあるムーブはフック系もそうですので、次回以降の記事でまとめます。

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