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生物季節観測の種目・現象の変更

こんばんは、nooooon(@nooooon_met)です。


今日は気象庁からこんなお知らせが。

生物季節観測の種目・現象の変更について

令和 3 年 1 月より生物季節観測を植物の 6 種目 9 現象を対象とした観測に変更します。
(※1)

けっこう大きな変更に感じられる、そんな内容だったりしますが・・・。


1.『生物季節観測』?

そもそも、『生物季節観測』とは何なのでしょうか。

気象庁HPに概要が掲載されています。

気象庁では、全国の気象官署で統一した基準によりうめ・さくらの開花した日、かえで・いちょうが紅(黄)葉した日などの植物季節観測(注)や、うぐいす・あぶらぜみの鳴き声を初めて聞いた日、つばめ・ほたるを初めて見た日などの動物季節観測を行っています。
観測された結果は、季節の遅れ進みや、気候の違いなど総合的な気象状況の推移を把握するのに用いられる他、新聞やテレビなどにより生活情報のひとつとして利用されています。

(注)植物季節観測の多くは、観察する対象の木(標本木)を定めて実施しています。

(※2)

一般的に馴染みがあるものとしては、さくらの開花・満開ではないでしょうか。


生物季節観測の歴史や観測方法については、『統計京都』の2013年5月号に投稿された、京都地方気象台防災業務課による記事が参考になりそうです。

また、松江地方気象台HPには、いくつかの種類について詳しめの解説があります。


2.今回の変更内容

※1のお知らせ内容だけだとイマイチどんな変更があったのか分かりづらいかもしれませんが、『配信資料に関する技術情報第547号』の表を見ると分かりやすいと思います。

キャプチャ

キャプチャ1

※3

『動物季節観測』の廃止はもとより、『植物季節観測』もだいぶ廃止されるというのが一目で分かります。


ただ、生息環境の変化等の影響もあってか、動物季節観測は対象動物が見つからずに「欠測」となってしまうこともあるようです。松江でトノサマガエルが欠測になった時の記事が見つかりました。


3.思うこと

気象かいわいに居るものとして、それなりに・・・だいぶ思い入れのある、生物季節観測。廃止に寂しさを感じるところはあるけれど、正直、「どれだけの人が生物季節観測のことを知ってるの?」・「どれだけ必要とされているの?」・・・というふうにも思うところもあるので、賛否両論が生まれていくのかなと思います。


ただ、気象庁のお知らせでは、「廃止する種目・現象を含む観測方法を定めた指針を気象庁ホームページで公開する予定」という一文もあります。この指針を基に、興味のある方・団体が、今後も継続的に観測を続けていく・・・という未来も思い描くことができるような気がします(予報士会MLでも、ほぼ生物季節観測に近いことが行われているような情報が流れますし)。


ところで、せっかくなので生物季節観測に関わる論文を探してみたところ、『九州地方の生物季節について』というのが見つかりました。

もう40年以上も前のものですが・・・あとがきの言葉が、なんだかしんみりときますね。



そんな、今日このごろ


1:気象庁HPから引用→https://www.jma.go.jp/jma/press/2011/10a/20201110oshirase.pdf

2:気象庁HPから引用→https://www.data.jma.go.jp/sakura/data/index.html

3:画像は気象庁HPから→https://www.data.jma.go.jp/suishin/jyouhou/pdf/547.pdf