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ハロと高層気象観測

こんばんは、nooooon(@nooooon_met)です。


昨日は昼過ぎにハロを観測することができました。

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@東京

ポピュラーな22度ハロ(内暈)だけでなく、9度ハロも撮影できているような気がします。


ハロは、上空にある細かな氷の粒(氷晶)によって、太陽や月の光が屈折されることで現れます。上層の雲、特に巻層雲があるときに見られることが多いです。

確かに、ハロが現れていた昼過ぎには、上層雲がかかっていました。衛星画像を見ても、その様子が分かります。

https://himawari8.nict.go.jp/himawari8-image.htm?sI=D531106&sClC=ffff00&sTA=true&sTAT=TY&sS=9&sNx=3&sNy=1&sL=-624.0608740234375&sT=-332.6456870117188&wW=1113&wH=733&sD=1620447000000


さてここで・・・世界の各地では、上空の気象状況を知るための観測として、『高層気象観測』というものが行われています。

イメージとしては、「軽い気体(水素)を入れて膨らませた風船に観測機器を取り付けて、空に向かって飛ばす」という感じです。

日本でもいくつかの公的機関・民間企業によって観測が行われていて、気象庁では基本的に毎日2回、9時と21時に実施されています。


実は一昨日の朝9時ごろ、茨城県のつくば市でもハロを観測することができました(お仕事中なので写真なし・・・)。つくば市には、気象庁の高層気象台という施設があり、名前のとおり高層気象観測が行われています。

ハロが現れていた時間帯はちょうど高層気象観測が行われていた時間帯!
ということで、観測結果を見てみます。


高層気象観測の結果は気象庁のホームページでも公開されていますが、アメリカにあるワイオミング大学は、世界各地での観測結果を公開しており、気象予報士にはおなじみの『エマグラム』というものも閲覧することができます。

エマグラムは、横軸に温度、縦軸に気圧をとったグラフです。気圧は上空に行くほど低くなるので、高度と同じようなイメージで見ていただければと思います。

説明はこれぐらいにして、さっそく実際のエマグラムを見てみましょう。一昨日の朝9時、高層気象台(地点名としては「館野(Tateno)」)で行われた観測の結果がこちらです。

グラフ上に黒い実線が2本、クネクネと引かれていますが、右側の線が気温を、左側の線が露点温度を表しています。露点温度という単語は聞きなれないと思いますが、要は「2本の線が水平方向(横方向)に近くなっていると、その高さの空気は湿っていますよ」ということを表しています。また、グラフの横軸と見比べることで、その高さでの気温が分かります


雲は無数の水滴や氷晶といったものでできていて、空気が湿っていないと生じません。つまり、エマグラムを見ることで、雲が生じやすい状況だったのかどうかを確かめることができます。

今回のエマグラムを見てみると、550hPa以上の高さが湿っているのが分かります。あくまで観測機器が通った“点”のデータではありますが、中層~上層が湿っていたことが分かります。確かに、この時間帯はハロが発現していた巻層雲(=上層雲)以外に、周囲には高積雲(=中層雲)が存在していました。

また、気温は、ハロを発現させる形状の角柱状氷晶ができるような温度だったことも分かります。


ということで、ややとりとめなく、難しくなってしまいましたが・・・目で観たことを、観測機器で観たデータと比べてみよう!という試みでした(前も何かでやりましたね)。


なお、このときの衛星画像はこちらになります。

https://himawari8.nict.go.jp/himawari8-image.htm?sI=D531106&sClC=ffff00&sTA=true&sTAT=TY&sS=9&sNx=3&sNy=1&sL=-624.0608740234375&sT=-332.6456870117188&wW=1113&wH=733&sD=1620343800000

やはり上層の雲がかかっている様子が見てとれますが、中層雲はいまいち分からないです。こういうとこも、目で観る(目視観測)の強みのひとつだと思います。



ちなみに、エマグラムはいろいろと奥が深いんですが、とても語りつくせないので、今回はここらへんで割愛します。大雨の時とかに、大変参考になるのです。





そんな、今日このごろ