見出し画像

劇団に入ってうつ病になった話④

前回は、怒涛の初舞台公演について書いてみました。


4回目となる今回は、グループに配属されてからの話を書いてみようと思います…!💨


初舞台公演が終わり、同期それぞれが自分の配属されるグループを知らされ、無事劇団員の一員となった私たち。

グループの一番下の学年、つまり最下級生として劇団生活をスタートさせていくのですが、
金銭的な話をすると、最下級生はお給料が出ません!!??!
つまりボランティアです。


いや、逆に研修費的な感じでお金を年間ウン十万払っていたので、もはやボランティアでもありません。こわい。

ちなみに、配属されるグループは知らされましたが、いつからお給料が払われるとか、月いくらもらえるとか、どういった契約になるのか、とか、そんなあるはずの説明がそもそも一切なかったんですよね…


ここから劇団内のブラックな面が徐々に出てくることになります。


最下級生には、それはそれは沢山の仕事・決まりごとが待ち受けています。
例えば、


・グループ内ではスケジュール関係なく必ず一番に楽屋入りすること
・楽屋に上級生の方が入ってきたら、立って大きな声で挨拶すること
・上級生の方がゴミを持っていたら、素早く受け取って捨てに行くこと
・その日最初のお稽古が始まるまでに、必ず化粧(公演中であれば舞台化粧)を終えておくこと
・お稽古が始まる15分前までにはお稽古場に行って準備をすること
・お稽古中では音響を必ず担当すること
・グループ宛の差し入れが届いたら、トップスターの方から順にお配りすること


…等々

もうこれはほんのごく一部ですが、とにかくやる事が多すぎて、自分のことに手が回らない生活がずっと続いていくことになります。


そして、歌劇と言えば上下関係…!
とにかく上級生の方々が言うことは絶対。
仮に言っていることが違っていたり、誤解されていたとしても、言い訳しない。
怒られたら、謝る。謝る。謝る。の日々

最下級生は怒られることが仕事、とも言われていました。



上の方にお伺いしたいことがあっても、下の学年から順に許可をもらって上げていくとか、結構何をするにも時間がかかっちゃいます。

公演が近づいてくると必要になってくるのが、お衣装です。

衣装を用意したり製作したりする"衣装部さん"と呼ばれる専属の方がいらっしゃる劇団もあるのですが、私がいたところではほとんどいらっしゃらず…

つまり、衣装製作も自分たちでほぼやることになります。


衣装の元となる服は、基本的に劇団の取り締まりの方々が調達してはくださるのですが、フィッティングして丈上げしたりだとか、裾上げしたりだとか、スパンコール・フリルなどの装飾はこっちですることになるので、正直時間が足りません。


振付や場面ごとのお稽古、通し練習に加えて、衣装、また小道具も準備したりと、もう準備期間はバッタバタのバッタバタです。


朝6時台に家を出て、帰るのは深夜3時4時とか…
もはやお稽古場が家状態。

ここまでくると分かると思うのですが、圧倒的に睡眠時間が足りません。
足りないと言うか、もはや仮眠状態。

そして休みの日も不定期で、私が経験した中ではMAX25連勤ありましたね。
ほぼ1ヶ月不休やん。

睡眠時間が足りない→イライラした人が増えてくる→グループ内の空気が悪くなる→余計に疲れてミスが増える→上級生に怒られる→…

最終的には、この最悪無限ループが誕生します。


そして訪れる、公演初日直前の舞台稽古期間

もう今でも舞台稽古という名前を聞くだけで萎えるぐらいトラウマ級な存在ですが、
一体何をするのかというと、立ち位置を確認したり、ぶつからない様動く動線を確認したり、公演を行う上での最終チェックのような感じです。

細かく一場面ごとに確認していくので、主に下級生が舞台袖から手拍子しながらカウントを叫んだりするのですが、とにかくピリピリしていて
準備期間の終盤なので、もうグループ全員が限界状態。


一回舞台稽古の休憩中にトップスターの方が発狂されたことがありまして…それから舞台稽古という言葉を聞くと、なんだかいろいろ思い出してしまいます。

そんな波乱の準備期間を経て、ようやく公演初日を迎える訳です。
公演が始まっても、休みは不定期。
公演中でも21連勤とかありました。
とにかく体調を崩さないようにするのが大変でしたね…

公演期間中ももちろん大変ですが、一番幸せなのもこの期間でした。
自分が舞台に立って表現して、それを見て楽しんで下さるお客様がいる

その瞬間が何よりも幸せで。


公演前にどれだけ辛いしんどいことがあっても、それを余裕で帳消しにできる幸福感があり、その一瞬のために今まで頑張ってきたんだな、と
素直に思える貴重な時間で。
(出番が終わって袖に戻れば、また話は別ですが笑)

そしてそして、公演期間中には、お客様からお手紙やプレゼントもいただくことができました。

受験に合格してから周りとの劣等感で潰されそうなことも多々あったけど、そんな私でも見つけて応援して下さる方がいるんだ
その事実に在団中は何度も救われました。


ファンの方々のお手紙の存在は、何よりも無敵です。

1%の幸せのために、99%の大変な日々を生き抜く
ーそんな舞台生活も、自分の意志とは反して、突如終わりを迎えます…
(⑤につづく)

この記事が参加している募集

この経験に学べ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?