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北京ドタバタ旅行(9)

申請書を突き返されると、また父にめがねを借りて書いてもらわねばなりません。それに細かいところで戸籍謄本と少し住所の漢字が違います。 ローマ字を知らない母、疲労困憊の父、、、、。まぁそういうこともあるでしょう。なにぶん父は79歳、母は73歳です。

前途多難です・・・・・・

 なんだか不安いっぱいの申請書を持って母が再申請の列に並びましたが、どういう訳か再申請する人が沢山並んでします。10人くらいいます。まさかこの10人が全員、京都府旅券事務所をだまし損ねた人とは思えません

 時間は受付終了の20分くらい前です。母が先頭まで進み不受理にでもなると、再々申請は明日以降になります。何のためにお昼に家を出たのか分かりません。母もまた並び疲れたのか、並んだ列から少し外れ、腰を下ろしてしまいました。

 旅券事務所に着くなり座り込む人や、順番待ちの途中で座り込む人などいません。周りは若い人ばっかりです。父と母は老人会の会合と間違えて入り込んできたと間違えられるかもしれません。 父も下を向いて黙っています。歩き疲れたのでしょうか?たかだか300メートルです。しかしそれが応えたのでしょう。父も母も座り込んでいます。この父と母を連れて、北京まで行くのです。北京が遠い遠いところにあるように思え、旅行中のいろいろなことを考えると、珍しく落ち込んでしまいました。

 30才前に原因不明の難病になって以降、私が両親に与えた悲しみ、嘆き、それはきっと大変なものだったでしょう。今でこそ「誰が車椅子なの?」と言う風になるまでのことを考えるとき、この程度のことくらいでなんで落ち込むのと思い起こし、私はまた元気を取り戻したのでした。

北京ドタバタ旅行(10)

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