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減塩は正義??の話

ネットでいろんな記事見たけど長いから手短にまとめることにしたシリーズ


塩は少なければ少ないほど良いか?

一部に「旧石器時代の人類は1g以下のナトリウムしか摂取していなかった」という説があり、「塩は限界まで減らすべき」という説の根拠になってるが、この説は検証不可能。そもそも魚介類のように塩を多く含む食品を考慮していない。

平均寿命が最も長い国のいくつかは、平均ナトリウム摂取量も最も多い国であると報告されていて、世界中のほとんどの人は1日3~6gのナトリウムを摂取しており、「1日2.3g未満」というガイドラインに従っている人は世界で5~10%もいない。

特に、東欧、中央アジア、東アジアはナトリウムの摂取量が多く、1日平均4.2gを超えている
世界では西洋よりアジア圏のほうが長寿の傾向があるわけで、この点からも、「塩は減らすべき」って論がどこまで正しいのかは判断がつけづらい

塩を増やすと血圧も上がるのか?

高血圧の人には「塩を減らそう!」とアドバイスされるのが定番。でもデータ的には、ナトリウム摂取量と血圧の関係には明確な結論が出ていない

ナトリウムと血圧の関係を調べた最大規模の調査では(18カ国から10万2000人以上の被験者を集めたもの)、「1日のナトリウム摂取量が1g増加するごとに血圧が2.11 / 0.78mmHg上昇する」との結論づけてますし、322,624が対象のデータでもナトリウムの摂取量が多いほど血圧が上昇すると報告している。

まあ、ナトリウムと血圧にはまだハッキリした結論がないものの、「まー、塩を増やせば血圧は上がるんだろうなぁ……」ぐらいの感じ。弱い。

塩を減らせば心臓と血管のリスクは下がるか?

過去には「塩を減らせば減らすほど心臓病のリスクは下がる!」と言われていたが、2014年に行われたメタ分析では、

  • ナトリウムの摂取量は、1日2.7g以下でも1日5g以上でも健康への悪影響が増加する!

と結論が出た。

その後の大規模な研究でも同じような結果が報告されていて、だいたいは「ナトリウムは多すぎても少なすぎてもダメ!」という結論。
ナトリウムの摂取量は、1日当たり3〜5gの間で最も健康リスクが低くなり、さらには、より質が高い食事やカリウムを豊富に摂取している人ほど、高ナトリウムによる心血管の病気リスクが下がる。

塩と健康の関係について、質が高い研究は存在するのか?

科学の調査において、質が高い研究の代表といえばRCT。
正しい結論を出すにはRCTのデータが欠かせませんが、実は、現在までのところ減塩の効果を調べた良いRCTはない。もっと言えば低ナトリウム摂取(2.3g/日未満)と中等度摂取(3~5g/日)の違いを判断したRCTは存在しない

ちなみに、血圧に関する6つの試験から5762人のデータをまとめたメタ分析では、

  • 減塩で心疾患リスクが19%下がるかもだけど、死亡率は別に変わらないかも?

ぐらいの結論になっていたりします。
が、この結果はほとんど1つの試験に依存していて、この試験を取り除くと、メタ分析の結果は有意じゃなくなったため、このレビューでは、「減塩の効果を確かめるには統計の検出パワーが不十分」と結論づけている。

意外とハッキリした結論は出てない

減塩は現代では絶対の正義って感じていたけど。調べると意外と根拠が弱い減塩の科学。でもまあ、摂りすぎと摂らなさすぎは問題という、どっちつかずな塩梅。

まとめ:塩とどう付き合っていくのが良いか?

現状の科学的な証拠をまとめると、塩との付き合い方は、だいたい以下のようになる。

  • 塩の摂取量は、少なすぎても多すぎても健康に悪い影響を与える。

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