松本清張の小説の舞台15

今回は新潮文庫、傑作短編集(六)「駅路」の舞台を辿る。

「白い闇」は、石炭商の妻が主人公である。舞台は、常磐地方・北海道・上野・浅虫・青森・仙台・松島・奥入瀬・萱野高原・酸ヶ湯・十和田湖である。

「捜査圏外の条件」は、文春文庫、宮部みゆき責任編集「松本清張傑作短編コレクション」上巻にも収録されている。主人公は元銀行員でセメント会社の社員。舞台は、新宿駅・Y町(山中町?)・宇部・新宿の二幸・歌舞伎町である。

「ある小官僚の抹殺」に似た作品には「中央流沙」がある。主人公は官庁の課長補佐である。舞台は、熱海・岡山・大阪道頓堀・来宮・上目黒・渋谷・東京駅・品川・赤坂である。

「巻頭句の女」は、文春文庫、宮部みゆき責任編集「松本清張傑作短編コレクション」中巻にも収録されている。主人公は、施療院から俳句を投稿する女性である。舞台は、東京都西部の某所・中野と世田谷・北多摩郡・品川・四国のM市。

表題作の「駅路」の主人公は、定年退職した元銀行営業部長である。舞台は、東京・永平寺・下呂温泉・犬山・木曽福島・奈良・京都・串本・蒲郡・琵琶湖・広島・名古屋・可部線・長野県の山中である。

「誤差」の主人公は繊維会社の総務部長である。表題は、死後推定時間の推定の誤差のことである。舞台は、杉並区高円寺・東海道線から私線で2時間の湯治場・本郷・東海道線T駅・目黒区・大阪である。

「万葉翡翠」の主人公は、考古学好きの東京の大学生である。舞台は、糸魚川・西頸城郡・東頸城郡・新宿駅・小滝・青海・松本駅・松之山温泉・藤沢市・小滝川渓谷である。

「薄化粧の男」の主人公は、護謨会社の庶務課長の本妻と二号である。舞台は、練馬区春日町・練馬区高松町・中央区京橋・豊島区椎名町・池袋・新宿である。

「偶数」の主人公は、ある会社の調査副課長である。舞台は、S川(不明)である。具体的な地名の出ない作品はめずらしい。

「陸行水行」は、邪馬台国論争がベースになっている。主人公は私大歴史科の講師である。舞台は、宇佐・豊前善光寺・豊前四日市(大分交通豊州線と思われる)・安心院町・福岡県山門郡・国東半島・臼杵・大分・妻垣神社・温泉郡吉野村(不明)・宗像神社・志賀島・松浦郡・宇美町・糸島郡深江・山口県佐波郡・朝倉村・日田・豊後森・駅館川(やっかんがわ)・富貴寺・田染村(たしぶむら)・原鶴温泉・富来(ふき)である。その他多数の西日本の地名が作中に出てくる。

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