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ソープ嬢のお正月。

ふだん、本をつくっているので、毎日毎日あきるくらい活字を眺めている。正月休みのときくらい活字から離れればいいのだけれど、それとこれとは別腹である。

たとえていうなら、ソープ嬢がお仕事の時、さんざんいろいろな殿方のお相手をして、プロフェッショナルとしてがんばったあとで、ホストクラブに行って、殿方と遊んで発散する感じに似ている(たぶん)。

残念ながらそうした色っぽさは皆無だけれど、書籍編集者とて、仕事でかかわっている本とは全く別のジャンルを読むのは、悦楽。

男相手の仕事の疲れを、男遊びで癒す。本相手の仕事疲れを、読書で癒す。ソープランドに遊びに来る殿方と、自分でお金を払って会いに行くホストという殿方は、まごうかたなき「別モノ」であるのだ。

成功しなくていい。「なんとか力」が、つかなくていい。難しい漢字が使ってあってもいい。言い回しがまわりくどくてもいい。内容がわかりにくくてもいい。全編が長くてもいい。役に立たなくていい。「自分に関係ある」と万人に感じられなくてもいい。何より、べつに売れなくてもいい。

ただひたすら面白いのが正義。本って、たぶんそういうもんじゃないかな。



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