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日本がエンタメ王座を奪還できる唯一の可能性。

※本記事は関西在住の20代野良起業家が独断と偏見で斜に構えた考えを垂れ流していくだけの記事です。これが絶対正解!みたいな話ではないので、フィクションを読んでる感覚で起業家のナマナマな意見をお楽しみください。

はじめに

こんにちわ。日本一の小説家コミュニティを抱える出版プラットフォームBookBaseの代表をやってますオタクペンギン(社長)です。

今日もエンタメについて書いていこうと思うんですが、ちょうど先日エンタメ業界がざわついた話題がありまして、それがこちら↓

https://www.mizuhobank.co.jp/corporate/bizinfo/industry/sangyou/m1069.html

コンテンツ産業の展望2022〜日本企業の勝ち筋〜
なかなか仰々しいタイトルのファイルなんですが、これがなんと140ページ越えの大作でして、作成したアナリストの方も相当な情熱を持ってるんじゃなかろうかと邪推せずには居られない内容となっております。

しかもこちら、優秀なのは出版/映画/アニメ/音楽/ゲームと分けつつも一貫してコンテンツとしてまとめて書き上げているところです。コンテンツは連鎖している産業なので、個別に考えても勝ち筋は見えてこないというのは間違いありません。

そして、このレポートの締めくくりとして

世界のコンテンツ産業においても、日本のコンテンツ企業が生み出した作品 に対する評価は依然として高く、その背景にある日本企業が長年積み重ねて きたコンテンツ創出力は今後も簡単には衰えないだろう。しかしながら、本稿 で述べてきたように、グローバルプラットフォーマーがコンテンツ産業への投資を強化してきており、このまま行けば彼らの存在感が一層高まる一方、相対的に日本のコンテンツ企業の存在感が世界で薄れてしまうリスクがある。そのようなリスクシナリオを回避するためには、日系プレーヤーのより大胆な打ち手が必要不可欠であり、その打ち手を講じるタイミングは今しかない。 コンテンツ力を高め、コンテンツカタログを強化するには多くの時間を要する。 日本のコンテンツ産業プレーヤーが一定の競争力・財務体力を有している今のうちにこのような大胆な打ち手を講じれば、10~20 年後には今まで以上に大量のヒットコンテンツを創出する日本ならではのコンテンツ企業が誕生することも期待できよう。それが実現できれば、大量に蓄積された優良なコンテンツ・カタログを生かして、日本企業が世界で戦えるグローバルコンテンツ・プラットフォーマーとなることも夢ではない。 「Content is King」の発想のもと、世界で活躍する新たなコンテンツ企業の誕生に期待したい。

コンテンツ産業の展望 2022

と、かなり熱い締めくくりとなっており、如何に日本のコンテンツ産業に期待しているのかがわかる内容となっています。🐧これはエンタメスタートアップとしても無視はできない…!

さて、こんな感じでコンテンツにおける日本のポテンシャルは多くの人が認めるところではありますが、世界における日本の牙城は崩れつつあるのが現状であり、まともな打開策もないままジリジリと衰退しているのが現実です。

大胆な打ち手を打たなければいけないというのは間違いないわけですが、実際どうすればいいのか。そこについて自称日本有数のエンタメスタートアップの社長として考えていきたいと思います。🐧

ぶっちゃけ、日本がコンテンツ王者だったなんてとうの昔って話

少し前に日本ではクールジャンパンとかいって「ワテらジャパニーズのかっこええとこを売っていくんや!」と息巻いていた時期がありました。このときに伝統工芸とかの中に、コンテンツの話があって、オタク文化もすごいとこまで来たなと思わせてもらったわけですが、そんな話ももう古くなり、今や世界において日本がコンテンツのリーダーなんてことはないんですよね。

日本じゃなかったら、どこか。

韓国。そして中国ですね。

特に韓国はここ最近すごいです。

例を出すと、オタクじゃない方でもK-POPの世界的な盛り上がり方はニュースで見た人もいるんじゃないですかね。

そして、音楽だけではなくよりすごいことになってるのが漫画です。
まだ日本だとそこまで普及もしてないですが、スマホで読むことを前提とした縦読み漫画、俗にWebtoon(ウェブトーン)というやつです。※ウェブトーンっていう名前はLINEが商標出してたはずなので、プラットフォームによって名前が違います。

2021年時点で、4400億円という日本の横読みの漫画と並ぶくらい大きなものになってますが、これが2028年には3兆円にまで膨れるという予測もあるそうです。

https://signal.diamond.jp/articles/-/1119

もちろん、この縦読み漫画をやり出したのも韓国です。
漫画の分野で快進撃を繰り返しているのがカカオが擁するピッコマとNAVER擁するLINEマンガですが、これが両方とも韓国企業という現実。

LINEマンガ主力のNAVERももはやユーザー数7億人を超えて、5年以内には10億人を目指すということで、もうここまでいくとわけわからないレベルですよね。

こういったニュースを見ていると、やはり十数年オタクをやってる身としては『おいおい、コンテンツ大国日本は何してるんだ!』と言いたくなりますが、残念ながらコンテンツにおいて日本は世界から取り残された状況となっていると言わざるを得ません。

ふむふむ。音楽、マンガは確かにまずいかもしれない。
だが、日本が本当にすごいのはアニメだ!と言う声が聞こえますが、これも残念ながら王座から降ろされています。誰にかと言うと、中国です。

中国は元々アニメにおいて、日本の下請けとして機能していたわけですが、この経験から技術を向上させ、今や日本が作るものと謙遜無いレベルのアニメが出来上がったりしているそうです。

日本のアニメは世界の市場と合わせても未だ2.5兆円という規模を持っていますが、中国はすでに3兆円という規模にまで上げてきているそうです。
実はこれは2018年には逆転されていたそうで、多くの人が知らないまま日本はコンテンツの全分野で後塵を拝する結果となっています。

映画?
お察しなんで、ここでは書きません。🐧<調べるのもめんどくさいわ!!

というわけで、日本があぐらをかいている間に見事に他国にひっくり返されたわけです。

いや!鬼滅が!日本には鬼滅があるから!

とか言われそうですけど、一作の成功で全部が救われるわけでもないので、やはり危機感は持つべきだと思います。

これがアメリカなど地政学的にも全く異なる国であれば、根本的な文化の違いなどが要因となったりしますが、韓国については置かれている状況も日本に極めて近い中で、国として全力の支援などを受けて韓国が台頭してきたわけです。これは流石に日本が間抜け過ぎないかと思います。

さて、ではなんでこんなことになったんでしょうか。
ここからは僕なりの考えを書いていこうと思います。

日本はいつからビジネス主導のコンテンツづくりになったんだろうか

日本のコンテンツ産業が弱くなった原因は様々ですが、根本的な要因としてあるのは『短期的な収益を求めていった結果、良質な原作を作れる作家が生まれにくくなった』ではないかと思います。

アニメでもゲームでもマンガでも、媒体に関係なくヒットコンテンツの源流には優れた脚本/ストーリーが必須です。

特に近年では、アニメやマンガでもゼロから企画を立ち上げるのではなく、小説などの人気がわかっている作品を下地にした上でメディアミックスをするのが普通です。

このメディアミックスが主流になった理由も多くの企業が予算を出すための会議を行い、そこを通過させるためにギャンブル性の高い新コンテンツではなく、ある程度売上予測が立ちやすい既存作品をベースにするほうがやりやすいからというビジネスサイドの都合があります。

この方法は当然、大失敗はしにくくなりますが、原作の段階で人気が取れなければメディアミックスされないという逆説の構造であったり、原作から映像化までにどうしても時間がかかってしまい旬が過ぎてからの映像化になってしまうなどの弊害も多く存在します。

さらに、ここ数年は商業小説でも新企画の立ち上げは避け、Web投稿サイトなどで小説の原作を発掘して、書籍化するという流れが主流になりつつあります。こうなると、投稿サイトで人気の作品ばかりにコンテンツが偏りすぎる問題出版社に作品をスクリーニングする能力プロデュースする能力が落ちるという弊害まで生まれてきます。

アニメにおける製作委員会方式もリスクを分散することで多くのアニメ作品を出せるようにした画期的な方法ですが、これもやはり多くの企業で意思決定を行わなければならず、不確実性の高いコンテンツを出すことができる土壌というのはどんどんと失われてしまうこととなったのではないかと思います。

本来であれば、着実なヒットで持続的に資金を得つつ、その資金で大胆に勝負していくというような戦略を取るべきだったわけですが、残念ながら各企業は如何に失敗をしないかを指標として意思決定を下すことに特化していったために、オリジナルコンテンツが生まれない膠着状態となりました。

そして、そんな業界の状況のなかで、これまで存在した原作をつくることができる小説家や脚本家の人たちは持続的な活動基盤を得られないまま、偶発的に生まれた作品をパブリッシャーがピックアップすることで利益となる拾い上げの構造のなかでの戦いを強いられることとなってしまったという状況があると僕は考えています。

本来、コンテンツというのはその時の時代背景や状況などでヒットするかどうかは変わります。面白いコンテンツでも状況によれば受け入れられないこともありますし、その逆もまたあります。

それだけ不確実なものだからこそ、継続的に活動できる基盤をつくり、小説家や脚本家にとっての経験値を貯めれる環境を創ることがとても重要だったわけですが、現状はその逆になってしまったというのが、日本は世界のコンテンツ市場で負け出している要因の一つではないかと思っています。

本来の理想を言えば、コンテンツにおいてクリエイターの事情にビジネス側が合わせるのが理想であり、ビジネスサイドはクリエイターの邪魔をしないようにすることが必要だったわけです。(これはかのNetflixのCEOもインタビューなどで言っています)

しかし、今のWEBTOONなどでも見られるのもビジネスサイドが発起人となって、資金を用意して、クリエイターに依頼するというビジネスサイドから出発するコンテンツづくりになっています。
これで果たして本当にユーザーが熱狂するものが生まれるのかと言うと僕は疑問に思います。実際に、Webtoon発祥の地である韓国でも殆どの作品は個人制作のものです。

逆に、今までなかった作品や『これ本当に売れるのか?』っていうような作品が社会現象を巻き起こしてきた例はいくらでもあります。

日本というコンテンツが溢れている市場だからこそ、如何にして『出してみないとわからない』コンテンツを市場に出していけるかがこれからの鍵となると思います。

日本がエンタメで巻き返せる唯一の可能性と希望の話

さて、ここまで日本というとんでもない巨大な主語で雑にダメダメ論を書いてきましたが、批判するだけではしょうもないコメンテーターと一緒なので、ポジティブな話も書いていこうと思います。

まず、エンタメにおいて日本が揺るぎないアドバンテージを持っている点として、『国民総潜在的クリエイター』というとんでもない民族であるということです。

誇張しすぎですかね。いや、結構マジであると思うんですけど。

小説家、漫画家、イラストレーター、ゲームデザイナー、アニメーター…。

どのコンテンツかはさておき、日本では年代も性別も問わず、創作してる人口の多さは異常です。

僕も数えたこともなければ、そんな統計データもないんですけど、めちゃくちゃ多いです。
弊社は特に小説の分野に特化してるのもあって、作家さんとのお付き合いが多いですが、この事業を初めて最初に驚いたのは作家さんの多さでした。

作家さんの多さは小説投稿サイトの作品投稿数やサイト数である程度想像できると思います。※なんとなく感覚だと潜在的な作家人口は50万人〜80万人くらいじゃないかと想像してます。継続的に執筆されてる方も休止されてる方もいるので、本当になんとなくですが。

そして、作家だけではなくイラストレーターの方もめちゃくちゃ多いですよね。

一度、弊社で小説の表紙を依頼するためにイラストレーターの方を探したことがあるんですが、多すぎて探せなかったです。仕方ないので、表紙書いてもいいよ!って人は公式アカウントをフォローしてください!ってしてみたら3日で1400名にフォローされたときも『こんなにいるんか……』とガクブルしながらすべてのポートフォリオを見ていきました🐧感覚バグるぜ

このクリエイターの多さというのは、民族性もあると思いますが、昔からコンテンツが日本では多種多様に流通したことによって、それを見て育った人が自分たちも!っていう流れになったという話だと思いますが、この歴史と文化は間違いなく日本固有のアドバンテージだと思います。

またクリエイターが多いということはそれだけコンテンツ数も多いし、消費者も多いということです。最近の推し文化とかが顕著ですが、消費者側がちゃんとクリエイターへの配慮やコンテンツへの関わり方みたいなのを理解っているのは市場形成としてもとても良いことです。

そんな鍛え抜かれた市場が存在すること。
これが日本が世界に対して、本質的な価値を発揮できるところだと思います。

お金ではどうしようもないところで戦え

日本という国が持つコンテンツ創出能力は揺るぎないものです。では、この力をどのように使って戦うべきか。

ここでのポイントとして、映画やアニメ、ゲームなんかの映像主体のコンテンツってお金と映像のクオリティが比例するというのがあります。

日本ではコンテンツへお金を集めるのはとても大変です。なにせ投資家や企業など、お金を持っている人たちにとって、コンテンツとはギャンブルと同じだからです。🐧(投資なんて全部のビジネスがギャンブルやろうが!と思わざるを得ませんが、わからないんだからしょうがない)

なので、この資本とクオリティが比例するというのは、とても残念なことに日本のエンタメにおいては不利な構造であることは否定できません。なにせ映画とかだと予算の時点で10倍差とかですしね。そら勝てんて。

国策としても大事なんだから、もっと金回せや!っていうのは本当に思いますが、そういったところで変わるべくもないので、コンテンツ産業において他国と正面衝突はやめたほうが得策です。

では、どうするのか。

簡単ですね。
クオリティが資本に影響されにくい領域で戦うっていうだけです。

重要なキーとなるのが、僕は小説だと思っています。
小説は映像とは異なり、制作において人数が必要にはならないので資本の影響は受けにくいです(作家さんへの報酬はもっと上げるべきですけどね!それも数億円とかかかるわけではないですよね)

逆に言えば、超お金持ちがお金出すから名作を書け!と言ってきても無理って話で、いくら資本があってもそれで良い作品が無限に作れるわけじゃないってことです。

実際にこれを裏付けるように、お金を出して原作を買えるなら安いもんだ!みたいなのが現実で起こってます。
ピッコマ擁するカカオとかは北米の小説連載サイトであるラディッシュを480億円とかで買収してますし、NAVERもWattpadという小説販売サイトを買ってます。
あのディスニーですら、いろんなコンテンツ企業を買収してIPごと購入しています。

最近でもNETFLIXとかも原作の枯渇には常に頭を悩まされていますので、優秀な脚本家は数十億円の契約で5年とか10年の拘束をしたりしてますよね。

メイドインオタペン

コンテンツの消費がWeb経由で行われるのが普通になってしまった今の世の中では、コンテンツの多様性と供給量を確保し続けることはプラットフォームにユーザーを抱え込み続けるためにも必要な条件です。

逆に言えば、原作供給というのが持続的にできるなんてことになれば、それはどこの全分野のコンテンツプラットフォームに対して原作を売ることができるというわけです。

これってとんでもないことだと思いませんか?

今日の結論

結論:日本はクリエイターたちをどんどんノッていける環境にして、原作になる作品やムーブメントを作って、他国のプラットフォームの根幹を担え!

っていうのが、今ボクが考えている日本の勝ち筋なんですが、これがそう簡単に実現しないというのも当然わかっています。
なにせ日本の企業はパッケージまで自分たちでやって、直接売る形態でやってきましたし、原作を売るとかではなく、原作を売るために自分たちでメディアミックスの費用を出してきたわけですから。やってること真逆です。

なので、こういう画期的なことはバックボーンもなにもない新興企業じゃないとできなかったりするんですよね…🐧そういえば、そんな企業があったような気が……。

冗談はさておき。
このまま日本がコンテンツにおいて後塵を拝し続けるのは一人のオタクとしても忸怩たる想いがあります
なので、このまま日本が海外企業の下請けとして市場を荒らされていくような状況を指咥えて見ているなんて嫌です。

日本のコンテンツがそんなに安いものではないと世界に教えてやらねばならないと本気で思ってます。

だからこそ、僕らが運営しているBookBaseはただの電子書籍販売所ではなく、多くの作家さんが育ち、出してみないとわからない作品を出せる場所として機能するようにしていきたいと考えていますし、これからより飛躍していけるように、水面下で様々な動きをしています。

この辺の話はまた数ヶ月以内にご報告できると思います。

というわけで、今日はこんなところで!

エンタメのビジネスにご興味がある方は、お気軽にオタペンまでDMください!(Twitter開放してます)

ぜひ、共感いただけた方は一緒にがんばっていきましょう!

ではまた!


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