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エンタメでスタートアップをする僕が思う、エンタメへの期待の話。

2022年以降、エンタメ全般に対しての期待値が高まっているような肌感覚があります。

僕はライトノベルを主軸とする、たぶん日本で唯一のラノベ出版社スタートアップを経営しながら、編集者もやってる者です。

僕が根を張るスタートアップの領域において、大きなトレンドは度々変わりつつあるなかで期待値の持てる企業というのは以前からそこまで変わっていないと思います。ざっくりいうと。

①海外市場で勝てそう
②売上・利益が指数関数的に増える
③中長期において需要が発生し、増加する商材

いろんな言い方はあると思いますが、結局はこの3つを満たしていれば期待値はかなり高いものになるみたいなのが基本かなと思います。
とはいえ、このそれぞれにおいて、言うは易しなわけですし、これらを達成した企業のほとんどが創業時にそうなることが確信できていたなんてことはないと思います。なので、起業家としてはないものねだりに近いというか、『そりゃそうかもしれんがね…』と苦笑いをしちゃう感じではあります。

とはいえ、目指さないことにはなにも始まらないので、こういうことを理解しているのはとても大事です。
そのなかで、これらを満たす存在として、暗号通貨・SaaS・Web3・NFT・AIと海外の動向も含めて毎年『今年はこれが来る!これが熱い!』と言われてその度にスタートアップが生まれては、投資が集まり…と繰り返してきたわけですが、その判断が正しいかどうかについては簡単には言えないですね。

泥臭い起業家として個人的な意見を述べるなら、ちゃんと売上が上がっていくビシネスはどんな領域でもエンドユーザーにとっての価値がわかりやすいものでないと難しいんだと思います。
新しいものには、たしかにお金は集まってきます。
これまで自動車でもそうでしたし、インターネットや、SNSなど新しい技術によって人々の生活様式が変わり、それによって莫大な利益を上げる企業というのが生まれてきたわけですから、その成功例に基づいて投資をしていくというのは当然のことです。

ただ、新しいというのはそれだけ変化を強要することでもあります。そして、技術進化やビジネスの速度に対して、人々の変化というのは緩やかです。しかも、数人を変化させるならまだしも、何十万人何百万人の人に変化してもらおうとすると、それはもう文化を醸成するということなわけです。そりゃ一朝一夕にはいかないですし、根気強く、丁寧にやっていかないと無理です。それを一つの企業でやるというのはとてもとても難しいことです。

そういう『人』のことを理解していないと、新しいものを求めるアーリーアダプター的な存在が許容してくれても、一般の層にまで届かずに終わるというのを僕はこの10年くらいで何度も見てきました。
そのほとんどに共通することとして、扱う商品の『新しいがわかりにくい』というのがあったんじゃないかと思います。

さて、いい加減胡乱に書くのもやめて、本題に行きますが、スタートアップに限らず様々な領域でエンタメの重要性があ貼っていると言うか、関心が上がっている気がするという話です。
これは別にデータがあるとかでもないので、ただの業界のすみっこにいる奴のご意見でしかないですが、複合的な要因があるのかなと思います。
・Vtuber事業の企業が大型上場を果たす。
・生成系AIやNFTなどの利用先として考えやすい。
・国内においても市場規模が大きく、国としての強みがわかりやすい。
などなど…。

さらにいうと、少し前までスタートアップ的な勝ち方の一つに『プラットフォーム』という考え方があったわけですが、これがなかなか曲者で、これだけプラットフォームが乱立してしまうと単純な資本勝負になるせいで勝ちきれないということもあり、それよりもすでに大きくなったプラットフォームを上手く使って買っていくほうが良いんじゃないか?的な考えに変わっていたんじゃないかと思います。Vtuberが勝てたのも、プラットフォームを作る!っていう方向から既存プラットフォームを活かすという方向に行ったというのも大きいかなと思います。

特に動画を利用する媒体の場合は、プラットフォーム作るのは大変ですからね……。
ということから、エンタメやコンテンツに対しての見え方が変わってきて、期待値になっているんじゃないかと思います。
あとは、これまでエンタメを作ってきた大きな企業さんたちが、事業投資を活発化させてきたとかもあるかもですが、詳しくは知らないので置いておきましょう。

そして、エンタメのなかでもさらに重要視されているのがIP、まんま言うと知的財産ですが、要はライセンスの話ですね。
このライセンスっていうものが、実は冒頭に書いた3つの要素を満たしているんですよね。

ここ数年で目覚ましい成功を遂げているのがジャンプを擁する集英社さんだと思いますが、集英社さんがめちゃくちゃ強いのはIPを自分たちで生み出せて、しかもライセンスとしての活用に率先して動けるところじゃないかと思います。

実際、こういうコンテンツを作って、それを大きくしていくっていうのは、作品の持つ力とメディアミックスを基本とするリーチ力の強化を掛け算させていくことになるわけですが、メディアミックスについては国内でもかなりの知見とノウハウがあるおかげで一度動き出すとものすごい速度で広がっていきます。

とはいえ、うまくいくかどうかはギャンブルになりますし、やっている当事者としては必死にやってようやく…という世界です。ただ勝ち目があるという分、賭ける価値はありますし、IPとして大きくなればジャンルを問わず必要とされるという分、ライセンスの強みがあるんですよね。

もちろん、エンタメをビジネスにすると一言に言っても、ライセンスとして使いやすいものかどうかや、そもそもライセンスを誰が握って活用するのかなどの問題もあるので、やり方次第でどこまでビジネスになるかはちゃんと考えないといけません。

手前味噌ですが、僕が取り組んでいる『ライトノベル』という領域においては、このライセンスという観点からも他のコンテンツとの比較においても、かなりチャンスは大きいと思っています。まぁ結局はどこまで面白いものをつくれるのか、という話ではありますが、そこは工夫と根気で勝ち目をつくるしかないと思っています。

さてさて、長くなってきたのでこんなところで閉めようかなと思います。
年末も差し迫るなかで、振り返ると、今年はラノベ編集者としてずーっと製作してたのでなかなかこういうことを考えたり、喋る機会もなかったですが、そんななかでも感じていたことを言語化できてよかったかなと思います。

これを果たして誰が見て喜ぶのか、と思いますが、エンタメにおける期待感はこれからも上がっていくと思いますし、グローバルで見ても、まだまだチャンスはあると思います。
うちはライトノベルを主軸にしていますが、それも多くの人が熱狂するコンテンツをつくる一番の方法がそれだと信じているだけで、面白いコンテンツは様々な形で生まれては変化していくと思います。

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たぶん、会社としての総括はまた年末にでも書くと思いますが、今回はこのあたりで。
読んで頂いた方はありがとうございました!

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