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北海道食材その3 カスベ

カスベってみなさんご存知でしょうか?都内のスーパーで見かけることもあるのですが、まだ一般的ではないせいか、その知名度は北海道や東北以外では低い様子。

言ってしまうとエイです。本州だと乾き物として売られていることが多いですね。北海道だとなぜかエイヒレってあまり売っていなくて、代わりに魚屋さんで生の状態で売られていて煮付けによく使われています。軟骨のコリコリとした食感がいいんですよ。熱いうちにふわふわの身とともに食べるのもいいですけれど、冷めると溶け出したコラーゲンが煮こごりとなり、プルプルとしたテクスチャが加わって面白いので煮付けを作るならちょっと多めに。

ほかには唐揚げやぬたにも使われます。あと、なぜみんな作らないのか不思議なくらいなのがフィッシュ&チップス。道産のカスベ、道産のじゃがいも、そしてサッポロクラシック。めっちゃ合うのに!イギリスでもフィッシュ&チップス屋さんでカスベを使ったものを出しているところがありますよ。

さて、樋口さんがこないだカスベのムニエルについてnoteで書かれていて、それを見てついつい作りたくなりました。

作り方は難しくありません。塩をして、牛乳にくぐらせて、フライパンでアロゼして。ところでアロゼ(フライパンを傾けて素材にスプーンで油をかけながら焼く)やフランベ(ブランデーをかけて火をつけるやつ)してるときって、なんだか料理がうまくなったように錯覚してしまいますよね。

ソースはブール・ノワゼット。同様のものにブール・ノワールというソースがあって、違いはどのくらい火を入れるかです。ブールはバター、ノワゼットはヘーゼルナッツ、ノワールは黒。昔は焦げ目の深いノワールのほうがポピュラーだったみたいですけれど、今はそれよりちょっと控えめなノワゼット(ヘーゼルナッツ色)のほうがよく作られているみたいです。「焦がしバターソース」と日本語にしてしまうと一緒くたになってしまい、違いがわからなくなるのが難しいところ。で、このソースは魚に使う場合だとレモンを絞り、ケッパーとクルトンをつけたグルノーブル風にすることが多いです。付け合わせはポテトにミニトマト。ポテトはかなりマッチするんですよ。やっぱりバター系のソースには鉄板なのかな。自分的にははちみつ漬けのくるみも添えると味の輪郭がもっとはっきりするんじゃないかなと感じました。

ところでカスベで多く使われるのはほぼヒレの部分で、フランスだと「Aile de Raie」と呼ばれます。直訳すると「エイの翼」で、なんというかエスプリ効いててズルいですね。あちらでは新鮮なものを手に入れるのが難しいために家庭で料理されることは少なく、もっぱらビストロなどで提供されているそうです。
この「翼」のほか、希少部位となるのが頬と肝。頬は丸っこいかたちで独特の食感があり、ムニエルやフライ、唐揚げなど揚げ物にして食べるとおいしいし、カレーに入れるのもアリです。肝は刺身ですね。あー、こうして書いていると昨日食べたばかりなのにまた食べたくなってきてしまいました。

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