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包丁、まな板、砥石のファーストステップ

我が家には何本も包丁があってどれも思い入れのあるものばかり。今回は包丁の買い方。というよりも包丁、砥石、まな板の買い方について書いてみたい。この3つは個別というよりはセットな気がするので。

包丁

単身用の部屋で一人暮らしなら最初の一本は15cmのペティがおすすめ。収納に困らないしまな板の大きさも選ばないし大体の用途において使える。これ以上小さいサイズだと用途が限られるので、まずは15cm以上のもの。長いものでは18cmといったものもあるが比較的見つけにくい。

サイズが決まったところで、次に形状を。
刃は身幅のあるものが便利。身幅というのは刃と峰の間の長さのことで、この身幅が柄と変わらないくらい細いものはじゃがいもやフルーツなどを手に持ったまま切るにはよいけれど、まな板を使っての刻みものが大変なので避けたい。もっとも身幅の細いものは海外で「Paring Knife」とか「Couteau D’office」と呼ばれる皮むきナイフであって、日本だとそういう分類がそもそもないので便宜上ペティナイフとして売られてしまっているものが多い。このタイプのナイフはまな板の上で食材を千切りする際にに不便なので最初の一本としては勧めない。

逆に身幅のあるタイプを作っているのは日本のメーカーばかりで、おそらくまな板の使用を前提としているのが日本のペティナイフの特徴ではないだろうか。理想の形は例えばミソノの440シリーズのペティ。身幅があって鍔付きのフルタング、リベット3つというお手本のような形。

で、まな板前提という方向に突っ走っていったものではグレステンのホームペティのようにユニークな形状のものもある。

価格は5000円も出せばそれなりに長切れする質の良いものを買える。ただし、ダマスカスという波紋様の入ったものを欲しいのであれば装飾代として30%上乗せして考えること。材質はステンレス系のものを選ぶ。鋼のペティはかなり珍しいほうなので普段目にするものはほぼステンレス製だと思って構わないだろう。ステンレスとはいっても最近だとモリブデンやコバルトなどいろいろ書かれていてよくわからなくなるが、ステンレスは鉄にクロムをある程度混ぜた材質で、そこへモリブデンやバナジウム、コバルトといった他の金属を少々加えることでさらに耐摩耗性をあげたり、粘りを出したり、材質を硬くしたり、さらに錆びにくさをアップしているというわけだ。材質については実店舗で買うのなら店員に聞いて控えておくと良い。後から「刃はV金10号だし、狂いもなく良い買い物だった」なんていうことがわかる……日が来るかもしれない。

ちなみに自分が使っているのは釜浅商店のペティ。それほど長切れはしない方だけれど研ぎやすくて気に入っている。包丁は長く使えるものなのでできれば実際手にとってバランスなどを確かめたいところ。

包丁に関していえばネット上のレビューは良いも悪いも信頼できるものが少なすぎるのであまり当てにしないこと(もし包丁を使いまくる現場に入った研ぎ師によるレビュー記事があれば是非みてみたい)。ある程度名の通ったメーカーや鍛冶屋が作っていれば切れ味自体はそれほど変わるものでもない。

まな板

まな板のサイズはキッチンのサイズに制約を受ける。シンクに対してあまりに大きなサイズでは洗いにくくて大変だし、かといって小さすぎると切ったそばから食材がボロボロとこぼれ落ちてしまう。洗うのに不都合なく、その中でなるべく大きなものを選ぶのが良い。あとはある程度厚みのあるものを選ぶこと。それと硬い素材は包丁をあっという間に切れないものにしてしまうので材質は硬すぎないものを。例えば竹は安いけれども少し硬すぎる。食洗機を使わないなら木のまな板が気持ちよく使える。主観を入れるならヒノキのまな板がベストだと思っている。エラストマーも良い。

ちなみに作業スペース自体はキッチン用のカウンターワゴンやワークテーブルを購入することで拡張できる。キッチンが広々すると作業が捗るので料理にのめり込みたい人にオススメ。

砥石

少々かさばるけれど砥石はぜひ用意しておきたい。シャープナーは包丁に良くないのでできれば砥石を。いろいろ種類があるけれど、包丁を軽くメンテするなら中砥ひとつで十分。中砥は刃をちょっとだけ鋭角に、薄くしたい場合にも有用だ。研ぎ直しもしやすい。ある程度研ぎ慣れてきたら普段は仕上げ砥だけでも十分かもしれない。ただ仕上げ砥は値が張るので後のお楽しみにとっておこう。荒砥が必要な局面、つまり刃こぼれしてしまったとか形を治したいとかそういう状況になったら素直に研ぎ屋に出すのがいい。
包丁が切れなくなったかどうかはミニトマトを薄くスライスできるかどうかでわかる。左手でミニトマトのヘタをつまみ、上に果実を向け、その状態で水平に引切りしてスライスする。トマトの皮でツルッと刃が滑るようなら研ぎが必要だ。

砥石で是非とも勧めたいのはシャプトンの刃の黒幕(オレンジ)。
一般的な砥石の使い方を説明しているサイトを見ると10分ほど砥石を水につけておくと説明されていることが多い。でもそれだとやっぱり億劫になってしまうので、水をかけてすぐに使い始められる刃の黒幕シリーズはかなり便利。

Amazonのリンクを貼ってあるものの、最近は価格の上下動が激しいので買う前に他のサイトと比較した方が良い。

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