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文化の変容に希望を携え生きていく

 今朝は、久しぶりに自分の曲を聴いている。

もう8年くらい前の LIVE 音源になるのだが、SQUARE ENIX が発表したカヴァーコンピレーションアルバムのリリースを記念して、当時はまだ渋谷ではなく池尻大橋にあった頃の『2.5D』 でやったもの。

牧歌電子』という名義でチップチューン(旧世代ゲーム機の音源部分などを駆使した音楽ジャンル)の活動をしており、その活動が企画のディレクターの目に留まり、コンピレーションアルバムの参加に声をかけてもらったもの。『SQ Chips2』という名前でそれはリリースされた。

実際にアルバムに提供した曲は先方からの指定だったのだが、LIVEに関しては「スクウェア縛り」でさえあれば何でもアリということで自由に選ばせてもらった。

わがまま言って、"FINAL FANTASY IV" からのアレンジを沢山作らせてもらったなぁ。LIVE のオファーが来てから数日で LIVE 未発表曲も含めて10曲くらい作った記憶がある。今だから言えるけど、おそらく実際のコンピ参加曲よりも気合い入れた気がする。元気あったな 笑

ゼロムス戦などは、メインに入る前の「泣き」のフレーズが好きすぎてわざと何度も繰り返すようなアレンジを施したり、全体的に僕が生涯レベルで愛しているアルバム『FINAL FANTASY IV ケルティック・ムーン』が擁しているケルト音楽感をオマージュするような形で寄せていったり。

聴いていると色々と思い出が蘇ってくる。

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 2012年当時、この LIVE は、"配信" をメインに行われた。時流的に、ストリーミングの画質や音質が格段に上がり、DOMMUNEはじめ、新しいものを求めるオーガナイザーやイベンター達がこぞって "配信" を重要視したイベントを多く行い出した頃でもある。

昔と今では、同じ "配信" でも大きく感じ方、意味合いが変わってしまった。昔の配信は、あくまで現場に事情で来られない人への "救済措置" のような位置付けが多かったが、今となると、"病気の伝染防止" という大義名分のもと、もはや無観客ライブが当たり前の風潮となり、配信なしではイベント自体も上手く立ちいかない、といった具合だ。

単純に、近い未来デジタルカルチャーのトレンドが到来する…と踏んで少しずつ動かしていたものが、『疫病』という、予測だにしない方向から力技で一気に変えられるという、歴史上そうそう類を見ない方法での「カルチャーの変遷」を僕たちが目の当たりにしたことは、不幸でもあるが、ある意味幸福でもあると言える。

一つの出来事がきっかけで簡単に世界が変容する、といった経験は、皮肉だが生きている間にそう体験できるものではない。

そして、やはり当時から少しでも未来に対し伸び代を見据え続け、実験的にカルチャーへの挑戦を行なってきた人達は、こうした形で "強制的に訪れる変遷" に対し、最初こそ戸惑いつつも、おそらくそれを「恩恵」という方向へ切り替え、柔軟に受け取りつつ、より僕らに「明るい未来」を示唆させる戦略を編み出していくのだろう。

そういった意味では、先日行われた MU2020 などは、これからの発信のあり方を大きく牽引するような、観ていてワクワクするイベントだと思った。

僕も変容を柔軟に受け止め、しなやかにいれるよう努めたい。

そんなことを考えながら、カメラ越しに見てくれている何千人の客に向け鍵盤ハーモニカを吹き鳴らしたあの日を思い出した。

今日はこんなところで。

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 『BEER SQ』の初回盤ボーナストラックに収録されていました。1トラック30分という大きなボリューム。機会あれば聴いてみてください。

《LIVE SETLIST》
1. 魔界塔士 Sa・Ga より『街』
2. TOBAL NO.1 より『‾Hills of Jugon』
3. Vagrant Story より『グレイランド事件クライマックス』
4. FINAL FANTASY IV より『ミシディア国』
5. FINAL FANTASY IV より『最後の戦い(ゼロムス戦)』
6. FINAL FANTASY IV より『少女リディア』

牧歌電子 Official Web Site

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