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長期修繕計画と健康診断

建物というのは、戸建住宅もマンションもそうですが、出来上がったばかりの華やかさがどうしてもクローズアップされますね。

人間は、大きなものや整ったものに自然と惹かれる性分があるという話を聞いた事があります。多くの職人さんが協力しあって大きな構築物を完成させる建設プロセス自体も、また感動を呼ぶものかも知れません。

戸建住宅ですと建設期間は半年ほど、マンションは規模にもよりますが小規模であれば1年、大規模開発になれば、本体工事だけで4〜5年というプロジェクトもざらです。しかし、建物は建ってからが本番。そこから何十年も居住者が”使い倒していく”モードに入るのです。

もちろん建物は劣化していきます。外壁タイル、防水、昇降機設備、電気設備、給排水設備、機械駐車設備・・・細かなところを上げればキリがありませんが、この経年劣化を先読みして費用積立しておくという方法を「長期修繕計画」と呼び、特にマンションで一般的に採用されます。

これは実は結構大事で、例えばエレベータは25年から30年ほどで更新工事をするのが一般的ですが、1基あたり何千万円という工事費用が発生するのです。エレベータは共用部分ですので、マンションであれば区分所有者が毎月少しずつ積み立てたお金を充当して新しくします。

仮に積み立てていなければ、相当な額の一時金を徴収しなければならず、恐らく更新は不可能となるでしょう。更新出来ないエレベータはいずれ修理部品が対応出来なくなったり、不具合を重ねて最後は使えなくなってしまい、不便が増すばかりか、建物の価値を毀損してしまいます(売れなくなってしまいます)。

タイトルには「健康診断」と書きましたが、いつどんな病気になるのか、なかなか予想が付かない人体に対し、建物の劣化はある程度先読みが出来るので、きちんと予め費用を見込んでおくという方法が「長期修繕計画」なのです。

皆様お住まいのマンションでは、きちんと長期修繕計画が立案されていますか。また、いざとなった場合に相談出来るプロはいますか。管理組合などに改めて確認頂くのも良いかも知れませんね。

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