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晴れの日に僕は群馬に誘い、彼女はいくことにした


「そういえば、群馬いくことにしたよ」

とオンライン相談に乗っている高校生からラインがきた。群馬にいく、とは面談で誘っていたライフイズテックのキャンプに参加すると意思表明。僕はスマホでその「群馬に行くことにしたよ」という言葉をみて、「おっ、きたか」となった。その子はアートが大好きで、ラインの相談に乗り始めた時はひきこもり。「孤独だった」と話していた。今でも、孤独はその子の中にはあるが、数年間通っていなかった学校にも通い始めた。しかし、オンラインからつながって彼女とお母さんと僕は晴れの日にカフェで面談して、その返事を待っていた。

日々、ひとりひとり違った背景のある高校生たちと話す。大人や友人から拒絶され、狭い社会にいることを強要されてきた子どもたちと。その子たちとスタッフも僕もいつも出会ってきてる。経済困窮家庭、虐待、居場所がない、不登校、高校中退、仕事ができない、ひきこもり。この属性単体ではなく、複数絡んでいることも多い。

話していて信頼関係ができてくると僕たちはいろいろと選択を提供する。「この人に会ってみたら?」「この企業の職場見学に行ってみたら?」「このイベントにいってみたら?」「ボランティアしてみるか」「休もう、休もう、休もう」など、生徒の状況によって選択を提供することもあれば提案しないこともある。

そういった人が思い切って「ジャンプ」するような瞬間をみていると心配することもあるが、単純に嬉しい感情も混じる。「あ、この子はいくことを決めたのか」と。本人にステップを組むことはそのステップが本当にいいのだろうか、と考えながらサポートに回る。失敗体験になるだろうか、成功体験になるだろうか、よい出会いがこのプログラムではあるだろうか、そこに社会関係資本があるのだろうか。迷いながらも、僕たちはステップを組む場合がある。

経済的に厳しい家庭の子たちにとって何か参加することを促すのは難しいケースも多い。海外へ送る、前述したライフイズテックのキャンプに参加することなど時間もお金も彼らにはないことが多い。それでも関係性ができれば送ることができる(実際にそうしてきた)。アルバイトや仕事などは参加しやすいのだが、そういった文化的、教育的なイベントの参加を促すまでに時間がかかるのだ。

しかし、僕たちはそのつながりや関係性が価値だと思っている。格差を超える、文化資本や教育の差、分断を超えていく社会関係資本。僕たちはそれを作ってきている。人をエンパワーメントし、そこから社会へつないでいくのだ。オンラインでも学校現場でも。

つながりや関係性は信頼があったときにまた次へのステップをつくる。僕たちはそれをこれからも作り続けるだろう。明日も、明後日も。


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