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のんびり、ゆっくり

のろのろ運転をしている軽自動車が1台。
通っていた道は車1台は余裕だけど、車2台が交差するとなると、注意が必要な、割と狭い道。

その車のスピードは、重い荷物を両手に抱えて歩いていた私が、通常の速度で歩いて、追いついてしまうくらいの遅さ。

対向に車も来ていない。なぜだろうと、車を追い越してみると、道の両端におばあさんが1人ずつ歩いていた。

左側のおばあさんはカートを押し、右側のおばあさんは杖をついていた。
お2人とも足が悪いようで、より平坦な道の中心に、若干寄りながら歩いている。

道の真ん中が少し狭くなった状態で、軽自動車はその2人のおばあさんを追い越すこともできず、のろのろ運転をしていたというわけ。

おまけに、そのおばあさん2人は後ろの車を気にすることもなく、暖かい日のお散歩を楽しんでいるようだった。

気配すらも感じていないのかと思い、おばあさん2人を追い越した時に、後方に視線を送ってみた。

すると道の右側を歩くおばあさんが、それにつられたのか、視線を後方へ向け、その時に初めて、後ろの車に気付いたよう。

「あんた、車が来てる!」と言ったかと思うと、2人とも道の端に寄った。

そこでやっと車は通り抜けた。

車に乗っていた若いお兄さんは、おばあさんたちが気付くまで、一度もクラクションを鳴らさず、驚かせないように、ゆっくりとついて行っていた。

焦らず、ゆっくり。


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