noiricoon

これまでいろんな人に会って来ました。「世の中にはこんな人もいる」と何かの気付きに繋がれ…

noiricoon

これまでいろんな人に会って来ました。「世の中にはこんな人もいる」と何かの気付きに繋がればと思い、この記事を書いてます。

最近の記事

覚えたてのバイバイ

会社を辞めて、転職先がなかなか決まらず、なるべくお金を使わないように生活をしていたとき。 家の食材がなくなったので、スーパーマーケットに向かって歩いていた。いつも行くスーパーは最短距離で行くと、途中に、狭い路地がある。狭過ぎて、大人1・2人しか通れないから、車も気にせず、ぼんやりとしながら歩けた。その日も、「今日も何も決まらなかったなあ」と思いながら、ぼんやり歩いていた。 ふと、何か視線を感じた。目を前に向けると、私の前を歩く女性に抱っこされた、1歳くらいの赤ちゃんが、私

    • 寝ずの番

      以前、演劇公演の手伝いをしていたとき。私は照明を指定の場所に取り付けたり、影段や平台を設置する、大道具のような仕事をやっていた。人手が不足する、力仕事を主に担当していた。 次回の舞台は9月で、場所は雑居ビルの1階ガレージ。屋根はあるけど、鍵が閉まるドアはついていなかった。 ぱっと見、演劇の公演をやるような場所には見えないから、照明やミキサーが置いてあるようには見えないけれど、高価な機材の設置をしているので、本番を迎えるまで、誰かが泊まって番をしなければならなかった。 通

      • のんびり、ゆっくり

        のろのろ運転をしている軽自動車が1台。 通っていた道は車1台は余裕だけど、車2台が交差するとなると、注意が必要な、割と狭い道。 その車のスピードは、重い荷物を両手に抱えて歩いていた私が、通常の速度で歩いて、追いついてしまうくらいの遅さ。 対向に車も来ていない。なぜだろうと、車を追い越してみると、道の両端におばあさんが1人ずつ歩いていた。 左側のおばあさんはカートを押し、右側のおばあさんは杖をついていた。 お2人とも足が悪いようで、より平坦な道の中心に、若干寄りながら歩い

        • 引き際の判断

          以前、勤めていた会社で働いていた、ご老人のAさんの話。そのころは会社にPCが導入されて間もない時。今では考えられないほど、PCのスペックは低く、アナログとデジタルが混在していた。 Aさんは、商品の下地となる銅板の仕入れを担当していた。大企業を勤め上げた後、のちに私が働くことになる会社へ入社されたそう。入社当時から、既に高齢だったので、仕事はアナログで管理をされていた。 その人の性格を如実に表していたのが、商品の原価表だった。罫線が引かれたA3用紙に、商品の種類・仕入れ個数

        覚えたてのバイバイ

          秋の味覚- 梨

          大学生の頃、友人と5~6人で梨狩りに行くことになった。 私ももれなく「大学生、暇はあるけど、金はない」状態だったので、その日は、朝食も食べず、梨でお腹を膨らませる予定で参加した。 電車に乗って、梨狩り会場がある、梨農園へ向かった。電車の中で和気あいあいとしゃべりつつ、初めての梨狩りはどんなもんだろうと考えていた。 梨はみずみずしいし、そんなにお腹にたまらない。それに果物自体、最近、食べてない。余裕で10玉くらいいけるだろう。。。 梨農園に着くと、農園の方から、熟した梨の

          秋の味覚- 梨

          対向車線のトラック

          バイクを買って間もないころ、そのバイクで仕事へ向かっていた。 勤務場所までは長い1本道で、信号はほぼない。 建物もほぼなくて、空き地が続いている。途中に1件の工務店があって、そこの大きなトラックか別のトラックとたまにすれ違うだけの、閑散とした道を使っていた。 その道を走るのは、なるべく、右折や左折を避けてたこともあるけど、何もない道を、止まらずに走れることの爽快感が強かった。 それで、知らずにスピードが上がっていることも多かった。 良く晴れた日の朝。緩やかなカーブの対向

          対向車線のトラック

          自分の好きな仕事に就いている人って、きっとこんな人

          友人と2人で、韓国旅行へ行ったとき。 宿泊先はソウルの明洞周辺。仁川空港からは「バスが便利」と、友人がYoutubeで見たらしく、空港1階の交通センターで、その動画に映っていた、バスのチケット発券機を探していた。 チケット発券機はすぐに見つかったものの、明洞行きのチケットが発券ができない。似ているけど、違う発券機があるのだろうと、私たちは「こっちでもない」「あっちでもない」と、交通センター内をうろうろしていた。 探しても見つけられず、発券機の場所を聞けるような案内所も見

          自分の好きな仕事に就いている人って、きっとこんな人

          いつもの配達先で

          配達サポートのアルバイトをやっていた時。 荷物の配達と集荷をするのが、私の仕事。午前中と午後に3時間ずつ。社員の方が運転する車で配達場所まで移動して、台車に載せられるだけ、荷物を積む。載りきらない荷物は、ポイントとなるビルのエレベーター前に降ろしておいてもらう。私は配達を済ませ、台車を空にしながら、そのポイントに急いで向かう。それを繰り返すので、仕事中はほぼ走っている。車に乗れるのは、その作業を始める前と後くらい。時間に追われているから、全力で走る。台車を押しながら。 私

          いつもの配達先で

          トランジットで訪れたインド

          ずーっと昔、初めての海外旅行。行先が遠かったので、トランジットで、インドに1泊することに。なので、初海外の地はインドと言うことになる。 到着したのは深夜。翌朝には、また飛行機に乗ってインドを出国する。ほんの数時間だけ、滞在する予定だった。 でも、何かに使うかも知れないと思い、1ドル分だけ、空港で現地通貨のルピーに両替した。 空港を出ると、スパイスの香りが漂う。現地のガイド兼運転手の方と合流し、ホテルまで車で移動。ホテルまで、オレンジ色の街灯が連なっていて、日本とは違う独特

          トランジットで訪れたインド

          車椅子の女性

          会社帰り。駅の前にはロータリーがあるだけで、お店もない。 人通りも少ない。行き交うのは駅に向かう人と駅から出てくる人だけ。 私は駅に向かう道を、音楽を聴きながら歩いていた。 すると視界に一人の車いすの若い女性が入って来る。どうやら私に何かを伝えたい様子。 イヤホンを外して、聞いてみる。 「どうかされましたか?」 女性は歩道の奥側、車道から離れた場所まで、車いすを押して欲しいそう。 私は二つ返事で、指定の場所へ車椅子を押した。 こういうとき、少ないけど色んな人が通る

          車椅子の女性

          料理長

          居酒屋でアルバイトをしていたとき。 その居酒屋は結婚式の2次会も開かれる、少しおしゃれなお店で、私はキッチンの調理補助として働いていた。 キッチンの担当は、煮物やだし巻き卵などを作る板場、焼き鳥やスペアリブなどを作る焼き場、から揚げやピザなどを作る揚げ場の3つに分かれていた。私は揚げ場担当。 キッチンには、社員の料理長と料理人の他に、アルバイトが3人、働いていた。アルバイトの内の1人は深夜帯専門だったから、通常は4人で仕事をこなしていた。 その料理長の話。 和食出身の料

          こういうとき

          大学のときに、先輩に頼られ後輩に慕われている友達がいた。いつも誰かと一緒で、一人暮らしをしている部屋にさえ、いつも誰かがいた。 変に落ち着いた雰囲気があったからかも知れない。 話すと何でも笑って答えてくれたからかも知れない。 親身に相談に乗った後は、具体的なアドバイスをしていたせいかも知れない。 あるとき、 私は学外でやっていた活動を辞めた。許せないことがあって、勢いのまま辞めてしまった。 いつもは授業が終わったら、部活に行っていたけど、辞めた後悔とか悟られたくなくて

          こういうとき

          大家さん

          1人暮らしを始めた最初の家は、古い文化住宅だった。 出かけるために洗い物を済まそうと、蛇口をひねったら、なんだか足元が冷たい。こぼした水を足で踏んでしまったかと思ったけど、ピンポイントに冷たいのではなく、だんだんと靴下が濡れていく感覚が足に広がる。 ー ん? 見ると、流し台の下枠から、水が少しずつ、流れ出て広がっている。 ー 水漏れやん! 私は、すぐに管理会社へ電話した。 しばらくすると、ドアをノックする音。管理会社の人が来たと思ったら、おじいさんが立っていた

          台湾でひょっこり

          3月、台湾、桃園空港。 台湾旅行を終えて、帰国する日。早朝5時。 飛行機のチケットを受け取りに、タイガーエアの空港カウンターに並ぶ長い列。私と友人も、その列の最後尾に並んだ。 私たちの順番が近付いてくる。パスポートとチケットの引き替え券を手に持ち、しばらくすると、私たちの番がきた。 手続きが始まり、席は窓際と通路側のどちらがいいのか聞かれる。パスポートの顔写真との照合、預ける荷物はあるのかないのか、最後に、コロナワクチンの接種証明書の提示を求められた。 友人は「新型コロ

          台湾でひょっこり

          バイク屋さん

          昔、中古で買った249CCのネイキッド型バイクに乗っていた。4気筒で良く走り、見た目もカッコいい。初めてのバイクでもあって、盗まれないよう、U字ロックとキーカバーロックをかけていた。とても大事にしていた。 どこに行くにも、バイクを使っていたけど、駐輪場がないところへ行く時は、電車を使っていた。ある日、友人たちと一緒に朝まで語ろうという日があって、電車で行くことにした。バイクは自宅アパートに置いて行き、家に戻ったのは翌朝6時くらいだった。 家の前まで来て、何か違和感があった

          バイク屋さん

          夜のおもてなし

          昔、学生演劇をやっていた時。 私は演出が欲しい音楽を集める担当。 演出にイメージを伝えられて、音楽を探すので、通常はこちらが知っている曲を提案することが多かった。だがたまに演出が希望の音楽を言ってくることがあった。その場合は、レンタルCD店を片っぱしから当たって探すことになる。 ある時、演出が希望の音楽を言ってきた。「この映画で流れていた、この音楽が欲しい」と。映画のサウンドトラックならば、簡単に見つかると思っていた。けれどその時は違った。VHSのビデオテープやレーザーデ

          夜のおもてなし