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愛犬バッポのこと

2013年に愛護センターからやって来た愛犬が亡くなった。
今朝、知らせが届いた。

折しも両親とバッポ住む東北から遠く離れた旅行先の山口でのことだった。
連絡を受け、私は思わず空を見上げた。東北でも関東でもない、見慣れない空が広がっていた。

ダックスの長い胴とふわふわの巻き毛をシュナウザーから譲り受けたバッポは、分離不安からよく鳴く子だった。
当時私は25歳。自分自身と、あまりにも狭い世界に勝手に絶望していた。
そこにいきなり現れたワンコはゴム毬のように弾み、鳴き、食べ、糞をし、私を外へ連れ出し、否が応にも現実と向き合わせてくれたのだった。

噛まれた手の傷は生涯残るだろう。
亡くなった祖父はこの子の名前を愛おしそうに呼んでいた。(イタリア語のbabboから取ったのだが、祖父は方言での「おんぶ」のことだと言って聞かなかった)

よく鳴いていたのは、引きこもり制作する私を守ってくれていたからかも知れない。

毎朝起き抜けに甘えてきたのは、絶望したふりをしていた、私の目を開かせる為だったのかも知れない。

バッポ。またいつか。
たくさんの愛を教えてくれてありがとう。


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