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~ボス弁護士の性加害により自殺に至った女性弁護士の苦しみを想う~

 神奈川県横浜市戸塚区の女性ライダー弁護士西村紀子です。

 今回は、ボス弁護士の性加害により自殺に至った女性弁護士の苦しみについて、女性弁護士への哀悼と彼女が苦しめられた理不尽に対する怒りをこめて、つぶやきたいと想います。

 4月21日、大分地方裁判所で、2015~2018年の3年間に亘って、所属していた法律事務所の元代表弁護士(女性死亡後2ヶ月で弁護士登録取消。なお、年齢60代)から性加害を受け続けたことにより2018年に自殺に至った女性弁護士(2013年司法試験合格。2014年弁護士登録。死亡時32歳)の事件について、ご両親が、娘の自殺は元代表弁護士の性加害が原因であるとして、性加害を行った元代表弁護士と法律事務所を相手に行った損害賠償請求事件の判決が出されました。

 詳細は以下のニュースにあるとおりです。


 判決は、

  「女性の友人らの証言や遺書の内容などを踏まえ、「元弁護士が自らの性的な欲求を満たすために女性との関係に及んだと評価されても致し方ない。恋愛関係に基づく性的関係であったと認める余地などない」と被告側の主張を否定。「(女性は)上司から性的被害を受け、退所を含め他に方途を見いだせない状況下で、自死を選択せざるを得なかった」」(上記記事)

として、性加害と自殺との因果関係を認め、元代表弁護士と法律事務所に対して、計約1億2800万円の支払いを命じました。


 筆者も弁護士ですが、この判決の報道がなされるまで、大分でこのような痛ましい事件が5年も前に発生していたことなど、全く知りませんでした。
 おそらく、当事者や関係者の友人知人でもない限り、大分県弁護士会登録の弁護士以外の多くの弁護士は、この事件のことを知らなかったであろうとおもわれます。


 「原告側弁護団は「基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命とする弁護士による性的な加害行為。弁護士という職責の社会的な評価を著しく毀損(きそん)するもの」とコメント」(上記記事)したとのことですが、全くその通りであると言わざるを得ません。

 弁護士も人間であり、普通の人間としての問題を引き起こす要素や問題性は、普通の人間として誰でももっています。
 ただ、その要素や問題性は、通常の人間としての道徳心とともに弁護士としての使命と自覚を持って自身を適切にコントロールできる弁護士であれば低減するでしょうが、逆に、法律事務所という普通の会社と異なる仕事の仕組み自分の弁護士としての業績(それなりに良い業績)で自分の存在を勘違いをしてしまう弁護士においては増幅する可能性すらあるものになってしまうのです(職業問わず成功者にありがちなことです。本件の加害弁護士も、2009年に大分県弁護士会会長を務めたほか、日弁連の理事も務めるなど、弁護士としての様々な役職に就いていたようで、また、地元では名門の法律事務所であったのです。まさに、悪しき成功者の例だったのでしょう)。

 「女性の遺族は「娘は、私たち家族の夢であり、誇りであり、希望の存在でした。娘の人生を踏みにじった被告らには、娘に心から謝ってもらいたい」とのコメントを出した。」(上記記事)
とのことです。
 必死で育ててきた娘さんを、こんな痛ましい形で亡くすとは、どれほどの無念かと、察して余りあります。

 特に今回の加害弁護士は、女性弁護士と同じくらいの年齢の同じく弁護士である自分の娘を、同じ自分の法律事務所に入所させています。
 同じ法律事務所内で、自分の娘は大事にして、他人の娘は自分の性欲の対象として性加害に及ぶとは、人間とはどこまで忌まわしくおぞましい醜悪な存在になりうるのかと、恐怖を感じずにはおられません。


 報道を受けて、あまりに酷い、痛ましい事件が発生していたことに同業者として衝撃を受けました。

 が、まずは、原告弁護団が一審判決で勝訴を勝ち取ったことに安堵し、控訴審でも勝訴判決を維持しつつさらに良い判決を得られるように、祈りたいと想います。
 そして、何より彼女の冥福を。
 彼女の無念が晴らされますように。
 彼女のご両親の無念が晴らされますように。


 そして、この事件を受けて、弁護士も含めて様々な状況で性被害を受ける女性が、いかに苦しい立場に置かれるのかということも痛感しました。
 このような状況を改善していくためにはどうすれば良いのか、、、。
 自分に一体なにができるのか、、、。

 そういった事を自問自答しながら、とにかく、彼女と彼女のご両親の無念が晴れることを祈り続けたいと想います。
(終)

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