たけうちのりこ

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  • のりこの俳句日記

    日々の小さな事柄を、俳句にしてご紹介します。 不定期更新ですが、ぼちぼちと続けていきたいです。

最近の記事

ベネチア

今日の俳句は       風薫るゴンドラで聴くカンツォーネ 「風薫る」が夏の季語です。 夫と息子と3人でイタリアとパリへの旅に行きました。 その時に、ベネチアに泊まって、ゴンドラに乗りました。たくさん舟が出ていますが、船頭さんは皆、お揃いのボーダーのTシャツを着ています。 気持ちの良い風に吹かれていると、私の乗ったゴンドラの船頭さんが、良い声で、カンツォーネを歌ってくれたのです。とても素敵でした。 折しも空には彩雲が!彩雲とは、虹色に輝いている雲です。吉兆と言われ

    • 今日の俳句は       ラ・トゥールの灯か掌(てのひら)の蛍 ラ・トゥールは、灯を描く画家です。画面の中の灯に照らされる人物の表現が美しいです。 蛍を見に行ったら、一匹の蛍が、私の手に停まってくれました。呼吸をするように、光が強く弱く輝いていました。その時、ラ・トゥールの灯を思い出しました。 ラ・トゥールの灯は蝋燭の灯です。人物をほんのりと照らします。蝋燭の火はあたたかく、蛍の灯は冷たいですが、周りをほのかに照らすところが似ているように思います。

      • 泰山木の花

        今日の俳句は 鈍色(にびいろ)の空に泰山木の花 季語は「泰山木の花」。夏の季語です。 泰山木は、葉も花もとても大きいです。白い大きな花を咲かせますが、花は高いところに、大きな葉に囲まれて咲くので、見つけにくいのです。その上、咲くのは6月頃ですが、咲いている時期がとても短い。すぐに枯れて茶色くなってしまいます。 花は子供の頭ほどもあって、白くて、上を向いて咲きます。とてもきれいです。梢の先で、空に向かって咲きます。見つけるとうれしくなります

        • 苔の花 熊野古道

          今日の俳句は       熊野古道石段被ふ(おおう)苔の花 季語は「苔の花」夏の季語です。苔には花は咲かないそうですが、梅雨の頃に、器托というものが伸びて、花が咲いているように繁茂するそうです。石段は苔に覆われていましたが、苔の花は、実は見たことはないのです。季語としてきれいなので使いました。 夫と、熊野古道を歩いてきました。バスツァーでしたが、歩く距離が思ったより長くて、アップダウンも結構あって、右膝に難の有った私は、痛み始めた膝を庇いながら、頑張って歩きました。石

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        • のりこの俳句日記
          11本

        記事

          紫陽花

          俳句日記  今日の俳句は       あぢさゐの花は重たし葉は緑 「あぢさゐ」は、紫陽花(あじさい)。夏の季語です。 紫陽花の花は、ぼってりと重い感じですよね。花も可愛いですが、この時期の紫陽花の葉っぱの色がきれいだなと思って、できた俳句です。 紫陽花の花びらに見えるものは、実は萼(がく)で、本当の花は、中心の小さいところだそうです。よく見ると、つぼみと開いているものがありますよ。見てみてください。 雨に濡れた紫陽花も風情があって良いですが、晴れた日に、陽に

          屋久島 猿の頭蓋骨

          俳句日記  今日の俳句は 梅雨冷の屋久島に猿の頭蓋骨 だいぶ以前のことになりますが、縄文杉を見たくて、屋久島に行きました。ツァーの中で、縄文杉のところに行く前日に、足慣らしのために屋久島の平地ほぼ一周のハイキングがありました。 猿や鹿にも逢いましたし、屋久島の植生について、ガイドさんからお話を聞きました。大きな素晴らしい滝もありましたし、良いお天気で気持ちの良い日でした。屋久島の川の水は透明でとてもきれいです。屋久島は岩でできていて土が少ないので、水がきれいなのだそ

          屋久島 猿の頭蓋骨

          縄文杉

          俳句日記  今日の俳句は      五月闇縄文杉に会ひに行く   「五月闇」は夏の季語で、梅雨時の雲の垂れ込めた、薄暗い感じを表します。俳句では、5月は夏です。 縄文杉に会いたくて、屋久島に行きました。56歳の時でした。 ツァーに申し込んでからわかったのですが、縄文杉に会うためには、本格的な登山用具が必要でした。登山などしたことがなかったので、登山靴、リュックから、登山用の衣類、額で光る電灯まで、一式揃えました。ツアーの日まで、ウォーキングして、足ならしをしました。

          俳句日記  今日ご紹介する俳句は        連れだって花の名所を訪ねけり 俳句で「花」といえば桜のことです。季節は春。 住んでいるのは郊外ののどかな町ですが、桜がきれいな場所が何カ所かあります。 桜の季節になると、気持ちの良い日に、夫と車で回ります。行くのは、毎年同じ場所ですが、季節を感じるのは良いものです。 桜ばかりではなく、花桃なども時期を同じくして、咲いています。色がきれいです。 名所と行っても、私が名づけただけで、観光地ではないので、人は少なく、気持ちよく回

          種袋

          俳句日記  今日の句は 老(おい)二人播いても余る種袋 種袋は春の季語です。 夫は、定年後、家庭菜園というには少し広い畑をかわいがっていますが、種袋の種を全部播くと、収穫時には、夫婦二人の食卓には多すぎるので、加減してねという私のリクエストに応えると、種が余ってしまう、という気持ちで、作りました。 実際は、余らせるのが嫌いな夫は、全部播いて、食べきれないほど収穫して、ご近所に配って回っています。笑。 畑で取れる旬の野菜は美味しいですが、短期間に沢山届くのが、難点です

          歩き始める

          今日の俳句は    初春に初めの一歩小さき靴 季語は「初春」新年(お正月)です。 初孫は12月生まれなので、一歳のお誕生日を迎えた後のお正月には、歩き始めていました。 娘と、デパートにファーストシューズを買いに行き、小さな足のサイズを測ってもらって、小さな靴を選びました。 そして、公園デビューです。 すっくと立って、ヨチヨチと、遊歩道を歩いていく後ろ姿の動画が残っています。歩くことに一生懸命で、動画を撮っているママを振り返ることもありません。前へ前へと歩く姿が、な

          毛糸編む

          今日の俳句は    翳(かす)む眼で生まれ来る嬰児(こ)に毛糸編む   「嬰児(えいじ)」とは主に、生まれたばかりの新生児を指します。ここでは、音数の関係で「こ」と読みます。 季語は「毛糸編む」冬の季語です。「生まれ来る」としたので、生まれる前のことだとわかって頂けるでしょうか。 初孫は12月が予定日。白い毛糸で、退院の時に着るベビードレスを編んであげようと思って、本を買い毛糸を揃えて、いざ編もうとしたら、老眼鏡を掛けても、編み図も手許もよく見えません。レース編みは無理でも

          のりこの俳句日記

          俳句を始めたのは、20年程前のことです。友人に誘われて、月に一回の句会に出ることにしました。 句会には4句作って、持って行かなくてはなりません。毎月お題(兼題といいます)が出て、全員の作品を匿名で出し、その中から、自分なりの特選1句、並選4句を選びます。先生の句も混ざっています。 全員が順番に、自分が選んだ句を披露します。選ばれた句を詠んだ人は(その句は私が詠んだものですと)名乗ります。特選に選んだ句については、披講(どこがどのように良いか述べる)します。先生は特別に、先生選

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