見出し画像

アンナ=エヴァ・ベルイマン 「内なる旅」 展 パリ市立近代美術館

パリの新聞、オブニー( OVNI。1979年からパリで発行されているフリーペーパー。フランスで生活する上で必要な情報を、ジャーナリストが独自に取材して提供している。オリジナルティ溢れる内容で、フランス、パリに住んでいる日本人ならば誰もが知っている情報誌。28年前に私もオブニーの掲示板で、パリ生活初めてのアパートを見つけました)で、“今期のパリで最高級の展覧会の一つであると思う”、というカルチャーページの記事を読み、これは行かねば、見てみたい!しかも私がパリで1番好きな美術館、パリ市立近代美術館{ Musée d’art moderne de Paris ) で開催中。開催終了日も近い(7月16日まで)。
アンナ=エヴァ・ベルイマン「内なる旅」展 ( Voyage vers l’intérieur  Anna- Eva Bergman )を急いで見てきました。

記事にあるように、業績を残しても注目度が低かった女性美術家が近年、大きく取り上げるようになったというけれど、ベルイマンの作品を、正に、数々の期待以上の素晴らしい作品を、広々とした美術館でゆっくりと見ることができました。抽象画で知られる以前の具象的な作品も数多くあり、大満足。抽象画では、自然の中の山、湖、木、天体、宇宙までもが極めてシンプルに描かれ、特に金箔銀箔が使われた作品には静寂さと崇高さに溢れていて、果てしなく美しい。。パリ近代美術館のスケールある広々した空間が、更に幻想的なエネルギーを生み、ベルイマンの世界にどっぷり浸ることができました。

オブニー 949号より

 

Stèle avec lune (鋼と月)
Arbre d’argent    (銀色の木)
Grand soleil  (大きな太陽)
Grande vallée  (大きな谷)
Terre vue de la lune  (月から見た地球)


オブニー950号には、南仏アンディーブにある、抽象画家、ハンス・ハルトゥングとアンナ=エヴァ・ベルイマン夫婦のアトリエ兼住居が、2人の作品を研究、世界に向けた作品紹介の財団による美術館として、2022年から一般公開が始まったという、興味深い記事もありました。またひとつ、行きたい場所が増えました。

パリ市立近代美術館ですが、20世紀以降の、ヨーロッパを中心とした近現代美術作家の作品に溢れています。1万点を超える美術館のコレクションがあるそうで、無料の常設展では、マティスの部屋には特大の、最初のバージョンの
「ダンス」があり、デュフィの超特大の壁画「電気の精」(作家自身が1954年に寄贈) の部屋もあり、パブロ・ピカソ、ラウル・デュフィ、アメデオ・モディリアーニ、アンドレ・ドラン、マルク・シャガール、レオナール・フジタ、ピエール・ボナール、クリスチャン・ボルタンスキーなどなどの作品が、無装飾の広々した空間で堪能できます。美術館の外観は神話をテーマにした装飾です。エッフェル塔も臨め、比較的いつも混み合っていないのも心地よく過ごせて(私にはそれが極めて重要)、マティスに先ず会いたくて(マティス大好き)、いつでも企画展は興味深いし、パリ住んでいた時もパリにやって来た時も、思えば定期的に、必ず通っている美術館です。

ダンス  ( マティス )
電気の精  ( デュフィ)
エッフェル塔 (ドローネー)
朝食 ( ボナール )
夢  ( シャガール )
 ジュイ布のある裸婦 ( フジタ )

また、パリ市立近代美術館ばかりではありませんが、パリの主要な美術館では様々なアトリエもよく開催されていて(子供向けのアトリエも豊富で、パリに来ると毎回息子を送り込む)、美術館の学芸員の方の展覧会に関する講座その他がリーズナブルな価格で受けられるアトリエ、これも嬉しく素晴らしいなぁといつも思っています。

余談ですが、パリ近代美術館の前の通り、プレジダン・ウィルソン・アヴェニュー( Avenue du President Wilson )では、水、土曜日と、ごくごく普通のマルシェ(市場)が出ているので、そこにもふらっと寄れるのも(何も買わなくても)楽しい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?