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【第68回岸田國士戯曲賞最終候補作を読む】その6 蓮見翔『また点滅に戻るだけ』


候補者について

蓮見翔[はすみ・しょう]
1997年生まれ。東京都東久留米市出身。日本大学芸術学部映画学科卒業。ダウ90000主宰。第66回以来2度目の最終候補。

(撮影:樋口涼)

候補作について

昨年5月、ダウ90000の第五回演劇公演として本多劇場にて上演。

■時代、場所
 現代。埼玉県所沢市の国道沿いにあるゲームセンター「サーカス」。

■登場人物
 杉原美緒  芸能事務所所属
 中野淳   美緒の元恋人
 戸塚千晴  美緒の友人
 越智梓   美緒の友人
 後藤陽介  淳の友人
 長谷川海斗 淳の友人、梓の恋人
 飯踏小麦  同級生
 山田義雄  ゲームセンター従業員

■物語
 東京で芸能活動をしていたものの、男性とキスをしているプリクラ写真が流出してしまった美緒は、地元・所沢市の友人・千晴や梓とゲームセンターに遊びに来る。一方、美緒が恋愛禁止という事務所の方針に従って別れた元恋人の淳(あつし)も東京から友人の後藤や海斗に会うためにやってくる。美緒たちは淳が写真を流出させた犯人ではないかと疑うが、ストーカー気質の従業員・山田や美緒の母親と仲がいい同級生・飯踏らにも疑いの目が向けられる。

総評

 本作の上演はまたしてもチケット争奪戦に敗れて配信にて鑑賞(こちら)。相変わらず台詞のセンスがよく、面白いことは面白いのだけど、前回最終候補に残った『旅館じゃないんだからさ』に比べるとちょっと決め手に欠けるかなという印象。そもそも美緒はたいして有名でもないのにプリクラが流出したところで記事になるか?という根本的な疑問も。あと、上演台本ということもあってか、「これ」とか「あれ」が何を指しているかが分かりづらく、もう少しト書きを親切にしてほしかった。

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