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抹消された特許をパクろう

【稼ぐ経営者のための知的財産情報】
 
 弁理士の坂岡範穗(さかおかのりお)です。
 今回は、「抹消された特許をパクろう」について書きます。
 
 特許というのは、永久に権利が維持できるものではなく、出願から最長20年で抹消されます(一部、25年のものもあります。)。
 また、20年を経過しなくとも、毎年の登録料の納付をしなければ抹消されます。
 すると、その特許に関する技術は、基本的に誰でも実施できることになります。
 
 この特許権切れの技術を用いることを、日常的に行っているのが医薬品の業界です。
 皆さんご存じのとおり、ジェネリック医薬品と呼ばれて流通しています。
 これらは先発品の特許が切れるのを待って、同じ成分の薬を製造して安価に販売しているのです。
 
 医薬品は開発に必要な費用が膨大になりやすく、この開発費用を投資としてする力の無い(またはあえてリスクを取らない)会社にとっては良い方法です。
 ユーザーにとっても、同じ成分の薬が安価に手に入るので良いですね。
 
 このような手法を、皆さんの業界でも使えないでしょうか?
 さすがに、特許が抹消されるころには売れもしないライフサイクルの短い商品や、技術が陳腐化しやすいIT分野では厳しいでしょうが、けっこう使える分野もありそうです。
 
 私がよく思っているのが建築分野です。
 実は、私の自宅は免震構造を採用しています。
 戸建て住宅に免震構造が採用されたばかりの頃ですが、地震が恐いので付けました。
 数百万円のオプションだったので、けっこう無理しました 笑。
 
 本題に戻りまして、私の自宅は建てて20年経過しているので、その免震構造の特許も当然権利が抹消されています。
 その特許を丸パクリすれば、地場の工務店でも「免震構造の住宅」として広告を打つことができます。
 さらに、良いネーミングで商標を取得して、いかにも新技術みたいな顔をして売ればよいのではないでしょうか。
 そうすれば、他社との差別化ができて売り上げに貢献することができそうです。
 
 他にも、食品分野なんかにも権利が抹消された特許に関する技術が使えそうです(探せば色々ありそうですね)。
 例えば、高齢者向けの調理方法などは今後有望な分野です。
 また、ロングセラー商品の特許も狙えます。
 
 但し、注意点もあります。
 その特許の権利が抹消されていても、改良特許や関連特許などの権利が存続していることがあります。
 うかつに手を出すと、改良特許や関連特許に抵触してしまいます。
 
 例えば、アイスクリームの「雪見だいふく」は、基本的な特許は既に抹消されているのですが、関連特許はまだ存続しているようです。
 (今回の本題とはそれますが、このような改良特許や関連特許の出願は大事です。後になって関連特許等を出願することで、特許の存続期間を実質的に延ばすことが可能となることもあります。)
 
 ですので、抹消された特許をパクるにしても、弁理士と相談しながら進めていく方が良いですね。
 自社製品の技術分野に関する文献を抽出してもらい、その中から使えそうな技術をピックアップしていくのです。
 
 ここで、他人の抹消された特許をパクるなんて卑怯だとお考えの人、そんなことは全くありません。
 そもそも、特許というのは技術情報を公開する代わりに所定期間の独占排他権を付与するものです。
 これが産業の発展につながるのです。
 ですので、極論を言えば特許というのはパクるためにあるのです。
 
 但し、パクるのは特許公報に掲載されている技術だけにしてください。
 何でもかんでもパクると信義誠実に反しますし、不正競争防止法でお叱りを受ける可能性があります。
 
 これらのパクリ戦法、上手く行けば頭ひとつ飛び出た中小企業になれそうですね 笑
 この記事が御社のご発展に役立つことを願っています。
 
坂岡特許事務所 弁理士 坂岡範穗(さかおかのりお)
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