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スパイに気を付けろ

【稼ぐ経営者のための知的財産情報】
 
 弁理士の坂岡範穗(さかおかのりお)です。
 今回は、「スパイに気を付けろ」をお伝えします。
※出願等のお問い合わせはこちらから http://www.sakaoka.jp/contact
 
 2024年1月3日の記事「特許・意匠・商標だけが知財ではない」で、ノウハウ管理について述べました。
https://note.com/norio_sakaoka/n/nd2d88f88b8cf 

1.スパイは実際に居る

 その続きで、今回も情報漏洩に関しての話をします。
 タイトルに「スパイ」とありまして、何やら大げさだなと感じられた人もいらっしゃると思います。
 
 そうでもないのです。
 「スパイ」と聞くと、「007シリーズ」や「ミッション:インポッシブル」を思い浮かべてしまいますね。
 しかし、実際のスパイは映画のように派手なものではないと思われますし、産業スパイは特に地味だと思います。
 そして、産業スパイは実際に居ます。 

2.スパイの手口とは

 スパイの手口としてよくありそうなのが、顧客を装って接近して、情報を盗むというものです。
 この手の人間は、いかにも買いますという雰囲気を出して連絡を取ってきます。
 次に、何回か製品仕様などの打ち合せもして、具体的な商談も進めていくうちに、製品の情報を根掘り葉掘り聞き出していきます。
 
 このとき、ノウハウ管理がしっかりとした会社であれば、どこまでの情報を社外に出して、どこからは社外秘であり、外部の人間に喋ったり資料を提供したりしてはいけないとの線引きができます。
 しかし、殆どの中小企業では、このような線引きをしていないと思われます。
 結果として、大切な情報が漏洩してしまうのです。

 3.日本人は「いい人」が多い

 特に日本人の社長や営業担当は「いい人」が多いので、受注のために自社の優位性をアピールしようとして、余計な情報を相手に提供することがあります。
 
 そして、相手が必要な情報を手に入れたら、それまで頻繁に連絡を取っていたのがなくなり、受注もキャンセルになるという流れです。
 
 同様の手口で、契約前に品質の確認をしたいから、工場見学をさせてほしいという要望もあります。
 工場見学をして、その場で根掘り葉掘り聞き出すのです。
 ここでも、受注を逃してはならない、契約の一歩手前まで商談が進んでいるのだから大丈夫だろうという心理が働いて、ノウハウを社外に漏らしてしまうのです。

 4.実際の事例

 上記のような話はたまに聞きます。
 坂岡が聞いた事例でも、とある国内の会社で、欧州の会社とケミカル製品の商談が進んでいたところ、先方から契約前の最終確認で工場見学をさせてほしいといわれ、見学を許したそうです。
 このとき、日本の会社はプロセスについて、欧州の会社から聞かれるまま詳細に説明したようです。
 すると、そこからキャンセルの話が出て契約が破談になったそうです。
 
 他にも、こちらは弊所から割と近い会社で樹脂シートの製造をしており、顧客から定期的に注文があったそうです。
 ところが、その会社はセキュリティなんてものは皆無であり、誰でも扉を開けて会社内に入れたとのこと。
 
 ある日、社長が1人で2階の作業場で製造機械を動かしていたところ、顧客が勝手に2階まで入ってきて「そうやって製造していたのか」とつぶやいたそうです。
 その後、その顧客からの発注はなくなりました。
 
 そこの社長は笑い話にしていましたが、実際問題として笑い話ではないです。

 5.マスコミでも産業スパイは報道されている

 あと、雑誌などのマスコミ情報ですが、外国人が最初からスパイ目的で入社することがあるようです。
 
 本当かどうか知りませんが、昭和の時代には韓国の造船会社は10万トン級の船を造ることができなかったとのことです。
 そのとき、日本の造船会社と仲良くなった韓国の造船会社の経営者から、数名の実習生を受け入れてほしいとの要望があり雇用したそうです。
 
 すると、その実習生たちが図面などをコピーしまくって本国に送り、さらに工具なども持ち出して送り、それによって10万トン級の船が作れるようなったとか。
 
 他にもトヨタ自動車系列の会社で、中国籍の従業員がデータを不正に持ち出したと、かなり前のニュースで報道していました。
 
 いま、外国人材を雇用する会社はたくさんあります。
 そこからノウハウが漏洩しないよう気を付けてください。
 
 他に考えられるのが、ヘッドハンティングによって自社の従業員がスパイになってしまうことです。
 これも推測の話ですが、一昔前は日本の電機メーカーの人材が、韓国メーカーや中国メーカーに転職して、日本の技術がずいぶんと流出したようですね。
 
 最後の方は、愚痴みたいな話になってしまいましたが、いずれにせよ情報の漏洩にはお気を付けください。
 弊所の顧客には、本当は製造方法をノウハウ管理したいけれど、営業部隊が注文を取るために喋りそうで管理できないから、特許出願するというところもあります。
 
 いかがでしょうか?
 この記事が御社のご発展に寄与することを願っております。
 
坂岡特許事務所 弁理士 坂岡範穗(さかおかのりお)
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