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「プロンプト、お好きな言葉を叩いてみれば、文明開花の音がする」 そんなAI時代を生き抜くために必要な3つのこと

脳内でガラガラと音がする。

自分の経験知を破壊し、作り直さねばならないという危機の音と、
この先に待っている未来の期待に震える音と。

chat型AIに対して、好きな言葉を叩くことで、違う未来の1ページが、まさに始まろうとしている。

例えば、好きな言葉を入力すれば、AIが自動で何らかの絵を作ってくれる。

ここまではわずか5秒。凄いなと思うわけだが、出てきたアウトプットも、2つ3つ見ればもう飽きてくる。そして、細かな微調整ができない以上、クオリティを高めたい場面、サービス設計がしっかりしている場面では、使い物にならない。

アトランダムな画像で良いから、求める雰囲気が近いものを選び、プレゼンスライドの背景に使う。それくらいしか、使い道はなさそうだ。

そこまでは、序章だ。第1章でもない。

どう使いこなすか。人材もAIも、使いこなす側の力量で大きく変わる。

組織であれば、チームビルディング、20人や50人の壁など、優秀な人材をフル活用し、会社を成長させていくためのチームリーダーが必要だ。

同じように、AIに最高のアウトプットを出させるためには、AIに対して的確な指示、導き、取捨選択をしていく、AIリーダーが必要となる。

AIリーダーになるために必要な3つの視点をここに書いてみたいと思う(全部AIは使っていない)

1.的確な単語知識

単語といっても英単語じゃない。さまざまな手法、メソッド、考え方、理論の名前と、その機能、それがアウトプットしてくれるものに対する知識だ。

例えば、「日本には信号がいくつある?」というものを試算する場合、そういう方法論のことを「フェルミ推定」と呼ぶ。

「日本には信号がいくつある?」とAIにチャットする代わりに、「日本に存在する信号の数をフェルミ推定を活用してだしてくれ」と表現する。

一般化された手法をより多く知っていればいるほど、AIは小気味よくアウトプットを出してくれる。

このZennの投稿は極めて明快な質問の連続によって、プログラム開発を進めている。非常に面白い記事だ。例えば、こんな表現だ。

仕様設計に落とし込むためのドメインモデル図やシーケンス図をmermaid記法を用いてドキュメント化してみてもらえますか?

https://zenn.dev/itohiro73/articles/8bc4330b7c7de7

2.評価できる目

チャット型AIに対して、自分が分からないものを頼むことは危険だ。出されたアウトプットが正しいと評価できないからだ。

シンギュラリティ。AIが人類の知能を凌駕する特異点。AIが自動的に発想し、想像し、新しいものを産み出す。それはまだ先の話。今年にわかに世界に広まりつつある、チャット型AIは、自分が出来ることを頼む相棒のような存在になる。

1と2。より多くの方法論を知っていて、自身もそれを使いこなすことができ、アウトプットに対して正確に評価できる。そんな人にとってAIは、自分の作業をパラレルで自動的に処理してくれる良き相棒になる。

AIが答えた内容への理解が中途半端なまま進めれば、途中でその物事は頓挫し、結果使い物にならないアウトプットで終わる可能性も高い。

力がある人がよりAIによって力をつけ、評価できる目がない人は、AIを使いこなす土壌にも立てない。人の間の力の差が、さらに広がっていく可能性がある。

3.分身の術とそこで生まれた時間

将棋士の羽生さんは、AI将棋の登場によってかつてこんなことをおっしゃっていた。「高速道路の先で大渋滞が起きている」

これまでは、強い将棋士と対戦するには、町の集会所、大会、プロ将棋士などの私塾に行くしかなかった。対戦経験も、1局1局を積み上げていくしかない。

しかし、AI将棋の登場によって、何万パターンの指し方を画面上に高速で展開し、それを見る。強さのレベルを調整したAIと何度も対戦できる。かつては10年かかった経験値も、わずか1年、いや1ヶ月でも手に入るようになりつつある。その高速で知識を習得していく道を高速道路と表現したのだ。

そして、その高速道路は、誰でも簡単に乗り入れることができる。誰もが、高速に経験値を積むことができる。それゆえに、その先で「大渋滞」が起きていることになる。

何万通りの対局を経験することが強さにつながっていく。ある一定レベルの強さまでの道のりが、ある意味容易くなったのだ。高速道路の先で起こっている大渋滞から抜け出し、竜王になるには、これまで以上の才覚が必要になる。

プロ将棋士は、AIによって習得した幾万通りの打ち手を見ることで得た経験値を手に、生身の人間との勝負となる。一手一手の局面で、最も有効な打ち手を見出していく。誰もがAIによって鍛えられている現在、どうやって、相手に勝るか、どうやって相手を出し抜くか、その競争は苛烈を極めている。

その中で、羽生棋士は、「AIの死角」を見つけ出そうとしている。

AI同士では表れない将棋を人間が指せるかどうかということでもあるんです。いや、きっとあるはずなんですよ。AIの枠組みと、その外側のAIが評価しないところとの『間の場所』が絶対にあるはずなんです。統計の外側みたいなところで、人間だから見つけられて、AIには見つけられない場所が。人間の死角のほうが遥かに大きいけど、AIにも死角がある。その場所を見つけられたらいいな、と

https://number.bunshun.jp/articles/-/856099

では、ビジネスではどうだろうか?

チャット型AIによって、いま、知的ワークの高速道路が誕生した状態にある。誰でもそこに乗り入れることができる。できることは多種多様な業務に広がる。AI将棋のように、「将棋で対戦する」という単機能ではない。市場調査、分析、プログラミング、デザイン、デバグ、校正、執筆など。他にもまだ思い付かれていない使い方もあるだろう。

高度な知識が必要なものほど、それを推進するために世界中でさまざまな方法論が確立されている。方法論があるものは、AIに向いている。

今までGoogle検索と文献を活用してやってきた作業が、うまくチャットを使いこなすことで、言葉を打ち込んでおけば、コーヒーを飲んで待っていれば、期待するアウトプット(に近い物)が手に入るようになる。

経験したことがあることを、AIに代わりにやってもらう。しかも高速に。自分の分身が、画面の向こうにいる形だ。

高速道路の先に大渋滞が起きている。ビジネスの世界では、対戦する相手は、AIそのものであり、AIの死角をどうにか手に入れ動いている生身の人間であり、ビックデータであり、AIを使わない人たちとなる。

自分の分身であるAIに仕事を任せている時間で、どう他と差別化するか。出し抜くことができるか。AIの死角とは何だろうか。

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AIの死角

AIの死角とは何だろうか。AI時代に、どうやって私たちは生き残ることができるんだろうか。

デジタルの中でのAIの死角を、ここで書くことができれば素晴らしいわけだが、それは残念ながら思い付かない。

AIの死角。いま言えることは、それはコンピューターであることだ。生物ではないこと。それがAIの死角だ。

人間ではないこと。

人間はミスをする。命は儚い存在。水と食事と睡眠を取らなければ生きていけない。

人間だから、マラソンで2時間で走ることが偉業となる。
人間だから、投手とバッターの二刀流をやってのけることが偉業となる。
人間だから、人を感動させる絵を描くことができる。
人間だから、人は、人を必要とする場面が必ずある。
人間だから、束の間の美しさ、ヒラヒラと散る桜を見にいきたくなる。

chatGPTは4になり、5になり発展していくだろう。イーロン・マスクをはじめとする著名人がルール整備の間新規の発展的開発を半年止めるべきだ、という声明を出したが、進化は止まらないだろう。

AIは人間にとって脅威となり得るか。未来に恩恵をもたらすか。どちらになるかではない。どちらも起こるだろう。

毎年100万人の交通事故死を生み出してしまう車は、人類の脅威か、未来の恩恵か。

自殺者を生み出してしまうソーシャルメディアは、人類の脅威か、未来の恩恵か。

世界中に衛星インターネットをもたらすロケット技術と、戦争を過激化するミサイル技術は、人類の脅威か、未来の恩恵か。

これから多くの問題をAIは産み出すだろう。そして、同時に多くの問題も解決するだろう。日本には1億2000万人を超える人がいて、世界人口は80億人に迫ろうとしている。

AIの死角。それは、あまりにも多くの人がいま、地球上にいることだ。人がいる限り、AIが及ばない生物としての儚い領域が広がっている。そこはまさにAIの死角なのだろう。

参考note

p.s.
メイン画像はもちろんAIを活用して生成し、少し加工したものだ

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