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ジャズを軽く聴き始めたい人への軽い名盤紹介⑭フュージョンだけど、、、、『Double Vision』Bob James & David Sanborn(1986年)

 サンボーンでなければここまでの傑作にはならなかった。

こんにちは。

今回は、ボブ・ジェームスとデヴィッド・サンボーンの共作というまるでバブル期のような豪華なアルバムのご紹介です。

1 Maputo
2 More Than Friends
3 Moon Tune
4 Since I Fell For You
5 It's You
6 Never Enough
7 You Don't Know Me
8 Luthor 9 Hey Girl


参加ミュージシャンは、当時の定番スタジオミュージシャンともいえるでしょうか。
まずベーシストがこのアルバムにおいて最も重要な働きをしたであろうマーカス・ミラー、ギターにエリック・ゲイル、ドラムはもうどこにでも顔を出すスティーブ・ガッドという組み合わせです。

この豪華布陣で作った作品が悪いはずがない! 往年のジャイアンツのクリーンナップ、3番長嶋、4番王、5番末次といった感じです。え? 例えが古すぎる? じゃぁ3番掛布、4番バース、5番岡田という豪華さ。これも古いかぁぁぁ!

1曲目から聴いていきましょう。「Maputo」。これはどこかの地名らしいのですが、詳しくは知りません。作曲はマーカス・ミラー。ベースプレイが素晴らしいだけじゃなく、良い曲書きますよね、この人。
ゆったりとしたベースラインが気持ちいいこの曲、この材料をうまく料理したのが「泣きのサックス」ことデヴィッド・サンボーンです。サンボーンなくしてあり得ないこのリリカルさ。まさに「咽び泣いて」いますね。

サンボーンは私は以前からよく聴いていて、アルバムも殆ど持っていたくらい好きでしたが、ある日、急に飽きちゃって全アルバムを中古屋に売った、という前科があります。

その頃はフュージョンより純ジャズに興味を持ち出して、フュージョンなんて邪道だ、とバカな考えを持っていましたからね。皆さんも音楽以外のことでそんな経験の一つや二つお持ちでしょう?

”Maputo”の魅力と次作(『Quartet Human』)について

そしてこの曲、この二人の次作『Quartet Human』(2003年)でも日本盤のボーナス・トラックとして再演されています。ボブ・ジェームスの方は自分のアルバムでも取り上げているほど、二人のお気に入りの作品となったようです。やるじゃんマーカス。そしてマーカス・ミラー自身もライブでよくプレイしているみたいですね。

そして4曲目の「Since I Fell for You」は、アル・ジャロウがゲスト・ヴォーカルとして参加しています。上手いですよねこの人も。
We Are The World」にもこっそり参加してました。
地味だけど上手い。そして結構色んな人のアルバムに顔を出しています。アル・ジャロウと聞くと「そこに、あるじゃろ?」と広島弁が出てしまいそうになりますよね。

全体的に、やはりスティーブ・ガッドとマーカス・ミラーのリズム隊が超超一流だからみんな気持ちよく演奏できますね。

特にガッドのタイム感覚は尋常じゃありません。
余談ですが、世の中がレコードからCDへと移行した時に、私が初めて買ったCDアルバムが、スティーブ・ガッドの『Gad Gang』という作品でした。

雰囲気は全体にわたってリリカルという言葉がピタリときます。これはサンボーンのサックスの音色が、このアルバムに色をなしたと言っても過言ではないでしょう。
そしてマーカス・ミラー。決して出しゃばっていませんが、全曲において抜群の存在感を発揮しています。

私はこのアルバム、特に「Maputo」を聴くと、なぜか雨が降っているような感覚になります。逆に雨の日はこのアルバムを聴きたくなります。

この二人の次作『Quartet Human』(2003年)は、もっとジャズ寄りの演奏で、本作のようなリリカルなフュージョンを期待したら、きっとがっかりするでしょう。
といっても、決して『Quartet Human』が駄作という意味ではありませんよ。

1 You Better Not Go to College
2 Geste Humain
3 Sofia
4 Follow Me
5 My Old Flame
6 Another Time, Another Place
7 Montezuma
8 Genevieve
9 Deep in the Weeds


本日も最後までお付き合い、ありがとうございました。

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