猫が人類を救う時代。
この記事を読んであなたが得られるかも知れない利益:きのうは犬、今日は猫だよ。ネコのおかげで、刑務所の雰囲気がよくなったのはなぜ。犬とは違う猫の可能性とは。
刑務所と猫
昨日は、あなたのイメージアップのために、犬を利用するのもアリ、というお話をしました。
今日は猫です。
犬でも猫でも、一緒に撮れば、庶民的イメージを振りまくことができるんじゃねえの、とおっしゃるかもしれませんね。
そのとおりです。
では、犬と猫、どっちがあなたの精神の癒やしに有効でしょうか。
もちろん、これも愚問でしょう。
犬が好き人なら犬、でしょうし、ネコ好きならば猫です。
でも、猫は特別の境涯にいる人間には、犬よりもよい影響を与えるのです。
ネコが人間を”変えた”ケースをご紹介し、現代におけるネコの偉大な力を考えてみましょう。
ここは、チリの首都サンディエゴの刑務所、180年の歴史を持つ、通称ペンと呼ばれる同国最大級の刑務所です。
ここは5600人の囚人と300匹の猫が戯れている光景が、日常的です。
囚人たちはネコと一緒に遊び、働き、ベッドも共にし、ネコのお家まで作ってあげます。
では、ネコはお返しに何をくれるのでしょう。
何か囚人たちにとって価値のあるもの、です。
それは愛であり、受容つまり人としての囚人をネコが受け入れてくれたことです。
スペインの研究者によると、その結果、囚人たちの再犯率は減り、彼ら彼女らの共感性、ソーシャルスキルが改善 され、囚人たちと管理する看守たちとの関係性もより安全で乗り ポジティブなものになったのです。
刑務所長の刑務所のゴンザレスさんも、その変化に気づいています。
彼女も 自宅に猫を二匹飼っている買っている 猫好きです。
ゴンザレスさんはこう話します。
過去にもあった動物セラピー
ニューヨーク・タイムズWeekly2024年1月7日号はCats filled a prison. The inmates fell in love (ネコが刑務所に溢れ、囚人はネコと恋に落ちる)と題した記事で、ネコと囚人のこうした関係の歴史を追っています。
それによると、チリの例は珍しいことではなく、動物と囚人のふれあいの取り組みは、1970年代の後半に アメリカで良好な結果が出て、日本、オランダにブラジルに 広がったそうです。
ある囚人はネコとのふれあいについてこんな感想を話しています。
ネコの潜在パワー
思うに、刑務所でネコが囚人の行動を変容させている理由は、ネコが犬と違い、すぐに懐かない動物だからではないでしょうか。
ネコは臆病で慎重です。
野良猫に近づいて行っても、むこうからはめったに「ニャア=こんにちは」などと歓迎してくれませんよね。
猫とつき合うには、こちらから愛してあげないとならないのです。
それも本気で好きになって、少しでも振り向いてもらうためには、継続的な愛情表現が必要です。
その忍耐が囚人たちに、「愛するとは何か」を実感させ、今度は愛情を注ぐことで、命あるものを大事にするという責任感が芽ばえるのではないでしょうか。
もちろん、監獄という過酷で孤独な逆境があるからこそ、心の支えが欲しくなるというメカニズムはあるでしょう。
それにしても、ネコは囚人たちに「まず相手を愛することの重要性」を教えているのではないでしょうか。
これは、囚人のみならず、人間すべてにネコが発しているメッセージのような気がしてきました。
ネコは哲学者で、人間が戦争をしている愚かさを一番知っている賢人なのかもしれません。
社会制度のサポートの必要性
ニューヨーク・タイムズの記事で、この”ネコシステム”で重要だと思ったことがあります。
それは、ボランティアや社会制度による、サポートです。
前述の70年代にブームになった刑務所のアニマスセラピーが、失速した原因の一つが、これがなかったことです。
ネコは放っておけば繁殖し、病気にもなります。
2016年にフェリノス財団(Felinnos Foundation)という組織はHuman Society International というボランティア団体と組んで、定期的に刑務所を徘徊する猫たちを捕まえ、猫の健康をチェックし、避妊手術や去勢手術も始めました。
こうした取り組みがあって、初めてネコが刑務所で活躍できるようになるのです。
ストレス社会だからこそ、まだまだネコの活躍する場所はたくさんあります。
でも、ネコ好きなあなたはこうおっしゃいますよね。
「フン、人間の都合だ。まず、猫の気持ちを考えてあげるこころと、教育が必要だよっ!」と。
そうですね、何でもかんでも人間のために利用しようという、資本主義的なマインドが僕も抜けておらず、こんな記事を書いてしまいました。
まず、明日から、こんな雑誌をサブスクして勉強したいと思います。
野呂 一郎
清和大学教授
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