全日空新シート開発に見る、「日本人こそ世界一のマーケター」論。
この記事を読んで、あなたが得られるかも知れない利益:日本人の世界に誇れる資質は「感性」。そして感性こそがマーケティングを牽引する最大要因であるという主張。
全日空と豊田紡績のコラボ
今日のマーケティングの講義は「新製品開発」をやりました。
全日空が新しい機内座席をリニューアルした事例を取り上げ、映像を見ながら、新製品開発とは何かを考えました。
新製品開発とは、コラボです。
コラボとは両者の長所を持ち寄ることです。
全日空は飛行機の座席のスペシャリストです。
これはわかります。
全日空は、機体のイスに何が求められているかを、誰よりも知っています。
では、全日空のコラボ先である、豊田紡績は何を持っているのでしょうか。
同社はクルマのシートのメーカーであり、「心地よいクルマの座席とは何か」を誰よりも知り抜いているのです。
しかし、豊田紡績は飛行機の座席を作ったことはなく、このコラボは自動車のシートで培った技術とスキルを、飛行機のそれに応用する、大きなチャレンジでした。
新シート開発のきっかけ
全日空は当初、米欧の飛行機の座席を作っているメーカーに打診したそうなんです。
しかし、それらのメーカーは「快適な飛行機シートを作って欲しい」という注文の意図が分からなかったのです。
ヨーロッパは短い距離のフライトが多く、ユーザーは1時間やせいぜい2時間位のフライトで、快適さなんてどうでもいい、という態度でした。
アメリカのフライト会社は国際線も持っていますが、お客さんは乗りごごちの悪いフライトも、「そんなもんだ」と気にもとめない、というのです。
ですから全日空が「サイズはそのままで、快適で小さいシートを作ってくれ」と依頼しても「はぁ?」という反応だったのです。
そこで全日空は飛行機の座席は作ったことのないものの、話が通じるだろう豊田紡績に相談したのです。
豊田紡績は「当社は飛行機の座席のメーカーではないが、やってみましょう」とチャレンジが決定、したというわけなのです。
感性が市場を創る
この全日空✕豊田紡績というタッグチームは、感性という武器がありました。
欧米のメーカーがわかってない、「微妙な感じ」がわかるのです。
そもそも欧米のメーカーは、「飛行機の座席?それを快適にしろっての?意味あんの?」と、はなから問題意識なんかないんです。
僕はこれは「感性の違い」だと思っています。
感性の違いとは、いい悪いではないのです。
ただ、感性は「ニーズを発見し、市場を創る」のです。
こんかい全日空は、期せずして「長いフライトでの座席の座りごごちの悪さ、不快」を感じる感性があったからこそ、より快適な新しい新製品というニーズを発見し、市場を創ることができたのです。
日本人の感性で世界をリードしろ
日本人はわかってないんですよ。
自分たちが世界一の感性をもっているって事実を。
僕が米国でMBAの勉強をしていたその昔、こんな本がありました。
「日本で勝てれば世界で勝てる」。
この本の内容は、こうです。
要するに、世界の大企業は「日本人の感性」に鍛えられ、結果、世界市場で覇権を握った、ということなのです。
なぜ日本人は自分たちの長所に気がつかないのか
それは日本人が海外で活躍、貢献することに興味がないからですよ。
海外に興味がない、言葉も覚えない、ましてやビジネスや生活したいなど考えもしない。
外国適齢期と言える10代、20代、30代をみずから鎖国して過ごし、その間海外と交わらないから、自分たちの良さが相対的にわからない。
快適とは何かという感性を誰よりも、強く持っている日本人。
でも、日本人の独特なすぐれた感性はそれだけにとどまりません。
今回のイスラエルvsハマスだって、日本人の感性に任せりゃ、止められるんじゃないでしょうか。
あらゆる問題解決に、日本人の感性が役に立つのです。
世界各国において、家庭に一人、会社にひとり、日本人が必要です。
英語なんかできなくてもいい、んです。
紙面が尽きたので、今日はここまで。
野呂 一郎
清和大学教授
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