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エイボン化粧品に学ぶ、セールスの秘訣は女性と社会性と親密性

女性の社会進出を後押ししたエイボン

皆さんはエイボンって企業をご存知ですか。最近聞かないけれど、化粧品製造・販売会社、でした。2016年に解散したのは僕も知りませんでした。1886年に創業した老舗ですが、2018年に韓国LGグループに買収されています。

エイボンはアメリカの歴史で女性販売員をはじめて組織し、女性を労働市場ではじめて積極的に起用した企業として知られています。

今回創業者がエイボンの歴史を振り返る本を書いたことで、The Wall Street Journal2021年6月30日号が「女性のためにドアを開ける」と題して、エイボンの今日的な意義について書いています。

(この本です。買わなくていいですよ皆さん。絵を見てもらいたかったんですが、当時こんなカタチでドアベルを鳴らして見知らぬ人の家に化粧品を売りに歩いてたんですね)

変化という教訓

エイボンの創業者デビッド・マッコネル氏(David McConnell)は、ある変化を感じたから、当時画期的だった女性だけのセールス部隊を編成したのです。

それは記事によれば企業資本主義の夜明けとも言うべきもので、アメリカ国内の中央集権的な生産、販売が進み(大規模拠点を中心の生産、流通形態)セールスマンがわざわざ遠くの州に出向いてモノを売るなど時代遅れの過去の遺物になった、ということです。

彼は百科事典を売っていましたが、訪問先の女性客は彼のもってくる無料の香水サンプルが目当てで、百科事典など目もくれませんでした。時代の流れ、女性の感覚の変化を感じた彼は、こう考えたのです。

「セールスは男の仕事と言う常識は捨てよう、女性でもいいじゃないか。女性は新しいものに飢えている、パートタイムという労働市場はいいぞ」。

彼はセールスをやめエイボン化粧品の前進であるカリフォルニア・パフューム・カンパニーを設立したのです。

エイボン成功の秘密

1939年に本社をニューヨークに移転して、エイボンと社名を変えてエイボンは女性たちを鼓舞しました。

具体的には、セールス担当の女性たちを、セールスは最も尊敬されるべき仕事だと説得したのです。セールスという仕事は不名誉な仕事とされていたのです。創業者は男性的なプッシュ販売よりも、社会的な訪問(social call)販売のほうが社会のニーズにあうと判断しました。女性たちは家族、友人、いきつけの教会にさえ販売の和を広げました。エイボンは当時の女性の義務とされた家と家族をケアするという仕事と販売は両立できるとし、女性たちを応援したのです。

その他のまとめ

・エイボンは女性の社会進出の先鞭をつけ、女性のみのセールス部隊を創り、ジェンダーの役割に先進的な範を垂れ、女性労働者の企業文化を作った。

・エイボンの黄金期は1940年から1953 にかけてで、女性セールス部隊は26000人から125000人に増え、年間の売上高は5倍になった。その秘訣はチームスピリットの涵養で、女性セールスチームは他の部隊、本社とのコンタクトを密にとった。

・エイボンレディーは法的には契約社員と定義され、彼女たちはエイボンから直接商品を買って、一個商品を売るたびに30%から40%のコミッションを受け取った。エイボンはこのシステムを勇敢な起業家精神だと宣伝した。

・当時も今も、しかし、女性の労働市場のおける現状はそう変わっていない。女性は家庭での無料家事労働を強いられるのは変わらずコロナ禍では1日4時間、男は2.5時間である。コロナ禍での女性の離職率は男性に比べると甚だしく大きく、経済的な独立など程遠い。

野呂の分析:エイボン・大谷翔平説


今でもアメリカは女性の家事労働をタダ働きで不当だと考える人が多いですね。それを結論に持ってきたかとい感じです。

ただ、それよりも創業者の変化を見極める目が僕には印象的でした。

企業資本主義の夜明け、ということばを使っていますが、これは大企業がカネに物を言わせ、最も彼らにとって有利な生産形態、流通・販売形態を持つようになったことを意味します。それは今はテクノロジーに長けたGAFAのような企業が企業資本主義の主役ということでしょう。

筆者は男がアグレッシブに売る時代は終わり、女性のソフトな物腰で、「親密さ」に物を言わせて売るのが時代にあってきた、と話し、女性労働チームを発足させました。

これは今も通用すると言うか、まさにそういう時代が来たと言えるのではないでしょうか。キーワードは女性、社会性、親密(intimacy)さで、我々はコロナでそれをひどくmissしましたよね、特に親密性という価値がコロナで何倍にも跳ね上がった、僕はそう感じます。

もちろん、昔と今は違うからアメリカでも訪問販売等は流行らないし、日本も難しくはなっていると思います。かと言って以前に社会問題化した、ホームパーティみたいなことをやってねずみ講呼ばわりされるのもダメでしょう。社会性と親密性という言葉が今また生きてきたと思うのです。それに女性を混ぜて、その良い応用をすればいいのです。

大谷翔平がヒントになると思います。

アメリカでグッズがバカ売れしているのは、まさに大谷選手が社会性と親密性を体現しているからです。そしてこれはジェンダー云々じゃないけれど、大谷選手って女性的だと思うんですよ。あのやさしさ、物腰の柔らかさ、ハードなセルをしない。まさにエイボンの女性セールスウーマンです。

こういうテーマで皆さんと色々考えられたらいいですね。

それではまた明日お目にかかりましょう。

今日も最後までお読み頂き、ありがとうございました。

                             野呂 一郎


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