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日経平均最高値は「ほめ殺し」だ!

この記事を読んであなたが得られるかも知れない利益:日経平均最高値はグッドニュースじゃなく、バッドニュースかもしれない。80年代「ほめ殺し」にあった日本が没落した悪夢の再来か。

日本凋落はほめられすぎがきっかけ

80年代は、日本企業と日本的経営がもてはやされた時代でした。

そもそも、僕が「日本語教えてくれるなら、学費はタダにする」という条件で米国留学できたのは、日本的経営ブームのおかげで全米の大学が日本語教育をやる方向に動いたからです。

この30年、日本企業の賃金も業績も上がってない理由は、80年代に持ち上げられ過ぎで、日本企業が地盤沈下したからではないでしょうか。

要するに「日本はもう海外から学ぶものなどない」というムードが産業界に広がってしまったのです。

一方アメリカをはじめとする西欧諸国は、真剣に日本的経営を研究し、よいところ、悪いところを見極め、それを経営に活かそうと必死でした。

私見を言うと、よいところとはチームワークであり、悪いところはガバナンスです。

2000年頃、欧米企業は、180度評価という人事制度を打ち出したことがあります。

上司だけではなく、仕事に関わる関係者すべての考えを取り入れて、従業員を評価する仕組みです。

僕はこれは日本的経営の要であるチームワーク、をどう達成したらいいかを考えた挙げ句の、対案だと思っています。

個人が突出すればいいと考えていた欧米企業が、「仕事はそれに関わる全員の成果」であると、考え直した結果「180度評価」が生まれたのです。

一方、欧米企業は、日本企業はガバナンスがいい加減だ、と見抜いていました。

ガバナンスとは、コーポレート・ガバナンスとも呼ばれますが、企業経営を監視する仕組みのことで、組織のあり方を見直す、不正防止を徹底するなどが大きなテーマになります。

日本企業最大の弱点はガバナンス

タイヨウ・パシフィック・パートナーズのCEO(最高経営責任者)ブライアン・ヘイウッド氏は、日本企業のガバナンスについてこう話しています。

米投資会社タイヨウCEOヘイウッドさんhttps://qr1.jp/I1HTNe

「日本企業はコーポレート・ガバナンスに問題があり、潜在力を発揮できてない。会社の従業員は『こうすればいいのに』と思っている一方、経営陣も社員に不満を抱いている。コミュニケーションが不十分だ」

日経新聞「日本企業の潜在力解放」より、掲載日時不明

僕は、このヘイウッド氏の指摘こそ、日本企業の抱える病巣ではないかと思っているんです。

例えばつい最近のトヨタグループで、認証試験不正が相次いでいる問題。


まさにこれは、ガバナンスの問題そのものです。

社員はみなおかしいと思っていました。

しかし、忖度やら、上司のパワハラを恐れて、誰も問題を指摘できなかったのです。

最近はウィスルブローワー(問題を公にする行為をするもの)を守る、法的制度が設けられましたが、企業の利益を損ねる行為はいかに正しくても、社内で行えば、重罪人、裏切り者扱いは変わっていません。

上にものを言えないような風土は、一朝一夕にできたものではなく、日本企業の、いや日本社会の宿痾とでもいうもので、トヨタ社長が謝罪のポーズをとったところでなくならないでしょう。

間違いだらけの日本企業礼賛論

80年代日本企業がよく見えたのは、ガバナンスのひどさが、好調な業績で覆い隠されていただけなのです。

それなのに、「日本企業すげえ、日本的経営ナイス!」などと持ち上げられて、その気になったのが、その後30年間低迷を続けた真の原因なのです。

そこにもってきて、今度は「日経平均史上最大」などと、また持ち上げられた日本。

これ、下手するとまた80年代で褒め殺しされたときの、二の舞いになりますよ。

じゃあ、ガバナンスをよくすりゃいいんでしょ、ってことですが、そのとおりです。

今日はもうシンデレラタイム(12時note投稿締め切り)なので、また機会を改めましょう。

野呂 一郎
清和大学教授

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