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ギャンブラー保険のすすめ。

この記事を読んであなたが得られるかも知れない利益:アメリカの自動車メーカーは「事故を起こしやすい運転行動」のデータを集め始めた。このデータを分析して保険会社に売る算段だが、プライバシーの兼ね合いで訴訟問題も起きている。しかし、この動きは他業界にも広まる可能性がある。ギャンブラー保険もできるかも。

自動車メーカーと保険業界がタッグを組んだ

結局、ビジネスとは、経済とは確率です。

その最たるものが保険業界でしょう。

例えば80歳だと、通常は生命保険に入れません。5年以内に死ぬ確率が高く、月額保険料を10万円くらいにしないとペイしないからです。

これは年齢というファクターと死亡が密接に関連しているからにほかなりません。

ですから保険会社は、生命保険であれ、損害保険であれ、保険が保証するリスクの確率を把握することが極めて重要になります。

リスク要因は様々ありますが、例えば自動車事故の保険であれば、もちろん年齢とか過去の事故データなどで、保険料が変わってきますが、近年は自動車会社が提供するデータに基づいて、個別の保険料を請求する保険会社が出てきました。

ニューヨーク・タイムズWeekly3月31日号はAutomaker track, and share, data on drivers' behavior(自動車メーカーがドライバーの行動データを追跡しシェア)と題し、自動車メーカーと保険会社がタッグを組んで、「確率のビジネス」を始めたことを報じています。

これは経済学が、人間の行動を追跡し、分析しそれを経済の本質と考える、行動経済学にシフトしている流れと、合致します。

自動車メーカーは、消費者行動ドライバーの運転を直接把握できる利点を利用し、データを収集、分析し、それを保険会社に売り、保険会社はそのデータを使って、個別ドライバーの事故可能性を計算し、保険料に反映させようというのです。

例えば車メーカーはある男性のドライビング行動を過去6ヶ月調査し、発車時間、帰宅時間、走行距離、スピード違反、急ブレーキ、急発信の数などを把握し、これを模範的ドライブのデータと照らし合わせれば、100/60などと事故可能性の度合いが出るわけです。

このデータで保険料を決めるしくみを、乗車ベース保険(usage-based insurance)というのですが、最近、GMがプライバシーと消費者保護法違反(privacy and consumer protection law)違反で訴えられた事例があり、今後この動きが流れになるのかはまだ不透明です。

https://qr1.jp/RbTr8T

ギャンブラー保険はどうですか(笑)

冒頭申し上げたように、結局経済とは確率です。

企業も個人も、勝てる、成功できる可能性の大きい行動に賭けるわけです、意識してようが、してまいが。

世知辛い世の中は、すべてのビジネス判断を確率で行います。

たとえば以前は企業がCMを制作するときは、広告会社に丸投げでした。

しかし、いま企業はCMの視聴が最大になる根拠を執拗に求め、エージェントはデータを集めて、最大の視聴確率を実現できることを証明しなくてはなりません。

利益を最大にする確率と同じくらい、リスクを避ける確率も求められます

すでに出ているかもしれませんが、株や競馬で大損したときにそれを補填する、ギャンブラー保険はどうでしょう。

一平氏の例を見るまでもなく、ギャンブルは普通の人でも深入りするもの、大負けするたんびに保険金をあげてどうする、そう思いますよね。

でも、ギャンブルの元請けは、ここでデータ収集、分析に走るのです。

ダメなギャンブラー、普通のギャンブラー、よいギャンブラーと、損をする金額が大きい順にランクを付けます。

胴元はギャンブル指数というようなものを、出すことができるのです。

どうやって?

過去10年間、1000人のギャンブラーに徹底的な聞き取り調査を行い、ギャンブルの成否を決定する行動要因を洗い出し、保険会社にとって、よいギャンブラー、普通のギャンブラー、危険なギャンブラーを決定し、保険料を決めるのです。

成功は行動が決める

インターネットの発達により、ネットには「成功法則」があふれています。

ポジティブ思考だの、潜在意識だの、引き寄せの法則だの、数え切れないノウハウが語られています。

https://qr1.jp/hg0Xtx

僕は成功のために必要なのは、そうした法則じゃなくて、その人の行動様式だと思うんです

いくら瞑想をして、成功のイメージを描いても、それは実現しません。

その人が以下の行動をしてなければ、成功できないと思うんです。

例えば
・時間に遅れない
・三食しっかり食べる
・家族との折り合いがいい
・ネットとの適切な距離がとれる
・読書の習慣がある
・新聞を毎日読む

これは「性格破綻者」でない人の一つのモデル、です。

人生を安定させるために、一つも外せない要素でもあります。

これらの要素が、ギャンブルに深入りすることを妨げる、と考えられます。

保険会社にとって、得をするお客様を選定するのは、ますますこれから重要になってくるはずです。

ギャンブラーを定義するためには、何も何千人にインタビューすることだけが正しいやり方とは限りません。

心理学もこうした試みに寄与するでしょう、でも、人間とは何かを追求する経営学も、役に立つと思います。

野呂 一郎
清和大学教授


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