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うちのお雑煮

 こうしてタイトル画面を見ると、トレイは普段使いの花柄だし、おせちは適当だし、お雑煮もひたすら茶色っぽくて色味が悪いな、と思う(-_-;)
 まあ仕方がない、こういう写真しか撮らなかったし。

 さて、わが家のお雑煮はというと、多分、関東風なのだろうと思う。鶏肉でダシを取り、味付けはしょうゆベースだ。
 しかし、おそらく元々の関東風からは、相当改変されてしまっているのだろう。第一、うちでは、大晦日の蕎麦のつけ汁と、お雑煮のお汁とがまったく一緒だったのである。
 今年の私はかなり手を抜いたから、薬味は三つ葉とゆず皮がチラッとしかのっていないが、母がいた頃は三つ葉もゆずも、たっぷりと用意された。そのほか、年越し蕎麦には刻みねぎが加わり(これはお好みで)、お雑煮には紅白のナルト巻きや花の形の生麩など、いろどり豊かなものが添えられたが、基本的に味は変わらなかった。

 それにうちは、蕎麦・雑煮のお汁は、もっぱら父が作っていたのだ。ちなみに、父は北関東出身だ。
 別に、父が料理好きとか、特別なこだわりを持っていたというわけではない。ただ、私がまだ小学生の頃、母は病弱で何度も入退院をくり返していたが、そんなある年、たまたま父がお雑煮を作ってくれて、それがとても美味しかったので、いつしか、何とはなしに父がメインで作るようになったのだ。もちろん母が元気な時は、母一人で用意することもあったが、二人が歳をとってからは、年末年始は一緒に作ることが多くなった。

 鶏肉は、具としても食べるから、最初からたっぷり入れる。ブツブツと大きめに切り、鶏皮も一緒に入れるので、ぐつぐつ煮ると脂が浮いてくるが、それをアクと一緒にすくい取る。父は毎回、何となく嬉しげに、そのアク取り作業をやっていた。その他、椎茸とか、昆布とか、美味しいダシが出そうなものを沢山入れ、長ねぎも、薬味とは別に、斜め切りのものを入れて煮込んでいた。一体どんなものを入れればいいの?と聞いたら、「適当だよ〜」と笑っていた。

 母はルーツが東北の人だから、若い頃は、おひき菜の雑煮(細切りの大根・にんじんが沢山入ったもの)が好きだったようだ。母に、そちらを食べさせてもらったこともあるし、確かにそれはそれでとても美味だった。しかしやがて母は、自分が主担当の時も〈鶏肉ぐつぐつ〉のお雑煮を作るようになっていった。母が遠慮した、というよりは、やっぱり父の作る味が好きになったのだろう。一緒に具材を用意したり、餅を焼いたりしている様子は、本当に楽しそうだった。

 私も、今でも正月には、細かいルールを気にしないのが良いところの、わが家風雑煮を作っている。柔らかく煮えたホクホクの鶏肉を食べていると、味覚から新年の幸せを感じる。

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