見出し画像

浴衣ではしご酒と観光

浴衣での街歩き:地域活性化への新たな一歩
地域経済に波及する本来あるべき観光のあり方と、地域の活性化にはもっと深い結びつきが必要です。街の楽しさを感じ、暮らしを楽しむために必要なものは何でしょうか。

はしご酒:観光とまちづくりの交差点

これからの観光と街づくりの観点から見て、私が注目するのは「はしご酒」です。先日、鶴岡市内の銀座通りと昭和通りを巡り、観光の有識者視察のコンテンツとして、浴衣ではしご酒を提案し、実際に案内しました。

いつも、取材に来てくれた人や友人をはしご酒に案内するだけなので、こういう案内は初めての経験でした。

荘内神社を浴衣で参拝。

権禰宜の石原和香子さんが神社の歴史を教えてくれました。
出羽三山に向いた参道を下って、銀座通りへ向かう一行。
思っていたより大盛りでびっくり。味は、お茶屋さんだけあって、抹茶の味がしっかりしていて美味しい。1杯食べると、さっきまで吹き出していた汗がピタリと止まりました。

その後、尾川園で抹茶のかき氷やソフトクリームを召し上がって一休みしたあと、はしご酒のスタートです。

あまり予定調和なはしご酒は面白くないので、スタート地点だけ決めて、あとはお腹の具合や飲みたいもの、食べたいものに合わせてコースを組んでいきました。

この日、ゲストとしていらっしゃった北海道宝島社の菊池さんは、お魚を召し上がりたいということだったので、まずは、庄内ざっこ。鶴岡で魚といえば、ここです。

暑い日だったけど、直前にかき氷を食べたので、ぬる燗でオーダー。遊佐の吹浦産の岩牡蠣に合わせて、吹浦の風という日本酒を選んでいただきました。
今の時期に必ず召し上がっていただきたいのが岩牡蠣。今年は、貴重で値段が上がっているそうです。鳥海山のミネラル豊富な伏流水が流れ込む吹浦は、美味しい牡蠣の産地として知られています。
だだちゃ豆(白山)には少し早いので、早生の品種 小真木だだちゃ。お酒も進みます。
だだちゃ豆も1種類だけじゃないんです。
お刺し身のお造りなど、全体的にはしご酒仕様でポーションを少なめにしてもらっています。ざっこさんの魚は間違いないです。
寡黙そうな大将ですが、時折冗談で盛り上げてくれます。3兄弟とその奥様3人が裏で料理を準備しています。

滞在時間は、30〜40分程度。日本酒を1合ほどいただいて、お会計。

0軒目のかき氷が結構重たくて、割とお腹は満たされていたので、少し胃腸を温められる場所に行きます。

向かったのは、お茶漬け幸子。
詳しくは、こちらの記事がおすすめ。

以前、地元紙の記者に連れてきてもらってからのお気に入り。山菜料理や地元の在来野菜を使った漬物など、その時々の季節にあったお料理を出してくれます。まさに、庄内のおふくろの味。

ここでも、だだちゃ豆と沖田なすの漬物。なべやき(なすの煮込み)をいただきました。丸いナスは、かの松尾芭蕉が「珍らしや 山を いで羽の 初茄子(はつなすび)」と詠んだそう。
今の時期の旬は、南禅寺。京都にある南禅寺が名前の由来とのこと。北前船の交易で繋がっていた名残です。
ざぶとん(あつあげ)は、中に刻んだネギが入っています。
浴衣でリラックスする面々。

この日の〆は、Bar Chic。

季節のフルーツを使ったカクテルが人気です。
(葉巻とウイスキーを楽しみに1人で行くのも大人の楽しみ)

庄内で生まれたスタンダードカクテル「雪国」を味わっていただきながら、会話に花が咲きました。

スイカを使ったフローズン・ダイキリ

浴衣ではしご酒をすると、一緒に行く人との一体感が生まれたり、非日常を味わうことができたり、心が軽くオープンになれるような気がしたり、とにかく楽しいです。

ぜひ、皆様も、浴衣ではしご酒してみてください。

今回は、着物の小いけさんに全面的にご協力いただき、レンタルと着付けをしていただきました。浴衣がないよという方は、おすすめです。

はしご酒:市民と地域の飲食店をつなぐ新たな動き

私は、数年前からチケット制で5軒はしごができるイベント「ツルバル」を企画、主催してきました。鶴岡市が主導する食文化の取り組みではなく、市民主導で地域に住んでいる人々が、その地域の食文化を等身大で楽しみ、地域の飲食店の魅力を再発見することで、商店街を活気づけることを目的に開催しています。
初回は400人が参加し、コロナ禍中だった去年は、200人に定員を絞って実施しました。参加者からの評判は上々で、前回からリピートしていただいている方も結構いらっしゃいます。

はしご酒の限界と新たな可能性

しかし、このイベントは、2年に1回しか開催できていないので、飲食店や商店街の経済的な循環を促進することは難しいと感じていました。そこで、新たな観光形態としてアドベンチャートラベルに目を向けました。

 「アドベンチャートラベル(AT)」とは、一般的に『アクティビティ』『自然』『異文化体験』の3つの要素のうち、2つ以上を組み合わせた旅行形態と定義されます。さらに、ATを推進する世界最大の組織であるアドベンチャートラベル・トレード・アソシエーション(ATTA) は、『今までにないユニークな体験』『自己変革』『健康であること』『挑戦』『ローインパクト』といった5つの体験価値を提唱しており、より本質的な理解としては、アクティビティを通じて自然体験や異文化体験を行い、地域の人々と双方向で触れ合い楽しみながら、その土地の自然と文化をより深く知ることで自分の内面が変わっていくような旅行形態を指します。サステナビリティや旅行を通じた地域貢献を重要視する層からも支持されており、主にヨーロッパや北米、オーストラリアを中心とした富裕層に人気が高まっています。

https://www.pref.hokkaido.lg.jp/kz/kkd/133558.html

アドベンチャートラベル:新たな観光の視点

アドベンチャートラベルは、観光が単なる見るだけの体験から、より深く、より対話的な体験へと進化する可能性を秘めています。私たちの地域、鶴岡は、深い歴史や文化を有する一方で、一見しただけでは魅力がわかりにくい地域だと感じています。アドベンチャートラベルを志向する人々は、その土地の魅力を深掘りして楽しむ知的好奇心の高い方が多く、私達の地域の価値をより深く伝えられる可能性があります。

アドベンチャートラベルとはしご酒の交差

最近、アドベンチャートラベルのガイドで、食にも造詣の深い康平さんと、ガストロノミーツーリズムとアドベンチャートラベルの関係について話をしました。その中で、アドベンチャートラベラーにローカルガストロノミー文脈のコンテンツを提供することで、面白がってもらえるし、庄内で唯一のものになるのではないかと感じました。

今回のはしご酒は、そのアドベンチャートラベルのコンテンツ造成のための有識者視察で、北海道宝島旅行社の菊池さんの反応を見ていても、非常に大きな可能性があると革新しました。

浴衣ではしご酒の二重の価値:コミュニティイベントと観光資源

一方で、地域向けのイベントとしてのはしご酒と観光が結びつかないかというとそうではありません。浴衣ではしご酒は、2年に1度のイベントだけというのは勿体ないと思います。

より日常の中に、そうした楽しみを落とし込んでいくことで、その景色が観光資源にもなる潜在能力も持っています。住んでいる人が楽しむことで、訪れる人々も楽しい街になるんだと思います。

文化的遺産と観光資源:浴衣ではしご酒の未来

今は、そうした人を見かける機会が少ないのですが、まずは、草の根的に、浴衣ではしご酒を行い、楽しむ人が増えて、それから数年が経てば、それは文化として定着し、この地域にとってより魅力的な観光資源になることでしょう。

ということで、来月、友人たちと浴衣ではしご酒をやってみます!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?