「私の明細告白」〜社会保険料考。

25日が給料日だった方も多いのでは無いでしょうか。

本記事では私、40歳会社員、男性、独身。の給与明細の内容を見ながら社会保険料について考えます。


私の明細告白

下記、表にしています。

私の社会保険料の負担率

今回は社会保険料の負担率を考えていきますので、ここから少しシンプルにします。

支給の方は、総支給額から非課税通勤費を引いて296,160円、これを額面給与額としておきます。

控除の方は、社会保険料をひとまとめにして、不要な行を除きます。
ちなみに、還付金というのは年末調整で戻ってきたお金ですね。今回はこれものぞいて考えます。

簡略化した給与明細です、こちらをもとに考えます。

社会保険料が47,525円引かれています。これは額面金額に対して約16.0%になります。対して所得税6,500円は約2.1%、住民税20,000円は約6.7%です。

税金よりも断然、社会保険料の負担が大きいことがわかります。

仕訳で流れを見てみましょう

ここから、仕訳を用いて、給与の発生から控除された額のその後の流れを見てみます。
仕訳とは、会社の全ての取引を複式簿記によって帳簿に記録していく作業です。
内容は説明しますので、

「なんか左と右に分けると、いい感じに帳簿がつけれるよー。知らんけど。」

くらいの理解で構いません。

1/25、会社が従業員に給与を支給した際の仕訳例です。実際は支給した従業員全員分の合算した額で仕分けを行いますが、一人分の仕訳を例に見ていきます。

左側(借方:かりかた)は、
「給与296,140円の費用(いわゆる人件費)が発生したよー。」
という意味です。

右側(貸方:かしかた)は、
預金:「従業員に給与から控除分を差し引いた金額を振り込んだので、会社の預金残高が減ったよ。」
預り金:「給与から、これから国や自治体に収めるためにこの金額を預かったよ。」

という意味です。控除額というのは、会社が一旦預かって、その後国や自治体に収める金額なのです。

続いて2/13、会社が所得税と住民税を納めました。所得税と住民税※は、給与が発生した翌月の10日(土日祝の場合は翌営業日)に納付します。

(※特別徴収住民税の場合。普通徴収の場合は6月末、8月末、10月末、翌年1月末の納付。)

左側「預かっていた分の所得税を税務署に、住民税を都道府県税事務所にを納めたので・・・」
右側「・・・預金残高が減ったよ」

という意味の仕訳です。

会社負担分、とは?

さらに2/29、社会保険料を納めました。ここが今回のポイントです。

左側「預かっていた社会保険料と、法定福利費を年金事務所に納めたので・・・」
右側「・・・預金残高が減ったよ」

給与明細にない、法定福利費という言葉が出てきました。

社会保険料は労使折半。つまり従業員と会社で(だいたい※)半分づつ負担します。その、会社負担分の社会保険料が法定福利費です。
(※厳密には法定福利費には決められた計算方法があるので、従業員負担部分とキッチリ同額にはならないのですが、ややこしいので同額で考えます。)

ちなみに雇用保険料は納付の日程が異なるため、例に挙げるのは省略しますが、同様に法定福利費=会社負担分が発生します。

労使折半と言うけれど

さて、「労使折半」と聞いてどう感じますでしょうか。
「会社が半分もってくれてラッキー。」
と感じるかもしれません。

でもよく考えると。

従業員の給料も税金も、従業員負担分の社会保険料も、会社負担分の社会保険料も、元をたどれば会社のお金から支払われています。従業員一人に対して会社が負担しているコストであることには変わりがないのです。

先ほど私の給料明細から、負担している社会保険料は額面金額に対して約16.0%とありました。

従業員一人に対して会社が負担しているコストであることに変わりはない、とういう観点で、試しに法定福利費分も給与明細に加算してみましょう。
労使折半という建前ではなく、従業員の一人であるあなたの人件費はいくらで、こうした額の社会保険料や税金を負担しているのですよ、ということがわかる明細です。

手取りは変わっていないことに注目してください。
社会保険料は倍額、額面金額も大きくなりました。

そして額面金額に対する社会保険料の割合は約27.6%にもなります。手取りで22万2千円で生活している私は、9万5千円の社会保険料を負担しています。

まず一つ、金額の大きさに対して思うことがあります。
もし負担がもっと軽ければ、何に使うでしょう。

切実に生活費に充てることもあるでしょう。逆にそれで必要な分を稼げるのなら、仕事を調整して家族と過ごす時間を増やしたいという方もいるかもしれません。旅行や食事、贅沢に使うのも良いでしょう。誰かの消費は誰かの売上です。

例えば、政府は企業に対して賃上げを呼びかけ、賃上げを行う企業への税控除等を打ち出していますが、従業員一人に対してこれだけの負担が発生することを考えると、社会保険制度を見直すことの方が賃上げには効果的なのではないか、と疑問も湧きます。

二つ、やり方が嫌な感じです。いわば現状の給与明細でわかる金額は見せかけの負担額じゃないですか、記載がない金額って裏金ですか。なんでこんなルールなんでしょうか、調べてみます。

如何でしょうか、今回は私の給与明細をサンプルとして社会保険料の負担率を見ていきました。

次回選挙がある際には、候補者が社会保険制度にどのような考えをもっているかに注目したいと思います。

読んで下さって有難うございました。



厚労省HPより https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_21509.html


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