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コールセンターはマネージャー次第で天国にでも地獄にでもなる

「コールセンターの主役はオペレーターさんです」
なんていうことを言うコールセンターの上層部は多い。
本当にそう思っているか。
これはYesであってNo。NoであってYes。
そう思っている人もいるが、実は思っていない人も多い。

模範解答
「コールセンターの主役はお客様」

そう、それが答えだ(BGM:ウルフルズ「それが答えだ」)
オペレーターっていうのは、その客が「電話してよかったな」と思えるような応対をする人のこと。だからオペレーターっていうよりも
”エージェント”だと思う。
しかし、コールセンター、特にアウトソーシングを生業としているコールセンターでは電話応対をする人たちを「オペレーター」という一括りで見ているマネジメントスタッフの多いことか。

オペレーターっていうのはものすごくかんたんにいうと「操作をする人」。だからたとえば通販の受付なら、注文を受け付ける(起票やデータ入力)人のこととなる。いたって簡単な仕事だ。とにかく注文を受ければいい。そのためのトレーニングしかしない。トレーニングがあればまだいいが、多くは、会社の考えだとか、コールセンターで働く心構えだとか、そういうことはなくて、簡単な商品説明の資料を読ませ、トークスプリクトを渡しておしまい。そのくせ応答率だの、受注率だの、なんだのって数字に目くじらを立てている。目標数字に到達しないと、オペレーターのせいにする。オペレーターの管理ができていないとSVを責める。「何やってんだ、どうなっているんだ!」この二言で妻子が養えるのだ、コールセンターのマネージャーっていうのは。

売上に直結するようなことを考えるのは「マネジメントチーム」がやること。やり方を統一してオペレーターにやってもらう。その中でできる人できない人が出てきたら、そこを分析して同じレベルへ引き上げるようにしていく。さらにその中で、正しい敬語や、ホスピタリティを学び、オペレーターを成長させていく。これが企業が求めている本物のアウトソーシングコールセンターの姿。

ところがところが。
とにかくトークスクリプトどおりに読め、だけをオペレーターへひたすら言い続けるようなコールセンターがあるのもまた事実。確かにトークスクリプトは製品を売りたい企業が考えた台本だから、それどおりに読むことが大事。これは大前提だけど、それだけではどうしようもない。というか、そんなものは入社面接のときに「必ずスクリプトどおりに読むことが求められる」と伝え、了承した人だけを入社させ、実際に受電を始めるまでのトレーニング期間でしっかりと「スクリプトどおり」を徹底させる。だから実際に受電をするときには、「スクリプトどおり」に目くじらを立てる必要がない。だってそれがあたりまえになっているから。そうではなく、
今度はその上で、どれだけ客が納得のできる話し方や聴き方ができるかが重要になってくる。モニタリングはそのためにあるのだ。

しかしどこのコールセンターも万年人手不足のため、出勤日数と時間と曜日で採用をしてしまう。一般常識なくても、漢字読めなくても書けなくてもスクリプトがあるから、と簡単に採用をしてしまう。デビューまでのトレーニングもスクリプト遵守はうやむや。結局入社して何年も経過している「ベテラン」オペレーターも、未だスクリプトどおりに読まない、読めない。そんなのがごろごろいるのだ。
私の本職は「ホスピタリティ」だ。この研修ではタクシー業界や介護業界で研修を行っているし、今の会社もメインはもともとはこれだった。しかしマネジメントをする人が変わったら、「トークスクリプトどおりに読んでいるか否か」をチェックするのが仕事になってしまった。
これはもはや”モニタリング”なんかではない。ベルトコンベアから流れてくる商品の欠陥を見つけ補修する。何度もテストをして大丈夫なら合格を出す。検品係のような仕事だ。

これで本当に数字がよくなると思っているのか。よくなったとして、オペレーターはついてくるのか。スクリプト無視して自由に応対していいよ、と言っているのではない。スクリプトどおりに読むことさえできていれば、棒読みでもなんでもよいというのは、一体客をどう思っているのか。これは消費者ではなく、クライアントの顔色を窺っているだけなのだ。

コールセンターのマネジメントは面白い!と豪語している人を知っているが、オペレーターさんの名前クイズを出したら、きっと一問も答えられないだろう。大雨の日に前もって近くのまいバスケットで大量のサンドイッチを買い占めして「雨の日ありがとうございます。ご自由にお食べください」という張り紙をするのではなく、出社しているオペレーターへ直接「大雨の中ありがとう!」とお礼の一つでも言うべきかと、私は思う。(だいたい朝の11時ごろにまいバスケットのサンドイッチを買い占めたら迷惑だろう)

コールセンターのオペレーターの仕事はAIに変わってしまう、なんて言われているが、いや、マネジメントの方が機械でできるような気がする。

精神論だけで突き進まれても困るけど、数字だけで人の心に無頓着なのにも困る。バランス感覚を身につけた人がマネジメントを行う資格があると思う。



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