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当たり前だと思い込んでいた現実に溺れた。

可愛くて、一緒にいて他愛のない話をして笑いあって、
こんな毎日が続いていくのだろう。

彼女は僕のことを好きだと言ってくれる。
僕も彼女のことが好きだとしっかり言葉にして返す。

好きだと言ってもらえるだけで、
安心感と嬉しさ、少しニヤついてしまうほどに
心は喜び、体は反応してしまう。

多くの人から愛情がほしいわけでもない。

ただ、僕のことを好きだと言ってくれる彼女がとても愛おしく感じる。

言葉にしたら恥ずかしいから中々口からは出ないけど
心の中では何度そう思っているか。

むこうはこちらから言ってないから
僕がこんなことを考えてるなんて思っていないんだろうな。

いや、もしかしたら一緒に過ごしているうちに
実はわかっているけど言ったら面白くないからって
遊ばれているのかな。

まぁ、そんなことは別にどうだっていいね。

ただただ、一緒に過ごす毎日が楽しすぎるんだ。
自分一人で好きなことをする楽しさとは別なんだ。

同じ楽しいなんだけど、言葉にすると難しいな。

言葉にできないほどなんだ。

これが幸せなのかな?
って思ってしまう。

一緒に写真を撮って。
一緒にご飯を食べて。
時には料理が得意なわけでもないのに僕の為に作ってくれて。
すごくうれしかったな。

そうそう。
風邪をひいたときなんて
わざわざおかゆを作って家まで持ってきてくれたんだ。

めちゃくちゃ驚いたけど
すごくうれしかったな。
若干泣きそうになったのは秘密だ。
こんなことを言ったらまたネタにされてしまう。

あぁ、話が飛んでしまったなぁ。

ご飯も食べたし、
そうそう。色んなところにも一緒に出かけたなぁ。

初めてのデートは買い物だった。
都会にある大きなショッピングモールでさ、
たくさんの服屋さんに連れていかれたな。

僕はファッションには興味がなかったから
服とかには疎かったんだぁ。

反対に彼女はファッションが大好きで
将来も「ファッションデザイナーになる!」
なんて言っていたほどだったんだ。

そんな彼女に連れまわされて
色んな服とズボンを着せられて
俗にいう着せ替え人形状態というやつだね。

僕は正直自分に似合うとかわからなかったけど
服を真剣に選びながら、決まったら「はい!次これ着て!」
って言ってる彼女の顔はすごく楽しそうだったから
まぁ、いっかってなってたね。

僕の着せ替えが終わったら、次は彼女のターン。
キレイ系な服と可愛い系の両方を着こなしているから
なんだろう。このギャップにやられたんだ。

しかも、「似合う?」「どっちのほうが好き?」
なんて聞いてきたときは死ぬかと思ったね。
可愛い。ありがとう。

そんなわちゃわちゃした初デートだった。

時間が経つごとに、一緒に行きたいねって言える場所が
どんどんと増えていったんだ。

京都で着物着たい。
神戸で南京町に行きたい。
東京に行きたい。
ディズニーランドに行きたい。

溢れすぎていて、行きたい場所多くて
困っちゃうねって一緒に隣り合って笑っていた。

そんな平和に1年、2年と月日が経っても
特に変わらず一緒に過ごしてきた。

時間が経っても幸せだって思っていたし
言葉にしても言っていた。

そう。幸せ。

幸せだったんだ。

なのに、なんでかな。
なんでこうなったんだろう。

お互いやりたいことがあるだけで
なんでこうも以前のようにならないんだ。

僕は、彼女との将来を見据えて貯金をしながら、勉強に励んだ。学生時代の僕が知ったら驚くだろなぁ。「何があったの!?!?」って。

そんな勉強するくらいならゲームをするって言っていた僕がここまで変化したのも彼女のおかけだ。勉強して、もっと稼げる男になって、いつか家族になれる日を思って、そのときの為の準備を今から始めておこう。そう思ったんだ。

1つの目標が決まって、日々少しでも、少しでもと思いながら前に進む為に学び続けた。

僕達、2人のこれから先への為に。

ゲーム、漫画すら触らなくなって、自身のスキルを高めようと必死になっていた。

周りがみえなくなるほどに没頭していた。
周りの友人との遊びも断り。

彼女とのデートを断ってしまうほどに。

そんな時だった。

彼女に言われたんだ。

「誘っても全然相手をしてくれないじゃん」

「都合のいい女みたいになってる」

「そんなに今やっていることが大事ならもう別れようか」

今まで、自分から人に対して怒ったりしたことなかったのに、初めて彼女に突っかかってしまった。

「これから先の為に、お金をもっと稼ぐために、必死になって今頑張ってるんじゃないか!」

彼女と言い争いになり、結局彼女は最後まで僕のことを理解してくれなかった。

最後にLINEでも「別れよう」と言われてからは返信も帰ってこなかった。

全てにやる気が失ってしまった。
何のための努力だったんだ。
僕が間違っていたの?

あぁ、もういいや。
どうでもいいや。
もう終わったんだ。

あぁ、ほんとに別れる瞬間って一瞬だ。

今までの思い出が全て泡のようにプチプチと消えていく。

もう何も考えられない。

彼女を失って、目標も失って、努力も無駄になって、ヤル気も失った。

ほんとに呆気ない。

終わりなんて一瞬だ。

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