寂しさが波のように押し寄せる夜

「孤独は死に至る病だ」と言ったのは、どこの誰だっただろうか。
私は江國香織の「ウエハースの椅子」で、その言葉を知った気がする。
とにかく、また言葉をこうして吐き出さないとバランスの取れない夜が来たのだ。

私は大人になったと言うのに、何でどうしてまだこんななのだろう。泣きたくなるし、実際少しだけ泣いても別にどうにもならない。

こんな風になった夜には、私には一個しか処方箋が無いのだ。
パンドラの箱の蓋を開けるように、もう何年(もしくは何ヵ月かもしれないけど)も聞いてなかった曲を再生する。
耳に差したイヤホンから、十四年前に出会ったであろう懐かしい曲が流れ出した。

音楽は、変わらずそこに在った。今でも。

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