見出し画像

ずっと必要のない作業をしていた ~特定技能外国人の随時変更届出について~

特定技能外国人を受け入れている企業は、契約内容に変更になった際、出入国在留管理局(以下、入管)への届出義務があります。

昨年8月31日の「特定技能外国人受け入れに関する運用要領」の一部改正よって、昇給時には届出を行なう必要がなくなったのですが、それまでは定期昇給でも変更届を出さなくてはならず「面倒だなぁ」と思っていました。

その点に関しては、先の改正により解消されたのですが、もうひとつ面倒だなと思っていた届出があります。それは「契約期間の変更(総期間は同じで時期だけがズレる場合)」。特定技能外国人と契約を結ぶ際、在留許可が降りる時期を見越して契約を結ぶため、うちの会社の場合、実際の就労開始時期は後ズレすることがほとんどでした。

私はこれを毎回「面倒だなぁ」と思いながら変更の届出を出していたのですが、今回届出に当たり運用要領を読み返していたら、そもそも必要ありませんでした。もうひとつおまけに「勤務時間帯」をひとつ書き漏らしていたのでそちらも届け出ようと思ったら、そちらも届出の必要なし。そりゃそうだよなぁ。契約期間絶対ズレるもんなぁ。

というわけで、以下は運用要領の変更届出の必要有無に関する部分だけの抜粋です(不要な部分を太字にしてあります)。正確には運用要領の99~104ページをご確認ください。運用要領には「別表に掲げる変更事項及び特記事項は、あくまでも具体例であり、届出の対象となる変更事項は別表に記載されているものに限られません。」と注意書きがありますので、届出が必要かどうか迷う場合には、入管に問い合わせてみることをおすすめします。

項番Ⅰ 変更事項:雇用契約期間 

【添付書類】
・雇用条件書の写し(参考様式 第1-6号)
【特記事項】
①当初の契約よりも期間を短くする場合に届出が必要(来日予定日を延期した、雇用開始予定日以降に在留資格変更許可がなされたなど、当初予定していた雇用開始日が変更することとなった場合であっても、雇用契約期間に変更が生じていない場合は、届出は不要
②「2.契約の更新の有無」について、「契約の更新はしない」又は「更新する場合があり得る」から「自動的に更新する」に変更となる場合以外の変更については、届出が必要
③「2.契約の更新の有無」が、「更新する場合があり得る」であって、更新の判断基準を変更する場合は、届出が必要

項番Ⅱ 変更事項:就業の場所

【添付書類】
<共通>
・雇用条件書の写し(参考様式 第1-6号)

<右記②の場合>
・本要領別冊(分野別)を参照<右記③の場合>
・派遣計画書(参考様式第1-12号)
・就業条件明示書の写し(参考様式第1-13号)
・派遣先の概要書(参考様式第1-14又は1-15号)
・労働者派遣契約書
・派遣先に係る労働・社会保険及び租税の法令を遵守していることを証明する資料
*第5章第2節第1(12)の【確認対象の書類】を参照・派遣先に係る運用要領別冊(分野別)に定める確認対象の書類

【特記事項】
①就業場所(事業所)を変更する場合には届出が必要(連絡先のみの変更を除く。)

具体例として、
・従前勤務していた事業所から他の事業所へ転勤した場合
・当初の雇用条件書に記載していない他の事業所において掛け持ちで勤務することになった場合などがあげられる
②運用要領別冊(分野別)において就業場所(事業所)について確認対象の書類が定められている場合の届出に当たっては当該書類の提出が必要(対象分野は、介護、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業、ビルクリーニング、宿泊、外食業)。
③労働者派遣の場合であって、在留諸申請の際に提出した派遣計画書に記載していない派遣先若しくは就労(作業)場所で就労することとなる場合又は新たな派遣先若しくは就労(作業)場所を追加する場合には届出が必要
④雇用形態を「派遣雇用」から「直接雇用」に変更した場合には届出が必要
⑤雇用形態を「直接雇用」から「派遣雇用」に変更した場合には届出が必要(なお、「直接雇用」から「派遣雇用」に変更する場合には、派遣開始の概ね2か月前にあらかじめ雇用契約を締結し、届出が必要)

項番Ⅲ 変更事項:従事すべき業務の内容


【添付書類】
<共通>
・雇用条件書の写し(参考様式 第1-6号)
・特定技能外国人の指定書
<右記②の場合>
・特定技能外国人が従事しようとする業務に必要な技能水準を有することを証明する資料
【特記事項】
①複数分野の指定を受けている特定技能外国人で、分野の主従関係を変更する場合は、届出が必要
(注意)新たな分野の指定を受けるためには、在留資格変更許可申請が必要 ②同一分野内で従事する業務区分を変更する場合には届出が必要
(注意)従事する業務が属する特定産業分野を変更する場合は在留資格変更許可申請が必要
③分野別運用要領に定める「特定技能外国人が従事する業務」に従事しないこととなった場合に届出が必要

項番Ⅳ 変更事項:労働時間等

【添付書類】
<共通>
・雇用条件書の写し(参考様式 第1-6号)
<右記①②の場合>
・労働基準監督署へ届け出た変形労働時間制に関する協定書の写し(1年単位の変形労働時間の場合)
<右記③の場合>
・フルタイムではないことの理由書

【特記事項】
①変形労働時間制を採用又は廃止した場合は届出が必要
②「3.所定労働時間数」又は「4.所定労働日数」を変更する場合は届出が必要
③所定労働がフルタイム(労働日数が週5日以上かつ年間217日以上であって、かつ、週労働が30時間以上)ではなくなった場合に届出が必要(始業時間及び終業時間がそれぞれ変更になった場合でも、所定労働時間等に変更が生じていないのであれば、届出は不要

項番Ⅴ  変更事項:休日

【添付書類】
・雇用条件書の写し(参考様式 第1-6号)
【特記事項】
・年間合計休日日数を当初の契約より少なくする場合には届出が必要(平年かうるう年かによる変更、暦上の日と曜日の対応関係が毎年変わることによる年末年始休暇日数の変更又は法令による祝日の変更に伴う年間合計休日日数の減少は届出不要
項番Ⅵ  変更事項:休暇

【添付書類】
・雇用条件書の写し(参考様式 第1-6号)
【特記事項】
①当初の契約より休暇日数を減らす場合には届出が必要(休暇日数を増やす場合には届出は不要)
②「1.年次有給休暇」の「継続勤務6か月未満の年次有給休暇」又は有給・無給にかかわらず「2.その他の休暇」のいずれかの休暇を廃止する場合は届出が必要

項番Ⅶ  変更事項:賃金

【添付書類】
・雇用条件書の写し(参考様式 第1-6号)・特定技能外国人の報酬に関 する説明書(参考様式第1-4号)等(当初の在留諸申請の際に特定技能外国人の報酬を決定する上で比較対象とした日本人労働者等に変更があった ことにより、新たな比較対象とした日本人の報酬額に従って特定技能外国人の報酬額を変更した場合)

【特記事項】
・以下の場合には届出が必要
①「1.基本賃金」を減額する場合
②「1.基本賃金」の支給方法を変更する場合(月給制→日給制、時間給制→月給制等)
③「2.諸手当」に記載されている手当について、廃止をする場合
④「賃金の支払(参考様式第1-6号別紙)」に関し、諸手当の額を減額する場合
⑤「3.所定時間外、休日又は深夜労働に対して支払われる割増賃金率」を減らす場合
⑥固定残業代制度の導入又は廃止をする場合
⑦「6.賃金支払方法」を「口座振込」から「通貨払」に変更する場合
⑧「7.労使協定に基づく賃金支払時の控除」について、「無」を「有」に変更する又は「有」を「無」に変更する場合
⑨「賃金の支払(参考様式第1-6号別紙)」に関し、賃金支払時に控除する項目を増やす場合(単に控除項目や控除額が減少した場合は届出不要であるが、控除を廃止した結果、特定技能外国人の実費負担が増加(又は新たに発生)した場合は、届出が必要)
⑩「8.昇給」「9.賞与」「10.退職金」について、「有」から「無」に変更する場合(支給時期のみを変更する場合は届出不要)(会社の業績不振等を理由に賞与の支給がなくなった場合において、当初の契約で支給額が定められていたときは、変更が生じたものとして届出が必要)
⑪「8.昇給」について、「有」を「無」にする場合
⑫「9.賞与」「10.退職金」を減額する場合
⑬「11.休業手当」について、「有」から「無」に減らす場合及び支給率を減らす場合

項番Ⅷ  変更事項:退職に関する事項

【添付書類】
・雇用条件書の写し(参考様式 第1-6号)

【特記事項】
いずれの場合も届出が必要

項番Ⅸ  変更事項:その他(社会保険の加入 状況・労働保険の適用状況、健康診断、帰国担保措置)


【添付書類】
<共通>
・雇用条件書の写し(参考様式 第1-6号)
<右記③の場合>
・特定技能所属機関の労働保険関係成立届の写し、労働保険の概算保険料申告書の写し又は労働保険料等納付証明書(未納なし証明)など
【特記事項】
①健康保険・厚生年金保険の適用事業所となった場合に届出が必要
②健康保険・厚生年金保険の適用事業所とならなくなった場合に届出が必要 ③労働保険の適用事業所となった場合に届出が必要
④「3.初回の定期健康診断」の「(その後ごとに実施)」について、1年を超える期間を指定した場合に届出が必要

とここまで書いてその下に書いてあった留意事項にびっくり。

【確認対象の書類】
・特定技能雇用契約の変更に係る届出書(参考様式第3-1―1号)
【留意事項】
〇届出に当たっては変更後の内容が基準に適合していることを十分に確認してください。
届出書に添付する雇用条件書(参考様式第1-6号)は、変更部分のみ記載してください。また、特定技能外国人が十分に理解できる言語で記載されており、かつ特定技能外国人が内容を理解した上で署名がなされていることが必要です(この条件が満たされていれば、雇用条件書に代わる任意の書式でも差し支えありません。)。

変更の場合の雇用条件書、変更部分のみ記載しなきゃいけないんですね。これまで全部記載してました。今回、何となく見返してみて良かったです。


参考:特定技能外国人受け入れに関する運用要領(2024年2月1日現在)



この記事が参加している募集

仕事について話そう

サポートいただきましたお金は、サブ3の達成や伴走活動、マラソン・トレイル大会遠征費用等に使わせていただきます!