問合せ経緯
2023年2月に愛媛県が新たに有害図書指定を行いましたが、その中の『イヤだけど挿れられたい! NTRセックスにおちていく美人人妻たち』は成年コミックマーク付き図書……要は最初からR18の自主規制を行っていた作品でした(単著のR18本が有害図書指定を受けるのは珍しいことらしい)。
たまに「最初からR18にしておけば有害/不健全図書指定されない」という意見を見かけますが、これはよくある誤解です。
説明すると長くなるので省きますが、R18で自主規制しているからといって有害/不健全図書指定の対象から外されるわけではありません。「できない」のではなく「基本的にしない」のであって、むしろ包括指定制度のある自治体だとR18本は殆ど有害図書扱いされるでしょう。
とはいえ有害図書指定の目的(適切なゾーニング)を鑑みれば、最初から青少年が購入できないように自主規制している本をあえて有害図書指定する意義は皆無と言っていいでしょう。せっかく出版社がR18で自主規制しているのに、その努力も報われません。なので何故あえてR18本を有害図書指定したのか、愛媛県に質問することにしました。
問合せ内容
まず反省なのですが、今回は問合せ時の文章を保存し損ねました。
問合せ先の「保健福祉部男女参画・子育て支援課」にはメールアドレスが設定されていなかったため問合せフォームを利用したのですが、「返信内容に問合せ内容が含まれているだろう」と高を括ったためです。なので、自分の記憶を頼りに問合せ内容を記載させて頂きます。
返信内容
整理
愛媛県報によれば、同作品は愛媛県青少年保護条例第5条第2項の規定に基づき、有害図書指定を受けました。
しかし返信内容には愛媛県青少年保護条例第5条第4項と取扱業者という言葉が出てきました。どういうことなのか情報を整理してみます。まずは条文から第5条の箇所だけ抜粋。
愛媛県青少年保護条例第5条第2項は個別指定で、第5条第4項は包括指定のことを指すようです。つまり愛媛県は、『イヤだけど挿れられたい! NTRセックスにおちていく美人人妻たち』が既に包括指定で有害図書扱いを受けていると認識した上で、改めて個別指定を行ったということになります。
元々は「R18本を有害図書指定(個別指定)した理由」を聞くつもりだったのですが、そもそも当該作品は包括指定を受けていたんですね……
愛媛県青少年保護条例によれば、返信にあったこの「取扱業者」とは図書類取扱業者、すなわち「図書類等の販売若しくは貸付けを業とする者又は業として当該図書類等を見せ、読ませ、若しくは聞かせる施設を経営する者」を指すと思われます(書店やレンタル業者、漫画喫茶など)。
ここまでの話を総合すると愛媛県は、包括指定に基づいて有害図書扱いとなった図書類が適切にゾーニングされるよう、書店などの取扱業者に対して注意喚起する目的で例示的に個別指定を行った……ということになるのではないでしょうか?(どういうこと?)
……仮に適切なゾーニングができていなかった取扱業者があったとして、それはその取扱業者の落ち度であり出版社や作家の責任ではありません。その場で愛媛県の職員がその書店に対して指導を行えば済む話です。吊るし上げのようなことをする必要があるとは思えません。
これでは一体何のために出版社側がR18の自主規制をしたのか……という話になってきますし、"全年齢の過激な表現を有害図書指定を通してゾーニングさせることで青少年の健全育成を促進を図る"という当初の目的からは逸れているようにも感じます。
てっきりR18の自主規制をしていると気付かずに個別指定をしてしまったのかなと予想していましたが、全然違ったようです。知りたかったことは知れました。内容に納得のいかない部分はありますが追加で質問するかと言われると悩みますね……
※本投稿内で私の認識に誤り、勘違い等ありましたらお手数ですがご指摘頂けますと幸いです。