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限界旅行の巻(国内編最終回)

おことわり

個人の価値観に基づいて執筆したものです。
本文には多少過激な表現が含まれていますが、何卒ご理解いたたきますよう、よろしくお願いいたします。


まえがき

ブルートレインが全廃されてからは、旅に出ることは滅多になくなった。
今回はVRChatを通じて得られた良き繋がりをきっかけに、久々に長旅を計画、実行したのである。


2023年1月3日(火):平塚→名古屋→富山

午前8時頃、平塚を出発。
天候は晴れ。

東海道本線下り普通//平塚8:36→小田原8:56
特に新しい発見はなかった。実写系TSの課題点を再認識したことぐらいか。
音楽でも聴きながら小田原へ向かう。

東海道新幹線下り新幹線特急こだま709号//小田原9:05→浜松10:19
静岡付近で飽きてしまったので、またイヤホンを付ける。
こだまはあまりにも遅いので、このまま離陸してしまえばいいのにと思い始めた辺りで浜松に到着。

東海道本線下り普通//浜松10:25→豊橋10:58
乗車率150%程度の211系ロングシート3両編成である。
廃線になればいい。二度と乗ることはないだろう。

名鉄名古屋本線特急(2200系)//豊橋11:15→名鉄名古屋12:08
名鉄特急の特別車で人権を得た。
金山付近で通勤形電車と並走しながら、名古屋駅地下ホームに入る。
名古屋駅到着前の乗換アナウンスが金沢方面の高速バスから始まっている点、名古屋味を感じた。

並走しておりました。

ここで知人と合流。
本日のメインターゲットはキハ85系である。

高山本線下り1031D特急ひだ11号富山行(キハ85系)//名古屋12:48→美濃太田13:28
車内からは国鉄のにおいがムンムン。鉄道車両はこうでなければ。

列車は勇ましいエンジン音を唸らせながら東海道本線を120km/h、高山本線を110km/hの速度で驀進していく。
高山本線に入線し川沿い区間に差し掛かると、右手の道路には廃墟が数件立ち並ぶ。

いったん美濃太田で降車し、設備を観察。

隣には長良川鉄道の軽快気動車が止まっている。安っぽい車両だ。北海道なんかに渡ったら身が持たないだろう。

高山本線下り普通飛騨古川行//美濃太田13:55→白川口14:27
キハ25のロングシート車を引いた。仕方が無いので、前面展望でも観ながら移動。
ほとんどの駅が一線スルー構造となっている。

高山本線上り30D特急ひだ10号名古屋行//白川口14:54→美濃太田15:17
こちら事前調査ではHC85系運用のスジだったが、実際にはキハ85系運用となっていた。
乗り心地などを比べるために旅程に入れただけあって残念な気持ちは払拭できなかったが、HC85はこれからも乗れるのでよしとする。

白川口駅はホーム有効長が短く、増結分が収まらないのでドアカットを行う。

高山本線下り1033D特急ひだ13号富山行(キハ85系)//美濃太田15:30→富山18:54
こちらは予定どおりキハ85系運用。
自由席がそこそこ混雑していたため、通路側の縦2列に着席。

国鉄のにおいがムンムンする中距離高速気動車特急、首都圏ではまず乗ることがないのでこの感覚はかなり久々のものである。
個人的には客車列車派ではあるが。

ほとんどの乗客は高山で降車した。
高山以北はあまりスピードを出さず。

富山到着後は地鉄市内線の吊り掛け電車に乗車し、南富山へ。

南富山にて乗ってきた電車が折り返す際、発条転てつ機が正位に戻っておらず、係員が棒状の道具を使いトングレールを動かし、手動でポイント転換を行うイベントが発生。
その後暫く観察したが、次からは正常に動いていた。発生頻度と原因が気になるところ。

転換不良を起こした発条転てつ機。連動装置やカンテラなどは付いていない模様。

鉄道線の踏切遮断桿などを観察し、魚津へ。

魚津泊


2023年1月4日(水):富山地方鉄道など

天候は雪。

魚津駅は不便である。周辺の過疎化もかなり進んでいるのではなかろうか。
電鉄側はほぼ更地。旧北陸本線側もコンビニまで100m程歩かなければならない。
両方を結ぶ地下通路を渡るには、いったん駅舎を出る必要がある。
二度と来ることはないだろう。
電鉄を1本逃したので、旧北陸本線でいったん富山駅に戻ることにした。

旧北陸本線//魚津8:26→富山
旧北陸本線や羽越本線のレール走行音は心地が良い。溶接部ではなく、微妙に傷が入っているところを通過する際のガタガタ音が調味料となっており、首都圏の滑らかすぎる(例によっては慣れない高周波音まで発する)軌道の走行音とは違い、重厚な音楽性がある。
首都圏であまりこの走行音を聞かないのは、傷が増える前に通過トン数によるレールの交換周期が先に回ってくるかららしい。他にも、保線に使っている機械の違いや貨物列車の頻度、天候などの環境条件、沿線の情報量の差による錯覚などが原因として考えられる。

程よい傷は鉄旅の醍醐味

富山に到着。
食堂を探るも朝9時の時点で開いてるのはコンビニとマクドナルドぐらい。これなら夜行列車などで朝早く着く必要がないのも納得だ。
セブンイレブンのサーモンおにぎりで朝食を済まし、電鉄へ。

富山地方鉄道//鉄道線・市内電車1日フリーきっぷ(冬)を利用し、16010形などを狙う
9:40頃 16010形が臨時ホームに到着したのだが、タイミング悪く入区してしまった。
地鉄は体感上、元京阪3000系が運用の半分程度を占めているようである。

電鉄富山駅は高架化工事に伴い現在仮設のホームで発着している。
信号設備も縦列停車が可能な、少し変わった構造になっている。

揺れる軌道。
ここで地鉄の種別について調べたところ、立山線快速急行は早朝の下り1本のみの設定であった。その意味はなんだろう。元々は回送電車だったのだろうか。何かの実験だろうか。

接続時間の都合で上市駅でいったん折り返し、立山へ向かう。
立山線の電車も元京阪3000系である。
途中、なぜか本物の鳩が車内に入り座席に居座るという珍しいイベントが発生した。

君はうちの周りに住んでいる鳩達と違って御目が高いね。

立山線の末端区間はかなりのんびりで、25kphぐらいの速度で走行する。進行方向左側の景色は良好。北アルプスは雪に覆われている。

立山で折り返し、上滝線に乗り換える。
そこに16010形がいた。

岩峅寺駅上滝線ホームに停車中の16010形電車

元西武5000系であるこの車両は顔こそゴツいものの、美しい窓割りと折り畳み扉を有し、譲渡の際制御装置及び台車が国鉄名車485系の廃車発生品に交換されながらも、西武特有の趣のある動作表示板付き運転台は健在という、とても味の濃い電車である。
特に動作表示板は見ているだけで楽しくなるので、このような表示機はもっと普及されるべきだと思っている。

コンクリートが栄える大川寺駅を発車。こう見えて高架駅である。

南富山からは軌道線のGTO車に乗り換え、再び富山駅へ。

富山駅にて昼食を済ませる。

せっかくなのでLRT化された富山港線にも乗ってみる。
走りは軽快。昔Bve5で谷汲線をLRTに改造して遊んだことがあるが、あの時の感覚とほとんど変わらないのである。シミュレータ大事。
ATSあり。

ここでこの後の旅程に入れていた大糸線の運行状況を確認。いやはや(お爺ちゃん風)、荒天予想の為現在運転見合わせ中で、運転再開は夜中を予定しているとのこと。
大糸線はJR西日本の非電化区間が絶景なので、その景色を生で見てみたかったのだが、北陸新幹線のおかげでアクセスの利便性が向上しているのでまた来ればいいだろうと、今回は見送ることにした。

岩瀬浜付近の廃線跡を探訪。更地になっており、見当たる遺構とは用地界標ぐらいしかなかった。

富山地方鉄道本線//電鉄富山→上市
これも京阪3000。

しかし地鉄アナウンスの声質はライトだな。

富山地方鉄道本線//上市→新魚津
これも京阪3000。よう当たるね。

旧北陸本線あいの風ライナー//魚津18:23→泊18:42
521系の分際で全車指定席ですか。そうですか…

旧北陸本線普通(気動車)//泊18:56→直江津20:08
眠いし、風は強いし、寒いのである。

旧信越本線普通//直江津20:25→上越妙高20:41
ET127系のロングシートである。

旧信越本線普通//上越妙高21:15→妙高高原21:48
ET127系のロングシートである。
ドアが開く度に冷たい風が入ってくる。豪雪地帯を走るのにデッキがないとは一体?
今回は諸般の事情により在来線を利用したが、この先この区間を在来線で通ることはまずないだろう。
スイッチバック?んなもん豊肥本線にでも乗っとき。

旧信越本線普通//妙高高原21:51→長野22:34
しなの鉄道の115系はまだ生きていた。
隙間風がひどいのにひょっとこな電車である。
冬は二度と乗りたくない。
旅情を醸し出す抵抗器ブロワーの音はELか特急形電車で十分なのだ。

ひょっとこだが中は冷え込む。
キムワイプのほうがまだおいしい。

しかし寒い。

長野泊


2023年1月5日(木):長野電鉄など

概要:この日は主に長野電鉄の設備を観察していた。

(略)

小布施駅の線路は本線も側線も30kgレールを使用している。今では珍しい規格である。

(略)

長野電鉄普通(3500系)//信州中野11:21→湯田中11:36
音に耳を澄ませながら運転台計器類の動きを観察する。

電制、立ち上がったら緩解しない限りほぼ停止寸前まで効いている?

(略)

昼食(信州そば)

(略)

両毛線普通//高崎17:37→伊勢崎18:05
ロングシート211系の乗車率はまた150%。
211系にはどうしても愛着が湧かない。

東武伊勢崎線普通//東武伊勢崎18:18→太田18:46
東武800系。ロングシートは滅すべき、慈悲はない。
ロングシートにはたったの30分でも乗りたくないのである。

(略)

知人の家


2023年1月6日(金):流鉄など

流鉄流山線
隣の常磐緩行線は自動運転だというのにこちらは昭和で時間が止まっている。
ディスプレイ付きの券売機は設置されているが、支払いは現金のみ。個人の同人販売者ですら様々な決済方法に対応している今の時代、鉄道会社がこれを導入しない理由はなんだろう。
不動産で賄っているらしいので、紀州鉄道同様の経営方針なのかもしれない。

たった12分で終点に到着。設備を観察しながら1駅間を徒歩移動。
夕方のコントラストがとてもノスタルジックである。

匂いが録れないのが残念だ。
西武の動作表示板の挙動は何度観ても飽きない。

館林方面に用事ができたのだが、通勤ラッシュのため、北千住で様子見。
通勤形車両は混雑しているので、特急に乗ることにする。

しかし東武券売機のUIは改善すべきである。
横長のボタンが横に並び複数人選択ボタンは子どもと混ざっていて、ボタンの間には謎の矢印。一体どういう設計思想をお持ちで?

このUIはクソである。

3両編成の特急は、10分前には満席になる。今度のダイヤ改正で一部列車が6両編成の旧型車両に戻されるらしいが、リバティを増結するには車両が足りないのだろうか。

いずれにせよ、満席のようではクロスシートでも窮屈なもの。
毎日は絶対に乗りたくないのだが人類には様々な事情があるのだろう。

ところで本日のニュース記事によれば、JR上場4社は「コロナ禍により10年後の姿が唐突に来た」とのことで、経営転換の前倒しを検討しているようだ。
正確には「10年取り戻した」のであろう。不要不急線はまだまだ多いので、脱鉄道はもっと加速すべきである。

(略)

知人の家


2023年1月7日(土):SL大樹など

起床は9時頃。いい時間に目が覚めたものだ。

松戸駅上り列車線の信号を少し観察する。
出発信号機は停止定位だが、第3場内信号機もR現示である。入線時刻が近づくと第3場内信号機が2秒ほどYYを現示したあと、出発信号機と同時にGを現示する。時素リレーの挙動ではなさそうだが、ここの仕組みが気になるところ。
信号の沼は深い。

進路開通前、R現示の第3場内信号機

東武伊勢崎線急行南栗橋行//北千住11:45→南栗橋12:31
東武動物公園を過ぎた途端に野原が広がる。
知人曰く「いきなり福岡になった」
田んぼばかりでは情報量が足りないので、若干頭痛を誘発する。

東武日光線普通東武宇都宮行(20000系)//南栗橋12:32→栃木13:11
野原が続く。
この20000系は元々地下鉄日比谷線直通向けとして製造された車両で、当初は一部の車両が5ドア仕様になっていた。18m車の日比谷線運用終了後転属の際、5扉車は一部のドアが埋められ、全て3扉車に統一されている。
ワンマン化もなされている。

5ドアから3ドアに改造された車両

東武日光線普通新藤原行//栃木13:41→下今市14:31
しばらく逆かぶりつき。
関東平野は広く、栃木には何も無い。気が遠くなる。

都心から少し離れただけでここまで殺風景になるなら、ローカル電車は無人運転にしてもよさそうだが、まだ人件費のほうが安上がりなのだろうか。

SL大樹//下今市14:55→鬼怒川温泉15:32
編成は
[C11 207][ヨ8709][スハフ14 1][オハテ12 2][オハフ15 1]
[オハテ12 2]は開放デッキ付き。
[スハフ14 1]は床下にディーゼル発電機が付いている。
筆者は「分散電源方式」を許容しないのである。これをやるぐらいなら、いっそのこと気動車か電車にしてしまうがよい。何のための客車列車なのか。サービス電源はきちんと電源車にまとめるか、機関車のものを使用してほしい。

入換のため推進運転を行うSL大樹編成。そこだけ架線がないのもいい味を出している。

14系の座席は簡易リクライニングシート(通称バッタンシート)。倒した角度で固定できないので、身体を起こすと背もたれもバッタンと元の位置に戻る。

車内サービスは観光列車らしく、沿線の紹介や記念撮影、乗車証の配布、グッズ販売などが行われていた。
列車の速度は終始25-30kph程度。本線を走る列車というより、むしろ公園内を走る遊覧鉄道のような雰囲気。もう少しスピードを出したり、無愛想なアナウンスで汽車現役時代を表現してほしいところだが、リアル鉄道にそこまで求めるのは難しいだろう。動揺装置を用いて、限りなく実物に近い挙動をするシミュレータでも作りたいものだ。

東武式ATS車上装置を搭載したヨ8709。入換も転車もSLに連結された状態で行われる。

東武鬼怒川線普通新藤原行//鬼怒川温泉15:52→鬼怒川公園15:56

廃墟探訪
鬼怒川温泉駅まで歩く

SL大樹//鬼怒川温泉16:43→下今市17:18
12系のボックス席のサイズや硬さは旧客並だが短時間乗車なので許容。
乗車率は10%程度。

暗い時間帯となり、14系ではかつての夜行列車のように照明の明かりを半減する演出が行われた。

夜汽車の雰囲気と沿線のイルミネーションを楽しむ。

所々15kphぐらいまで速度を落とす区間もあり、日本海側でよく発生する強風による運転規制時の走行を思い出す。

下今市に到着。いい時間帯にスペーシア個室が空いていたので、日光まで普通電車で移動し個室に乗ることにした。
券売機は発駅指定ができないUIとなっていたため、窓口にて発券。

東武日光線普通//下今市18:20→東武日光18:29

軽食でも買おうかと思えば構内売店は閉まっており、コンビニは200m程離れている。土曜日なのに少々不便である。皆温泉旅館にでも入ってしまったのだろうか。

特急けごん個室//東武日光18:51→北千住20:32
フレームの厚い東武100系は、走行音も重厚ながら、個室の場合はM車でもモーター音がT車並に微かに聞こえる程の静音性を誇る。
夜行列車風味。
座席は広いが、リクライニングできないのが残念と言えば残念である。もう少し改良して、寝台個室にしてもよさそうだ。

寝台特急を彷彿とさせる通路

少し横になってみた。やはり座っている時と全然違う。久々の寝台列車感覚である。
カントで頭に血が上ることがあるので、レールと水平方向の寝台がよさそうである。全席個室で1人毎のスペースが同じであれば、レール水平方向の寝台のほうが快適であろう。

このまま札幌まで行ってくれ。

都心に近づくに連れ線路が増え、車窓には都会の夜景が広がる。どこか遠い場所から長距離列車に乗ってきたような、思わず酔いに浸れる景色である。
次はカシオペアや銀河にでも乗りにいくか。

駅に降りた後も暫く余韻が残る。特急列車はこうでなければ。
個室は、旅行終盤の選択として最適解であった。

夕食(つけめん)

知人の家


2023年1月8日(日):ちかはく

(略)

ちかはくの千代田線6000系シミュレータ
戻しノッチがある。実車もそうなのか?
電流計動きあり。力行では投入遅延無し。
走行中急ブレーキ使用時の動揺装置による衝撃は無し(挙動はある程度運転曲線に合わせているのか?)
制動時の電流計の動きからすると、電制の立ち上がりまで1秒ほど遅延がある模様。この瞬間の圧力計の動きは見落とした。
とにかく動揺装置がほしいのである。

奥左側の6000系シミュレータには動揺装置が付いている。家に一台ぐらいほしいものだ。

(略)

にしても東日本は夜が早すぎる。あまりにも日没が早いと不健康なので、日本のタイムゾーンはUTC+10に変更したほうがいいと常々思っている。

帰宅


おわりに

これを以て国内での限界旅行は終了した。
この先、国内の旅でこのような旅程を組むことはないだろう。
鉄旅を楽しむには、日本の鉄道はあまりにもつまらないインフラになってしまっている。
数年後にはまた考え方が変わっているかもしれないが、暫くの間、旅先は海外がメインになりそうだ。


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