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ゲゲゲの謎を見た。2週間前に

見ました。2週間前。

もっとはやくに感想をまとめようと思っていたのに、このざまだ。

多忙は人の時間ではなく意欲を奪う。

許すまじ。

なにもかもを。

あ、ネタバレありです。




総評

普通に面白かったが、期待を上回ることはなかった。

いや待ってくれ、分かっている。「普通に面白い、最後まで見切ることができる映画」がどれほど少なく貴重なのかについては、分かっているつもりだ。

そのうえでこのトピックに触れるつもりはさらさらない。これはあくまでも非・クリエイターが吐き出した、豪雨上がりの側溝に流れる泥水なのだ。それをわざわざ汲んで水質調査にかけるような暇があるなら、もっと生産的な記事に目を向けてほしい。


閑話休題。作品の話に戻ろう。

さて、そもそも私は鬼太郎シリーズを好んでいるわけではない。

幼いころ、テレビをつけた時にアニメが放映されており、かつその時に見たい番組が明確に存在しないという好条件が重なったときにのみ視聴する程度の接点しかない。

そんな私がなぜ、この「鬼太郎誕生」を見に行ったかといえば、それはひとえに

・インターネット上で話題になっていた
・いわゆる「ゼロ」的な立ち位置だろうからシリーズ初見でも問題なさそう
・鬼太郎父のビジュアルがデスノのLに似てて気になった

という一点に尽きる。

結果としてこの予想は合致し、裏切られることはなかったが、「期待を越えなかった」とはこれによる。

くたびれた風体の戦場帰り水木、白髪メカクレ長身のゲゲ郎、その他秀逸なキャラデザの女性陣。

見に来た映画を間違えたのかと心配するほどの冒頭犬神家も、不必要なほど足りた惨殺描写も、ゲゲ郎の入浴シーンも、たしかにSNSの話題をさらうには十分だ。

そして本来は原作に存在しないエピソードである。原作知識は多少のファンサービスを楽しむ程度しか必要とされない。

ゲゲ郎も私の需要に概ね応えてくれた。声優は意外だったが、いづれ目玉おやじとなったとき、あの甲高い「おい鬼太郎」を響かせるには、元の姿の時点で高めの声であるべきという発想からのキャスティングだろう。


期待通りであった。

展開がなんとなく予見できてしまった。

「このヒロインっぽい女の子が殺してんだろな」とか、「原作と辻褄合わせるために全員死ぬんだろうな」とか。

まあ流石に村ごと消されるとは思っていなかったけど。

ともかく、筋書が琴線に触れることはなかった。

だが、小エピソードやカットの部分部分に良さがあったのだ。


好きなとこ

・作画

全体的に絵が好き。私のアニメ鑑賞モチベーションの殆どが作画に依存していることが明らかになりつつある。
「The美男美女ですキリッ」って雰囲気のキャラデザがないと安心できる。本作唯一のストレート美少女である沙代もすぐ「あ、負けヒロインだ」と気づける親切設計。心は守られる。
お前はなにを恐れているんだ?

・ゲゲ郎のデザイン

映画を見るきっかけの6割くらいを占める要素。
白髪メカクレ和装長身ギョロ目のステゴロ強者なんて最強だろ。
そしてこの属性表示の前半をボサ髪隈アリ白Tジーンズに組み替えるとLになる。
なるほどなぁ(?)
あとロン毛になるのズルくない?

・水木のデザイン

キャラデザばっかじゃねぇかお前。
しかし、仕方がないのである。けだし重要である。
原作とは打って変わって、こちらもまた属性重量超過な影あるイケメンになった。
田舎に紛れ込んだ背広、眠たげな眼に、なにより顔の傷跡。
あざとさが見透けるが、しかし、仕方がないのである。

・ジト目

多かった。うれしいね。
デフォルトでジト目のキャラクター、一時的なジト目のカットはいくらあっても課税されないので、この調子で無計画に量産してほしい。
そうしてジト目が供給過多になるころ、また会おう。そのときは、反ジト目団体のひとりとしてだ。

・どうにもならなさ

これは「本映画初出のキャラクターを生き残らせてしまうと時空が歪みすぎる」という、のっぴきならない事情により構成されたストーリーラインの縁石によるものだろうが、登場人物のほとんどがどうにもなっていない。それがいい。
2人ほど存在する、普通の子供向け映画なら報われるべき人物は、ほぼ救済なく本懐を遂げられないまま最期を迎える。
尋常の人間は語るまでもなく無力であり、尋常ならざる力を持つものに押しつぶされる。
尋常ならざる能力を持つ人間は、さらなる超常に押しつぶされる。
だが最たる超常の因果が循環しているものだから、輪を描くドミノ倒しのように、どこかの綻びが伝播して全てを終わらせる。
よき終末を。

・はっちゃけた水木

資本主義の犬に徹そうとしていた水木が、最終的に前向きな厭世に身を委ねたシーン、良かったですね。

・ゲゲ郎と水木のバディ感

いつの間にそこまでの信頼を? という疑念は振り切れないが、こういう描写を常に見ていたかったのはある。
やはり人間人外コンビは良い。ヴェノムとか。

・戦闘シーン

ゲゲ郎、割と物理なんだ、と思った。
戦闘シーンの主線がやけにぶれていたのは、元ネタがあったりするのだろうか。
躍動感を表すだけ以外の意味がありそうだと思ったんだけど、よく知らない。

・各死亡シーン

そこまでやる必要あった? でも残虐性はほとんどの小学生が生まれ持つ基本素養であるから、悪い気はしない。
視神経がでろーんとなっていたり、目玉が鉄パイプ内をエレベーターしたり、なんか眼球にまつわる描写が多いなと思ったが、あれか。目玉おやじが主人公だからか。

・水木が葉巻吸うシーン

シガレットを常飲している水木が貰いものの葉巻を吸ってむせるところ。

・水木とゲゲ郎の散策

多分ゲゲ郎のアイスキャンディーは当たったんだろうな。


とか。

書ききれなかったけど、そういった箇所箇所が良い。断片的な記憶しか残らない。

そういう意味では、映画館より、個人で見るほうが楽しみやすいかも。

シークバーを操作しながら見たい。


あれなとこ

・メインストーリー

よく言うと王道、悪く言うと陳腐な感じ。目を剥くようなどんでん返しはない。
全ての作品にどんでん返しがあるべきとは思わないが、見ているうちに予想がついてしまうのはどうなのだろう。
少なくとも、飽きを作画で持たせて見ていた部分があったのは事実である。

・庚子

全然名前を憶えてなかったので調べたけど、読めなかった。トシコなんだ、これで。
以下、私と同じようにキャラ名が分からない人向けのキャラ説明。

釘宮

長田庚子のキャラクター説明

これでわかったかな?

では彼女の何が「あれ」だったのかというと、それはまず出番の少なさである。
あんな恵まれたデザインのキャラを、ちょろろっとしか出さないとは、大した胆力だ。SDGsに背いている。
そして声優が釘宮理恵であること。嫌いとかではないんだが、もっと低くて変な声だと思っていた。
ぎゃるがん2の近藤ちるとか、ナナチとか、ああいう感じの。
本音を言うとこの2キャラクターでもまだ足りないところではあるんだが。
個人的には、色んな意味でとてももったいないキャラであった。

・切嗣みたいなやつ

嫌いとか悪いとかじゃないんだけど、あまりにも切嗣すぎて笑いかけた。心が折れた切嗣。

・水木白髪化

おい! お前まで白になるのは違うだろう。やみくもに白髪にすればいいというわけではない。
それとも原作の水木は白髪なんですか? じゃあ話変わってくるな。
いやでも原作水木と全然顔違うよな。じゃあ髪色だけそろえる必要ないよな。スタッフの暴走説を提唱いたします。

・入場特典

ゲゲ郎がこっちに手を差し伸べてるやつだった。奥に水木がいるやつ。
誰目線なんだ。ぱっと見で夢女子の妄想かと思った。
あ、鬼太郎か? 鬼太郎にありえたかもしれないもう一つの擬史かも。


おわりに

これでこの映画の二次創作を楽しむ権利を得たぞ。

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