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ニートを楽しむ日記 6日目 4/6木 - 「かっこいい大人」の必要性と『生きる Living』

6時半に目が覚める。やはり働いていたときより起きる時間が早くなっている。蕪ちゃんが家を出るのが大体7時20分なので、このモーニングページもそれまでに書けるようなタイミングでできるといいなあと思う。

モーニングページを書きながら、蕪ちゃんの朝ご飯を作ったり昼の弁当を作ったりしていたら、書き終わるころには8時半になっていた。
またメルカリで教科書が売れたので梱包作業。3冊セットのものが2つ売れる。思ったよりはけるのが早い。
雨もやんだので、シャワーを浴びて出かける準備をする。10時半頃家を出て、3月までの職場へ。職場までは、電車で20分ぐらい行って、そこから10分ぐらい歩く。たかが1週間ぶりぐらいなのに、変な感じ。職場は1階も2階もレイアウトが変わっていて、物の整理とかで忙しそう。新しい二人の専任の先生にも会えた。昨日買ったお菓子を渡し、いくつかの私物を回収して、退散。長居は無用。

その後、映画でも観ようと思い、でも何を観るか、どこで観るかを考えた末、日比谷へ。送別会は6時なので、6時間ぐらいは余裕がある。日比谷へ行って、TOHOシネマズで黒澤明の『生きる』のリメイク、『生きる Living』を観ることにする。脚本はカズオイシグロ。カズオイシグロは10年ぐらい前に『私をはなさないで』を読んだだけだが、結構好きだった記憶。東宝シネマのポイントがたまっていたので、無料で観ることができた。日比谷に着くまでの電車の中で、アプリからチケット購入を済ませる。とても便利。そういえば今メインで使っているクレジットカードは東宝シネマで作ったもので、だから無料鑑賞券がもらえるんだけど、これはもうすぐ非常勤が終わる2017年の年末に作った気がする。新宿の東宝シネマで、多分スターウォーズのEp VIIIを観るときじゃなかったかな。体調が悪い中行った記憶。そして日高屋でレバニラを食べて体力つけて治そうとした記憶。日本語教師の資格を取るために新宿の養成講座に通っていたので新宿の東宝シネマにはよく行っていたが、今思えばもっと早くカードを作っておけばよかった。あの時期は本当によく映画館で映画を観ていた。人はどこかで映画館に通って映画好きになるタイミングがあって、昔は大学生時代に授業もないから~みたいなのがそういう時期になりやすかったのかもしれないが、最近の大学生は忙しいし、私も大学時代は忙しい+お金もなかったのであまり映画館には行けず、あの養成講座時代が、程よくお金も時間もあってそういうことができるタイミングだったんだと思う。その頃大学の同期はもう社会人2年目とかでバリバリ働いていたけど、私は母校の大学でバイトしながら新宿の養成講座に通い、のんびり映画などを観ていた。一般的にはマイナスイメージを持つような状態だったのかもしれないけど、当時は普通にその身分が楽しかったし、今でもあの時期を持ててよかったと思っている。ほかの人と比べて生きる必要はない。文化的な暇人、趣味人、いいよね。今もまたそれができていると思うと嬉しい。

日比谷に着いて、映画館の近くで昼ごはんを食べる。タリーズコーヒーでコーヒーを買ってテイクアウトし、外のテーブルで本を読みながら時間をつぶす。有意義。天気はいいけど風が強いからか、こんなにいい場所なのに座っている人はいない。一人だけ、私と同じように本を読んでいる女性がいる。気が合いそうだ。気持ちのいい場所。

映画までの1時間ぐらいを、坂口恭平の『よみぐすり』を読んで過ごす。坂口さんのTwitterから、自殺したい人に向けた言葉や生きることについて書かれた言葉を抜粋して集めた名言集のような体裁の本。そんな感じなので、1ページ3~10行ぐらいしか書かれておらず、スイスイ読める。この時間だけで半分以上読み終わる。
「生きる意味は楽しく続けられることを見つけてそれをやり続けることだけ」「人生は日々何をするかだけ」好きなことをすることが全て。それさえ見つけられれば死にたくなんかなくなるし、好きなことがわからん人は、何もやってみていないだけ。

子どもの自殺希望者が多いというのは、この国に・そしてこの国の大人たちに、本当に希望がないんだな、楽しく生きている大人が周りに少ないんだな、と思わされた。人生を楽しんでいる大人が絶対に必要。それが、私の言うところの「かっこいい大人」。人生を楽しめている・楽しむ方法を知っている大人は、余裕があって他人に優しい。それぞれ色々な問題は抱えていても、それでも自信があってゆったりしてて、大きい。一緒にいて元気に・前向きになる。そんな大人になりたいと思っていた。そんな大人が少なすぎる。仕事や生活に追われて”現実”を見ることしか考えてなくて、でも本当の現実は見えていない。世間・社会の中で生きていくことしか考えてなくて、自分が社会になるなんて思いもしていない。人生は苦しいと思っている。そんな大人に囲まれて、子どもが生きたいと思うはずがない。楽しく生きている余裕あるかっこいい大人、その目標を思い出した。ゼミでも、将来の夢を聞かれたときに話したな。

『生きる LIVING』よかった。まず景観と衣装。1950年代のロンドンを再現した町並み。建物、内装、店。そしてファッション。こういうのが好きな人は、これだけでも観る価値がある。1950年代ということは、一応戦後すぐなのか。じゃああの役人たちは、皆10年ぐらい前まで戦争に行っていた世代ということか。そう思うと、また少し見え方も変わる。ブリティッシュファッション、ハットにスティック、かっこいいなあ。そして主演のビル・ナイがよすぎる。調べたところ、カズオさんはビル・ナイに当て書きで脚本を書いたらしい。ハマりすぎ。ビル・ナイのベスト映画になっていると思う。ヒロインのつけたあだ名、Mrゾンビも、ビル・ナイの老いた表情、痩せた顔と相まって見事な命名と思わせる。ヒロインも良かった。知らない女優さんなんだけど、子どものような明るさ、天真爛漫さがいい。その無邪気さが生きる意味を見失ったビル・ナイの心を照らし、生き類義に気付かせていく感じが好き。こういうストーリーがどうやら自分は好きらしい。硬くなって人生に冷めているような男性が、無邪気な女声に出会って弱くなると同時に人生の素晴らしさや人を愛すること、人と生きることの良さに気付きみたいな話。完全に私と蕪ちゃんだからか。でも、蕪ちゃん視点だと、人生は苦と感じて生きにくさを感じていた少女が、老成した自分らしさをもち社会に迎合しない我が道を行く男性に出会い、自分らしく生きることや自信を取り戻す、というストーリーにもなるのか。これこそ男女の物語というか、神話的な普遍性がある物語なのかもしれない。

映画の後は職場の最寄に戻り、1時間カフェで本を読んだ後、送別会の店へ。話の内容は、ほとんどが職場の新しい体制へのグチで、聞いていて別に面白くはないし辞めてよかったという思いが増すばかり笑。グチを言うんだったら、ほかの人も早く抜け出せばいいのにとしか思わなかったけど、それでも皆からの感謝は伝わったし、あのメンバーはいいチームだったんだなと再認識できた。良いバランスだったと思う。このメンバーでできてよかったと改めて思う。絶対戻らないけど笑。



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