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第十二話  続き

その次の日。いちごは、郵便受けの中を確認しました。

「あ、何か入ってる!」

中には、手紙と、小さな箱が入っています。

「何これ・・・」

『いちごへ』

「えっ、わ、私あて??」

裏には、『パフェより』と書いてあります。

「・・・・はぁ・・・何なの・・・」

家に入ると、いちごはその手紙を捨てようとしました。

「パフェからの手紙なんて!!・・・・・・・」

でも、どんなことが書いてあるのか、気になります。

『もう絶交』とでも書いてあるのか・・・それとも・・・

**********

いちごは部屋に手紙と箱を持ってくると、手紙を読み始めました。

『いちごへ―――』

『―――あの時は、約束を守れなくて、ごめんなさい。時間のことも、スピカと遊んでたのも・・・私が部屋にいなくて、心配かけたよね。ごめん。
私は、いちごと友達じゃなくなるなんて、嫌だ。
ごめん、本当にごめんなさい。』

「パフェ・・・」

手紙を読み終わると、どうしようもなく、泣きたいような気持になりました。

「あっ、そういえば、箱の中身は何だろう?」

いちごは、手紙についていた、小さな箱を開けました。

そこにあったのは、小さくて、きれいなアップルパイです。

アップルパイ

**********

「あ、アップルパイ・・・?」

アップルパイについている札には、『お詫びの気持ちです』と、書いてありました。

その頃。お菓子の国では、クッキーが懐中時計の針を見ています。

「・・・いちご様との契約が解除されるまで、あ、あと3分・・・」


「いただきます」

いちごは、口にアップルパイをほおばりました。

―――その、何という、切なくて優しい甘さなのでしょう。

『ぽたっ、ぽたぽたたっ』

サクッ、サクッ、サクッ・・・口にアップルパイを入れるたび、大粒の涙が零れ落ちていきます。

あっという間にアップルパイを食べ終わり、涙をぬぐって言いました。

「私だって、悪かったんだ・・・パフェに・・・謝りに行こう・・・!!」

**********

「・・・あと1分・・・」

いちごは急いで階段を駆け下りました。一階では、お母さんがゴミ袋をまとめていました。

「ごみの日は明日だけど・・・明日は朝が早いし、もう出しておこう!・・・」

その時、金色の星が見えました。

「っ!!ま、待って!!お母さんっっ!!!」

「!?何よ、びっくりしたあ・・・・・・   !?」

(早く、これも付けなおさないと・・・これを捨てたら、もう・・・パティシエじゃなくなってしまうっ!!い、いまなら・・・まだ間に合うっ!)

いちごは急いでゴミ袋の口を開け、バッチを探しました。

「ちょっ!?何やってるの!?ごみをあさるなんて、やめなさいっ!!」

「あった・・・っ!!」


カチ、カチ、カチ、カチ―――

「5、4、3、2・・・・
 ・・・!!!!」

パチッッ!!

いちごと、スター・パティシエールとの契約が解除される一秒前、いちごがバッチを付けなおしたのです!!

(早く行きたい、行って謝りたい・・・!!『ごめんね、また友達になって』って・・・!!)

「お母さんっ、行ってきます!!」

「どこ行くの!?待ちなさい!!―――」

『バタン、』

いちごは外に出ると、まるで風のように、自転車をこぎ始めました。


「ツリーハウスのある山まで、あともう少し!!」

**********


『ピーンポーン』

「だれかしら・・・」

ガチャ、

「ぱ、パフェ・・・・」

「っ、いちご・・・」

「あの、ごめんね・・・私もすぐ、カッとなっちゃて・・・パフェ、また友達になってくれる?」

「・・・・!!」


「いちご・・・ありがとうっ・・・!!」


「うん・・・ごめんね・・・」

「い、良いのっ・・・―――って、いちご、何もじもじしてるの?」

パフェが、ほんの少し笑いながら言いました。

「あ、あの・・・その・・・パフェのアップルパイ、お、美味しかった・・・作り方、教えてくれる?」


「な、なあんだ!!うん、いいとも!キッチンにおいで!!」



ケンカしたって、何があったって・・・二人の、三人の仲は、壊されることは・・・絶対にありません。

二人は、そう信じました。



〈終わり〉 最終話(第十三話)に続く!!



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